アロマセラピーマッサージは、精油を混ぜた植物油を体や顔に塗布し、擦ったり揉んだりして楽しむ方法です。アロマセラピーの中でも「最も効率よく体への働きかけを実感できる方法」のひとつ。香りを楽しみながら、皮膚から精油と植物油の成分を吸収できるでしょう。自分の好みや体調に合わせて、マッサージオイルを作るために不可欠なのが、精油と植物油の比率「希釈濃度」です。適切な希釈濃度や計算方法について、確認しておきましょう。
アロママッサージ用オイルを作る際の「希釈濃度」とは
アロママッサージ用オイルの「希釈濃度」とは、植物油に対して精油が何%入っているかの目安となる数値です。 健康な成人が体に使用する場合は2.5%、顔に使用する場合は1%が基本です。ただし、体調や年齢、肌の状態、香りに対する感じ方によっては、通常使用する濃度より低い希釈濃度での使用が望ましい場合もあります。
マッサージオイルの分量と希釈濃度の目安
植物油 | 希釈濃度 | 精油の目安 |
---|---|---|
30ml | 1% | 6滴 |
30ml | 2% | 12滴 |
30ml | 2.5% | 15滴 |
20ml | 1% | 4滴 |
20ml | 2% | 8滴 |
20ml | 2.5% | 12滴 |
10ml | 1% | 2滴 |
10ml | 2% | 4滴 |
10ml | 2.5% | 5滴 |
アロママッサージ用オイルで使用する植物油と精油の希釈濃度の計算方法
植物油の分量に対して、希釈する精油の分量を濃度にあわせ計算する方法を理解しておきましょう。自分が使用したい分量で、マッサージ用オイルを自作できます。
<希釈濃度の計算式>
自作したマッサージオイルを使う前に、必ずパッチテストを行ってください。 使用するマッサージオイルを腕の内側に塗布し、24~48時間置きます。万が一、皮膚にかゆみが出たり赤くなったり異常が生じたら、大量の水で洗い流してください。
マッサージオイル使用前に確認したい注意事項
【A】ml × 【B】(%) ÷ 【C】0.05ml = 【D】滴
- 【A】植物油の容量(基材)
- 【B】希釈したいパーセント
希釈したい精油のパーセントが2%の場合、「2」という数字ではなく小数点で0.02で計算します。 - 【C】1滴分指標
精油1滴分の指標は0.05mlと設定していますが、ボトルのドロッパーの形状や、精油の種類によって0.02~0.06mlくらいの幅があるため、あくまで目安として計算してください。 厳密な容量換算が必要な場合には、正確な1滴あたりの容量を確かめましょう。 - 【D】使用する滴数
妊産婦ケアでアロマセラピーマッサージを取り入れたい場合の希釈方法や注意点
マタニティ期の妊産婦ケアではオイル作成時の希釈率は、通常1%からのスタートがおすすめです。通常の経過をたどり、いつ出産を迎えてもおかしくない状態に差し掛かった妊娠後期から分娩までは、2.5%前後まで濃度を上げる判断も可能ですが、あくまで専門的な知識をもったアロマセラピストの判断にも委ねられます。 アロママッサージを受ける際には、事前に医師や助産師、看護師によく相談し、確認しましょう。
妊産婦ケアでより効果を実感できる植物油の選び方
妊娠期はホルモンバランスの変化により、肌が敏感になる方も少なくありません。
乾燥の程度や状態をマッサージ前に確認し、精油だけでなく、肌に合わせた植物油(キャリアオイル)を選ぶと、よりマッサージの体への働きかけを実感しやすくなるでしょう。
植物油は、質の良い一番絞りのオイルがおすすめです。
植物油には一番絞り以外のグレードも多く存在します。ですが、栄養価が高く本来の香りと色をそのまま自然な状態である植物油を使うと、肌に塗布した際の感触やマッサージ後のべたつきに違いが出てくるのです。
肌が敏感になりやすい妊娠期のケアに、さらに寄り添ったマッサージオイルになるでしょう。
マタニティ期のアロママッサージで香りも楽しみたい方への寄り添い方
通常、妊産婦ケアで使用するアロマセラピーマッサージ用のオイルの希釈濃度は、一般の方に使用する希釈濃度の半分以下です。
しかし、体調や体型の急激な変化だけでなく、生活スタイルそのものの変化の多い時期に、ストレスをやわらげリラックスを得るために、マッサージと同時に香りを楽しみたい…といった方も多いでしょう。
妊娠期の敏感な素肌に直接触れるマッサージオイルで、希釈濃度を上げての施術は避けるべきです。
また、精油はケア中に揮発するので、嗅覚からも多く吸収されます。身体と鼻の両方から吸収されると考えると、多量の精油が一度に体内に取り込まれる危険性も考えられます。
「マッサージもおこないたい。もう少し香りを楽しみたい」と考える場合は、マッサージオイルは植物油のみ使用し、香りによるケアは「精油をティッシュにたらして鼻の近くにおいておく」または「マッサージオイルで使用する精油の量を半分にしてもう半分の精油をティッシュにたらして置いておく」といった工夫もできるでしょう。
「芳香」も確実に嗅覚を通じて妊娠中の体に働きかけます。精油を使用する際は、過剰な量にならないように気をつけましょう。
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