「体調不良は自律神経の乱れが原因ではないか?」といった情報を目にする機会も多いはず。
自律神経は、交感神経と副交感神経がバランスをとってはたらいています。が、ちょっとしたストレスで簡単にバランスが崩れてしまうのです。
季節による気温・気圧・環境・さらには季節の変わり目に多い職場環境や人間関係の変化…知らず知らず、体と心が追いつかないまま、「ほんのちょっと」の不調に見ないふりをして無理をしてしまうケースが多いよう。
自律神経を整えるには"リラックスできる雰囲気づくり"がとっても大切。アロマの香りを楽しみながら「心地よい空間」で、自分をいたわってみませんか?
季節の変わり目が要注意なのはなぜ?自律神経が乱れやすく体調不良の原因に
「季節の変わり目になると、どうもパッとしない…これって、自律神経が原因?」
「んん?そもそも自律神経とは?」と疑問に思った方。
季節の変わり目…2月から3月のうちに、ぜひ確認しておきましょう。
一緒に自律神経が乱れるとみられる体調変化も知っておくと、自分の細やかな体調変化に気づきやすいはずです。
そもそも自律神経とは?
自律神経は交感神経と副交感神経の2つにわかれており、それぞれ逆のはたらきをしています。簡単にあらわすと、からだを活発に動かすときはたらくのが交感神経、からだを休めるときはたらくのが副交感神経です。
通常であれば交感神経と副交感神経は互いにバランスをとりながら体調をコントロールしていますが、何かしらの原因によりバランスが崩れるとからだに不調としてあらわれます。
どうして季節の変わり目にストレスを感じやすいの?
原因は、不規則な生活・ストレス・ホルモンの乱れなどさまざま。とくに季節の変わり目は自律神経が乱れやすいのです。季節の変わり目に自律神経が乱れやすい原因は、大きくわけて2つあります。
1.気圧や気温の激しい変化
低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わったり、暖かい日が続いていたと思ったら急に冷え込んだりすると、体はその変化にすぐに対応できず、自分では気づかぬまま知らず知らずストレスを感じ、ため込み、やがて自律神経が乱れやすくなります。
最近では、気圧や気温による体調不良は「気象病」とよばれているため、知っている方も多いでしょう。
2.生活環境のめまぐるしい変化
季節の変わり目は、卒業や入学・就職・転勤・引っ越しなど生活環境が変わる人が多い時期。
慣れない環境に心身ともに疲れが蓄積し、気付かないうちにストレスをためてしまっていませんか?ストレスがたまると、自律神経は影響を受けやすいのです。
1年の中でもとくに影響を受けやすいのは春。気圧の変化や寒暖差が激しい日が多く、生活環境が変わるタイミングの多さも自律神経の乱れに影響します。
日々の体調チェックをおこない、調子が悪いときは無理しないようにしましょう。
どんな体調変化がおこると「自律神経の乱れ」と気づけるの?
自律神経が乱れると、さまざまな体調変化がみられます。以下の不調が季節の変わり目に現れた際は、自律神経の乱れが影響しているのかも。
あまりにも症状が重い場合は、何か病気が原因の場合もあるため、気になる方は病院の受診を検討してくださいね。
【季節の変わり目に生じがちな不調】
・だるい・眠れない・疲れがとれない・頭痛・動悸息切れ・めまい・のぼせ・立ちくらみ
・下痢、便秘・冷え・情緒不安定・イライラや不安感・うつ…など
「リラックスできる時間」にアロマのすすめ。
季節の変わり目に不調を感じたら、まず生活を見直してから
じつは、自律神経を整えるには、ストレスの軽減と生活習慣の改善(とくに規則的な睡眠と食事)が基本。自宅で簡単にできるセルフケア方法は「シンプルに規則正しい、健康的な生活を送る」が大切なんです。
しかし、追いかけてくる学業・仕事・子育て・介護…。現代で忙しい生活を送る日々のなか「規則正しい生活が健康にいいのは分かっている。でも難しいよ」と感じてしまう方も多いのでは?
