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【どこよりも詳しい精油の話・1】ラベンダー精油(真正ラベンダー精油)の歴史と魅力

アロマセラピーAROMATHERAPY
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2023/02/08

ラベンダーは、優しくフローラルな香りがリラックスによいと、多くの人に愛される人気の高いハーブです。
また、ラベンダーの香りを凝縮したラベンダー精油は、広く使える万能の精油と言われています。
精油とはエッセンシャルオイルともいい、水蒸気蒸留や圧搾で植物の香りを濃縮した、100%天然成分です。
紀元前から使用され、愛されてきたラベンダーについて、またラベンダー精油の働きについて解説しましょう。 ラベンダーには数多くの種類がありますが、ここでは真正ラベンダー(学名Lavandula angustifolia、アングスティフォリア種)を主に紹介します。

 

ラベンダーの産地

ラベンダーの原産地は地中海・中東・インドと考えられています。実際に地中海地域(西ヨーロッパに隣接する国々)の山岳地帯には、ラベンダーが自生しているのです。
現在ラベンダーは世界中で栽培され、フランス、ブルガリア、オーストラリア、スペイン、オランダ、ベルギー、ドイツ、ロシア、カナダ、アメリカで栽培が盛んに行われています。
なかでも、古くからラベンダー栽培が盛んだった地域であるフランスのプロヴァンス産のラベンダー精油は、とくに珍重されます。
日本では富良野で1937年からラベンダー栽培が始まりました。ところが一時期、合成香料の発達で栽培が廃れかけてしまったのです。
しかし、ラベンダー畑の美しさが再注目され、富良野には再びラベンダー畑が広がり、現在も精油が作られています。

 

ラベンダーの生物学的な情報

ラベンダーは、シソ科ラヴァンドラ属の半木本性植物です。
数多くの種類がありますが、ここでは真正ラベンダー(学名Lavandula angustifolia、アングスティフォリア種)を主に紹介します。
また、真正ラベンダー以外の種類のラベンダーについて、主な種も後で軽く触れているので、参考にしてください。
一般的にラベンダーは石灰質のやせた土地を好み、湿気を嫌う植物です。日当たりが良く、風通しの良いところでよく育ちます。
日本の夏の高温多湿には弱いため、北海道など清涼な気候の一部地域で栽培されています。

 

ラベンダーの歴史

ラベンダーの歴史は2500年以上前にさかのぼります。古くは香りを楽しむだけでなく、殺菌消毒や薬として使われました。

古代ギリシャ・ローマなど

ラベンダーは古代ギリシャ時代から活用されていました。
古代ギリシャ人は、シリアの都市ナアルダにちなんでラベンダーを「ナルドゥス」または「ナード」と呼びました。
ギリシャ出身のローマの医師ベダニオス・ディィオスクリデスが1世紀に著した「マテリア=メディカ (薬物学)」ではラベンダーの作用が取り上げられ、マテリア=メディカは改定を重ねて17世紀まで使われています。
ラベンダーの名前は、ラテン語で「洗う」「入浴する」を意味する「lavare」からつけられました。古代ローマ人は、バス、ベッド、衣服、さらには髪の香り付けにラベンダーを使用し、公衆浴場でもラベンダーの香りは活用されました。
古代エジプトでは、ミイラの防腐処理にラベンダーは役立ちました。同時に愛のハーブとしても考えられており、クレオパトラはジュリアス・シーザーを誘惑するのに使用したと伝わってています。

中世・ルネッサンス

アロマシールは香りのあるシールで、マスクに貼り付けるシールです。
商品によりマスクの内側に貼るタイプ、外側に貼るタイプがあります。香りのカプセルを潰して使用するタイプは、よりフレッシュな香りを楽しめるでしょう。

ハーブから精油を水蒸気蒸留で得る方法は、5世紀にイスラム世界で発明されました。そして十字軍によって、精油を作る方法は10世紀にヨーロッパに渡ります。
しかし精油は高価なため、中世・ルネッサンス時代はまだ広く使われていません。ラベンダーそのものや、精油の副産物であり精油より安価なラベンダーウォーター(芳香蒸留水)が広く使われていたのです。
中世・ルネッサンス期のヨーロッパでは、洗濯婦がラベンダーの茂みに洗濯物を広げて乾燥させ、香りをつけました。また、王族は入浴にラベンダーを使用しており、特にルイ14世はラベンダーの香りのする水での入浴を好みました。

