アロマセラピーは植物から抽出した精油を使って、私たちの心身をより良い状態に導く自然療法ですが、どのような経緯で、精油が私たちの心身に作用するかご存じでしょうか。
精油の香りや成分が心身に伝わる方法には、大きく3つのルートがあります。どのルートから、どのように伝わるか知って活用すれば、アロマセラピーがもたらす効果はよりアップします。
精油と香りの身体への伝わり方
【1】皮膚から吸収されるルート
精油に含まれている化学成分が皮膚から浸透して血液に入り、血流にのって全身に伝わるルートです。植物油に精油を混ぜて肌に塗布するアロマセラピーマッサージや、お湯に精油を垂らして体を浸けるアロマバスによって、皮膚からの吸収ルートを活用できます。
アロマセラピーで用いられる精油は非常に小さな分子構造のため、皮膚の表面である皮脂膜や表皮を通過し、真皮層の中にある血管にまで浸透します。成分は血液にのって全身を駆け巡り、各組織や器官に運ばれていくのです。
【2】 肺から吸収されるルート
呼吸して吸い込んだ精油の化学成分が気管支を通って肺から吸収され、血流にのって全身に伝わるルートです。アロマセラピーは精油の芳香成分を鼻から吸収するため、すべての方法が肺からのルートを利用すると言えます。
鼻や口から吸い込まれた精油の芳香成分は、気管支を通って肺に入り、末端にある肺胞を通り抜ける際に微量ながら血管へと浸透します。血管に入った成分は血液にのって全身をかけめぐり、体の器官や組織に働きかけていくのです。
【3】鼻から吸収されるルート
揮発した精油に含まれる芳香成分が、香りを嗅ぐ行為で鼻に入り、電気的信号となって脳に伝わるルートです。肺からの吸収と同様、すべてのアロマセラピーの方法が鼻からのルートを利用します。
鼻から入った芳香分子は、鼻腔にある嗅上皮という粘膜を通り、嗅細胞の先端にある嗅毛に受容されます。そして、芳香分子は電気的信号に変わって大脳辺縁系にダイレクトに届けられます。
大脳辺縁系は本能に深く関わる部分で、感情や欲求を支配しています。また、視床下部は体温やホルモン、血圧、心臓、胃腸などの働きを調節する自律神経を支配している部分です。
脳の中枢とも言える部分に香りの情報が届く結果、私たちが生きるための大変重要な制御機能に作用すると考えられているのです。
香りを嗅いでリラックスしたり、元気が出たり、幸福を感じたりする変化は、精油の持つ芳香分子が脳に働きかけているからなのです。
そのほかにも、ホルモンバランスを整えたり、消化器系の不調を和らげる影響も期待できます。
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COLUMN
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