規則正しい生活リズムを送るために見直すポイント
まずはできそうな部分から。なにか、たったひとつから、でもいいんです。生活のリズムを少しづつ正すのが、自律神経の乱れを整えるための近道です。
- ● 「主食・主菜・副菜」の整った3食バランスのよい食事をとる
- ● 体操・ストレッチ・ウォーキングなど軽い運動をする
- ● 浅い呼吸になりがちなので、意識して深呼吸をする
- ● 朝起きたらカーテンを明けて朝日を浴び、睡眠のリズムを整える
- ● ふっと一息つける、リラックスできる自分だけの時間をつくる
リラックスできる特別な時間をつくるために『お気に入りのアロマ』のススメ
リラックスするために「自分だけの特別さを感じられる時間」を作ってみませんか?
忙しいひとでも、ちょっとしたすき間時間や、〇〇しながらの「なが時間」を利用して、自分だけのために時間を使っていると意識してみましょう。
【リラックス時間におすすめの行動】
- ● 植物を育てる
- ● 愛するペットや家族とハグする
- ● 好きな音楽をかける
- ● 部屋を片づける
- ● アロマの香りを楽しむ
自分のためだけに、自分自身が「心地よい」と思える行動によりリラックスでき、自律神経も整いやすくなります。たくさんの時間をつくる必要はなく、ほんのちょっとの時間でも十分に心の休息になります。
「心地よい」と感じる香りで大きなリラックスが得られる
「香り」の歴史は大変古く、植物がもっている香りの効能を、心身の癒やしに役立てようという考え方は、すでに紀元前の数千年前から人間の営みのなかにありました。
鼻から入った芳香分子は、鼻腔にある嗅上皮という粘膜を通り、嗅細胞の先端にある嗅毛に受容されます。そして、芳香分子は電気的信号に変わって大脳辺縁系にダイレクトに届けられます。
大脳辺縁系は本能に深く関わる部分で感情や欲求を支配し、視床下部は体温やホルモン・血圧・心臓・胃腸などの働きを調節し、自律神経を支配している部分です。
脳の中枢とも言える部分に香りの情報が届く結果、私たちが生きるための大変重要な制御機能に作用すると考えられています。
そのため、アロマテラピーは「香り」によって、もっともシンプルに五感に働きかけ、自律神経を穏やかに、たのしみながら整えられていけるのです。
※香りの楽しみ方についてより詳しく
なぜ“香りを楽しむ”の?
多様化する健康へのアプローチを、もっと身近に、もっとシンプルに、もっとリラックスして。
香りを感じて、深呼吸によるリラックス感をより強く感じよう
実は簡単に自律神経を整える方法があります。それは「呼吸」です。
横隔膜が大きく動けば自立神経が刺激され、睡眠をつかさどる副交感神経が高まっていく…呼吸と自立神経は大きく関係しているのです。
反対に、交感神経が優位に働きストレスを感じているときは、気づかないうちに呼吸が浅くなっています。
ストレスを感じ緊張状態で浅い呼吸になっているのを意識して、大きく深呼吸する際に取り入れていただきたいのが「香り」です。
人が香りを感じる時、鼻から香りの成分を取り込みます。取り込んだ成分が細胞や神経を伝い、大脳に届いた刺激が香りとして認識されます。
嗅覚は五感の中でも原始的な感覚器とされ、「見たり」「聞いたり」する情報とは異なり、香りは脳内の本能的な情動や記憶を支配する部分(大脳辺縁系)に一瞬でダイレクトに伝わっていくのです。
脳が心地よい香りと判断する前に、香りは体を整えるべく副交感神経に働きかけていきます。
※深呼吸と香りについてより詳しく
睡眠の質を上げたい方へ。
「深呼吸」と「香り」を取り入れる贅沢時間をつくるための方法は?
季節の変わり目におすすめの精油は?