▽エリザベス一世はじめ王族が愛したラベンダー
イギリス女王エリザベス1世は、ラベンダーをこよなく愛し、片頭痛の治療に使ったり香水として用いていました。また、ラベンダーをお茶に加えたりもしました。
ラベンダーはイギリスで使用されている最も古い香水の原料の1つです。 エリザベス1世はラベンダー農園の開発も奨励しています。
イギリスの宮廷に化粧品をもたらしたチャールズ1世の后、ヘンリエッタ・マリーは、香りの良い石鹸・ポプリ・洗濯や、入浴用の水に入れてラベンダーを楽しんでいました。
フランス国王シャルル6世は、座席のクッションにラベンダーを詰めて用いていたのです。

▽薬草や香水として用いられたラベンダー

中世・ルネッサンス期には、ラベンダーは薬草としても用いられました。修道院でハーブの利用と研究が進めら、植物学に造形の深い中世ドイツの修道女ヒルデガルドや当時の僧侶たちによって、ラベンダーも薬草としての利用方法が広く知れ渡りました。
ラベンダーが薬草として扱われた大きな理由は、14世紀にペスト流行がきっかけです。ラベンダー栽培をしている人にはペスト感染が少なかったのです。

16世紀のフランスでは、ラベンダーは感染症に対する効果的で信頼できる消毒方法とされていました。当時の革製品は悪臭がひどく、ラベンダーを使って香りをつけていましたが、ラベンダーを使う皮手袋職人は、しばしばコレラを免れたと言われています。

17世紀には、ラベンダーは万能薬としてほとんどのハーブ製品に入れられていました。イギリスの薬草学者も、著書でラベンダーについて触れています。
1665年のペスト大流行の間はラベンダーによる消毒が身を守ると考えられたため、ラベンダーの露天商も現れ、ラベンダー価格が高騰したようです。

18世紀には、ラベンダーに柑橘やローズマリーを組み合わせた香水、「オー・デ・コロン」(別名:ケルンの水)がパリで広まり、大人気を博します。フランスでのラベンダー栽培も盛んになりました。

近代

イギリスが栄華を極めた時代の統治者・ヴィクトリア女王は、ラベンダーの愛好家でした。
新鮮なラベンダーを乾燥させ、室内着用のモスリンバッグに入れたて楽しんだり。壁や家具にラベンダーの香りをまとわせたり、リネンのシーツの間にラベンダーバッグを詰めて、日常生活にふんだんに取り入れ、楽しんでいたのです。

近代でラベンダーの用途は香水やポプリだけでなく、消毒したり、シラミを治療したりに使われました。
さらにラベンダーは、家具のつや出し剤や石鹸にも使える家庭の薬棚の万能薬としての用途でも重宝されます。ロンドンでは薬局で薬として掲載されていたほどです。
アメリカでもラベンダーは贈答品や医薬品で人気を博し、需要が増えたためラベンダーの商業的栽培が始まっています。

現代

ラベンダーは薬草・香料・香水として人気を博したものの、合成香料や医薬品の発達により人気はいったん下火になります。
しかし、1930年代のフランスで、科学者ルネ・モーリス・ガットフォセが火傷の治療にラベンダー精油を使ったところ、火傷の治りを早めるのを発見し、ラベンダー精油の働きが再び注目されたのです。
療消毒剤が不足していた第一次世界大戦中には、ラベンダー精油は傷や火傷の治療に使用されていました。
ガットフォセは後に精油の利用法について本を著し、『アロマテラピー』と言う言葉を広め、やがて後世で"アロマテラピーの父"と呼ばれています。
戦後にはフランスとイギリスでアロマテラピーが発展し、ラベンダーのさまざまな働きが見直されました。
そして現代でも、先人たちのさまざまな研究からアロマテラピーによってより気軽に用いられるようになり、ラベンダー精油は癒やしの香りとして、多くのひとに愛され続けています。

 

ラベンダー精油の魅力

ラベンダー精油は長い歴史のなかで、また現代でもさまざまな研究機関や専門家によって、多くの研究がなされています。真正ラベンダー精油の魅力について紹介します。

心への働きかけ

香りにより緊張をほぐす、憂鬱を和らげる、不安を和らげる…といったリラックスへの働きかけが感じられる精油です。また、不安を和らげるラベンダーの香りは心身をリラックスさせて睡眠を促す目的でよく使われます。
不安や月経前症候群(PMS)とラベンダー精油に含まれる成分ついては詳しく研究されているため、後ほど研究機関のエビデンスをもとに詳しく紹介します。
ラベンダー精油をあまり高濃度で使ったり、真正ラベンダー以外の種類のラベンダー精油を使ったりした場合は、逆に目が冴えてしまう場合があるので注意しましょう。

体への用いられ方

ラベンダー精油は古くから「薬」として用いられてきました。例えばラベンダー精油とペパーミント精油を混ぜたオイルをこめかみに塗って頭痛を和らげる民間療法もあり、昔から体の働きを整える目的が期待されていたのです。
頭痛・生理痛・筋肉痛を和らげる、鎮痙、血行促進、リンパの流れ促進、血圧降下、自律神経調整、抗炎症、抗菌、免疫系の刺激などについては詳しく研究されているため、別章で研究機関のエビデンスをもとに、詳しく紹介します。

スキンケア利用にも

精油は手作り化粧品やマッサージオイルに混ぜてスキンケア目的でよく使われます。
ラベンダー精油は精油のなかでも肌にやさしい精油です。ラベンダー精油を使った手作り化粧水の作り方を別章で紹介します。

 

ラベンダーの種類

ラベンダーには多くの種類があり、主な栽培種だけで20種類はあります。
ここでは、精油によく使われるラベンダー4種類を紹介します。また、種類が異なるラベンダー精油の見分け方についても解説しましょう。

真正ラベンダー

学名はLavandula angustifoliaです。別名には、ラベンダー・フランス、トゥルーラベンダー、イングリッシュラベンダー、コモンラベンダーがあります。最も香りに優れるラベンダーです。北海道の紋別でも生産されています。
真正ラベンダー精油はラベンダー精油の中では高価ですが、精油全体から見れば中くらいの値段です。他の種類のラベンダー精油も多く売られているため、真正ラベンダー精油を
見分けたい場合は、精油の瓶に書かれた学名をしっかり確認しましょう。学名で精油の種類を見分けるやり方は、ラベンダー精油以外の精油でも役に立ちます。

ラベンダースパイク(スパイクラベンダー)

学名はLavandula latifoliaです。樹勢の強いラベンダーで、樟脳を思わせる香りが強く、すっきりした印象の精油が取れます。
フローラルさよりも爽やかなハーブの印象があるため、「男性のラベンダー」と呼ばれるラベンダーです。リフレッシュに向いている精油です。

ストエカスラベンダー

学名はLavandula stoechasです。別名にフレンチラベンダーがあります。ウサギの耳に似た花びらが可愛らしいラベンダーです。ストエカスラベンダーも樟脳の印象が強い、フレッシュな香りです。真正ラベンダーのフローラルな香りの印象とは異なります。

ラバンジン

真正ラベンダーとスパイクラベンダーの交配種の1つで、学名はLavandula X intermediaです。
ラバンジンスーパーと呼ばれる場合もあります。他のラベンダーに比べて精油が多く蒸留できるため、ラベンダー精油としては比較的安価です。
ラバンジン精油には、スパイクラベンダーの爽やかさと真正ラベンダーのフローラルさがあり、心身への働きも2種の特徴を併せ持ちます。

 

ラベンダー精油のおすすめの使い方

ラベンダー精油を楽しんでいただくために、アロマテラピーでの使い方を紹介し、必要な道具についても解説します。
精油は特別な道具や材料がなくても十分楽しめますが、少し背伸びして道具や材料を揃えると、さらに楽しみが広がります。

リラックスのアロマとして

寝る前、リラックスしたい時のアロマとして使いましょう。
ラベンダーの香りを楽しむのに特別な道具は必要ありません。畳んだティッシュや化粧用コットンに数滴染み込ませ、枕のそばに置くだけで十分に香りを楽しめます。
香りを部屋中に広げたい場合は、香りの拡散力が高いアロマディフューザーやアロマランプを使いましょう。

ピローミストやマスクスプレーとして

ラベンダー精油で香りの良いピローミストやマスクスプレーを作り、スプレーして香りを楽しむのがおすすめです。
エタノール30mlにラベンダー精油10~20滴をよく溶かし、水20mlを加えて混ぜた液体をスプレー瓶に入れればミストの完成です。その他にもルームスプレーとしても使えます。
ラベンダーは他の多くの種類の精油と相性が良く、柑橘類の精油(オレンジスイートやベルガモット)や花の精油(ローズやネロリ、ゼラニウム、カモミール・ローマン)とブレンドすると、華やかながら親しみやすい香りに。
好みでブレンドして好きな香りのスプレーを作るのもおすすめです。

スキンケア

ラベンダー精油はスキンケアにも利用されます。
ただ、精油は基本的に肌に直接つけてはいけません。植物油やエタノール+水で薄めて使います。スキンケア用に薄める時の精油の濃度は1~3%(顔に使うなら0.1~1%)が目安です。
精油の一滴は約0.05mlなので、1滴を5mlのエタノールに溶かすと5%の濃度、そこにさらに水を加えて50mlにすると0.5%の濃度になります。
エタノール5mlにラベンダー精油1滴を溶かし、保湿用のグリセリン5ml、精製水40mlを加えてよく混ぜると、ラベンダー精油のシンプルな化粧水が作れます。
肌に良い植物油(精油を薄める用の植物油をキャリアオイルと呼ぶ)でラベンダー精油を薄めて、スキンケアオイルやマッサージ用オイルを作るのもおすすめです。
ホホバオイルが一番手に入りやすく、広い肌質に馴染みます。オリーブオイルやスウィートアーモンドオイルも使いやすくおすすめですが、食用のオイルではなく、化粧品用に精製されたオイルを使いましょう。