何気ない時間を深呼吸でリラックスタイムにしたい方へ
自律神経を整えるのに有効な深呼吸。ただ、あわただしい日常の中で「意識して深呼吸」するのは意外と忘れがちです。
そこで、精油の芳香を感じた際に「いい香り。もっと香りを楽しみたい」と自然に深呼吸できる…それがもっともシンプルなアロマテラピー。
だから、精油を選ぶ際には自分が心地よいと感じる香りが大前提です。
香りを楽しみ、深呼吸で得られるリラックスをより特別にしてくれる、おすすめの精油をご紹介します。
ただ、購入前にぜひ一度、何種類か試して「好きだな」と思える香りを見つけてみてください。
どんなにおすすめされても不快に感じる香りだったら逆にストレスになりかねません。
グレープフルーツ
柑橘系精油の中でもビタースウィートな甘さをもつ精油です。誰でも一度は嗅いだことのある、おなじみの香り。
フルーツではありますが、甘さより苦味と爽快感が残るのが特徴です。気持ちが明るくなる香りで、心と体のバランスを保つのに役立つでしょう。
また、ストレスが原因で、つい食欲に走ってしまうような方にもおすすめです。欲求不満、自己批判、自己嫌悪といったネガティブな感情が払しょくするような、柑橘系の香りを楽しみましょう。
ベルガモット
柑橘系精油の中でも、グリーンっぽさ、爽快感、苦味、甘味がバランスよく感じられる精油。紅茶のアールグレイをはじめ、食品の否りづけに使われたり香水に多用されたり、世界中で愛されている香りです。
原産国であるイタリアでは、古くから民開療法に利用されてきました。神経のバランスを整えたいときに用いられる精油としてよく知られています。
気分を明るく保ちたいときに選んでみましょう。イライラ、欲水不満、うつ気味などのマイナスの感情が募ってきたら、ぜひ利用してみてください。
マンダリン
愛と温かさと柔らかさを感じる香りが特徴の、おだやかな香りが緊張をほぐし、明るい気分に誘う精油です。日本では温州みかん(ぽんかん)の同種として知られています。
マンダリンの名は、サンスクリット語で「指導者」を意味するとされ、中国では高僧を指す言葉でしたが、清の高級官僚たちが皇帝への忠誠や尊敬の証しとしてマンダリンの果実を献上したため、やがて高級官僚のことを呼ぶようになりました。
甘くフルーティーな香りは食欲を促し、落ち込んだ気分を向上させます。また、柑橘系の中でも光毒性が極めて低いことで知られ、精油の使用がはばかられる妊婦や子どもも使用できます。
レモン
誰もが親近感を持つおいしそうな柑橘の香り、フレッシュな香りが魅力的な精油です。
入身への側思、実中カをアップしたいとき、リフレッシュしたいとき、気持ちを明るく保ちたいときにおすすめ。
精油は果物よりもマイルドでクリアな印象の香りで、芳香成分の主成分はリモネンです。
7リモネンを多く含む柑橘系の精油はリラックス作用をする精油が多い中、レモンはそれ以外にピネン類や、強いレモン様芳香を持つとされるシトラールなどが含まれおり、フレッシュな香りで心身を活性化してくれます。
またレモン精油は冷静になりたい時や集中したい時にも効果的で、仕事や勉強時のやる気を高めたい際にも役立つため、気分転換に部屋の中にスプレーする使い方も人気です。
オレンジ・スイート
オレンジ・スイートは甘くフルーティーで、爽やかな香りが人気の精油。柑橘兵の中でも、甘さを強く感じる精油です。日本人にはとくに人気が高く、老若男女に好まれます。
なじみ深いフルーティな香りが気持ちをリフレッシュさせてくれるため、仕事や勉強の効率を高めたいときなどに活躍します。
反対に、肩の力を抜いてひと息つく際のリラックスもサポートします。イライラや、モヤモヤした気持ちをすっきりさせ、明るい気持ちにさせてくれるため、睡眠の質を高める働きも期待できるでしょう。
ネロリ
誰でも一度は嗅いだことのある、おなじみの香りの精油です。カン科の常緑樹であるビターオレンジ(和名:橙-だいだい)の花から抽出され、甘さより苦味と爽快感が残るのが特徴です。