 

ラベンダー精油を用いる際の禁忌事項

精油は、種類によって使ってはいけない用途や、体調や時期によって使用を避けたほうがよい場合があります。ラベンダー精油の禁忌事項について確認しておきましょう。
とくに体調に不安のある方は、購入前や使用前に専門店や有資格者、かかりつけ医に相談が必要です。

妊娠初期の使用

ラベンダー精油は、種類によっては妊娠初期は使うべきでないと言われています。
ただ、妊娠後期や臨月であれば安産に良いとも言われている精油です。使用にはかかりつけ医や専門家に相談し、使うタイミングによく注意しましょう。

薄めていない精油を肌に直接つける

すべての精油で言えますが、薄めていない精油を肌に直接つけてはいけません。
ラベンダー精油は、精油の中でも肌に優しい精油ですが、ラベンダー精油であっても、肌につけるなら薄めるほうが無難です。

 

研究でわかったラベンダー精油の働き

ラベンダー精油の働きについて多くの研究がされています。心身に関わる働きについて、論文などで公表されている研究について紹介します。

頭痛緩和への研究

女性の頭痛患者(主に片頭痛)にラベンダー精油もしくはゼラニウム精油でアロマテラピーを行ったところ、頭痛の回数や頭痛治療薬の使用回数を減らす研究があります。
頭痛による仕事・家事への影響が減らせ、生理に関連する期間の頭痛も減らせました。
また、眠りにつくまでの時間が5分ほど短くなったため、不眠改善もありました。頭痛の治療においてアロマテラピーは役立つと考えられています。

参照:女性頭痛患者に対するアロマテラピーの有効性に関する研究

不安緩和への研究

ラベンダーの香りの主要成分の1つはリナロールです。リナロールの匂いをかぐと、不安を減らす研究があります。
脳のベンゾジアゼピン感受性GABAA受容体(抗不安薬の1種の受容体)が関わっていると考えられています。
抗不安薬の多くは鎮静作用が強すぎたり運動抑制が強すぎたりしますが、リナロールの匂いをかぐ場合は、鎮静作用や運動抑制作用が見られないため、抗不安薬の代わりとして用いられるのが期待されています。

参照:リナロール香気の持つ抗不安作用とその脳内機序 参照:リナロール香気が不安を軽減する脳の仕組み

ストレス緩和への研究

患者に真正ラベンダー精油を薄めてかがせながら歯の治療を行うと、歯の治療によるストレスを減らす研究があります。
ストレスを受けたときに変化する血圧、脈拍、唾液のアミラーゼ活性を調べたところ、真正ラベンダー精油を使った場合、はっきりとストレスが減りました。
被験者に実験後の気分・感情を質問したところ、怒り・敵意、疲労感・無気力、緊張・不安がはっきりと減りました。
また、被験者の全員が真正ラベンダー精油の香りを良い香りと捉えていました。真正ラベンダー精油はストレス緩和に役立つのではないかと結論付けられています。

参照:真正ラベンダー精油のストレス緩和効果

PMS緩和への研究

月経前症候群に対するアロマテラピーの研究を包括的に調べた結果、ラベンダー、クラリセージ、ダマスクローズ、ダイダイ、ゼラニウムのそれぞれの精油をアロマテラピーに使った場合、いらつき・不安・抑うつの精神症状をはっきりと改善していました。
また、むくみ・疲労・過眠の身体症状もはっきりと改善していました。自律神経への影響を見たところ、ラベンダー他の精油のアロマテラピーを受けると副交感神経が優位に働くようになりました。
副交感神経はリラックスしているときに優位になります。ラベンダー他の精油を使ったアロマテラピーは月経前症候群を和らげるのに役立つと考えられます。

参照:月経前症候群の症状を有する女性へのアロマセラピーの効果に関する系統的レビュー―精神症状・身体症状・自律神経活動に着目して―
 

ラベンダーの長い歴史とアロマセラピーへの利用から、愛され続ける理由を知ろう

ラベンダーは古代ギリシャ・ローマ時代から使われているハーブです。
万能の精油と呼ばれるほど多くの働きがあり、フローラルな優しい香りは、リラックスにも効果的です。
ラベンダー精油は1つ持っておくといろいろ使えて便利。比較的手に入りやすい精油なので、ぜひ使ってみてください。