気持ちを明るくし、心と体のバランスを保つように働きかけます。ストレスが原因で、つい食欲に走ってしまうような方に向いています。
欲求不満、自己批判、自己嫌悪といったネガティブな感情を払拭してくれるような香りを楽しみましょう。
イランイラン
エキゾティックなアジアの国を思わせる、甘い花で強く香る精油です。男女問わず好まれ、男性用化粧品にもよく使われています。
情緒の浮き沈みや不安が和らぎ、心が落ち着いてきます。気持ちがコントロールできないときや落ち込んでしまったとき、精神的なストレスで眠れないときなどに利用してみましょう。
また、緊張や不安が高まり、捨てレスを感じる際にもおすすめです。
ラベンダー
フローラル系で馴染みやすく、誰もが心地よいと感じる、涼やかな甘い香りの、代表的な精油です。ラベンダーはアロマオイルと自律神経の関係について、とくに多くの学術的な研究がされてきました。
心にも体にも利用価値が高い「万能薬」として、世界中で利用されています。心に静けさと落ち着きを取り戻させ、日常生活の中で起こりやすいトラブルに用いられます。
家庭に1本常備しておくと大活躍です。中でも、ラベンダーは自律神経を整える際に使ってほしいアロマとして注目されており、気分を落ち着かせたいとき、不眠の際にもピッタリなアロマオイルです。
すき間時間に。何かをしながら。
アロマ初心者が簡単に芳香を楽しみリラックス感を得る方法
精油を使った経験がない人でも、精油の用意以外は家にあるもので、簡単に楽しめる方法をご紹介します。
アロマバス以外は、仕事をしながら、何かをしながら、職場でも自宅でもすき間時間に活用できます。複雑な方法や新たに購入するものが精油以外ほとんどいらず、「香り」を贅沢に楽しめる時間が作れるのです。
手軽なところから始め、少しづつ香りのある時間や空間を増やしていきましょう。
初心者ならコストも手間もゼロ。精油を数滴、ハンカチやティッシュにたらすだけ
精油を手持ちのハンカチやティッシュに数滴たらすだけです。鞄にも入れられるため、いつでも好きな香りを楽しめます。
マスクにたらすのもよいですが、精油の種類によっては皮膚に刺激を感じる場合があるため、精油をつけた部分が直接肌にふれないように注意してください。
立ち昇る蒸気が癒し。精油を数滴、お湯を入れたマグカップにたらすだけ
マグカップにお湯を入れて精油を数滴たらします。蒸気からよい香りが漂ってくるでしょう。蒸気に顔を近づけ深呼吸しながら香りを楽しむ方法です。
湯舟を張って、たった数滴たらすだけ。リラックスの極みのアロマバス
アロマバスは浴槽のお湯に精油を垂らして楽しむ方法です。ぬるめのお湯につかり、深呼吸しながら蒸気を吸い込み、ゆったりとした気分で香りを楽しみましょう。
香りだけでなく、皮膚からも精油の成分が吸収され効能が得られます。
アロマバスは血液循環や新陳代謝が高まるとともに、副交感神経が優位になることで心身の緊張がほぐれリラックスを促します。
全身浴は浴槽にお湯を張り、精油を2滴から10滴垂らして混ぜてから肩まで浸かります。半身浴は浴槽に少なめにお湯を張り、精油を2滴から7滴垂らして混ぜ、みぞおち辺りまで浸かります。
立ち上がる蒸気の香りを楽しみながら入りましょう。 全身を温めることで血液循環も良くなります。
さらに興味が出たらアロマストーンやアロマディフューザーを購入し使ってみよう
珪藻土や素焼きのアロマストーンに精油を数滴たらして楽しみます。持ち運びに便利で、外出先で使用したい場合もおすすめです。
広い空間で香りを楽しみたい場合は、アロマディフューザーはいかがでしょうか。水と精油を一緒にセットするタイプや、精油のみセットするタイプなどメーカーによってさまざまなので、ライフスタイルに合ったタイプを選びましょう。
季節の変わり目の不調には頑張っている自分を
「香りを楽しむ贅沢時間」でいたわってあげよう
季節の変わり目は自律神経が乱れやすく、体調不良を訴える方が増えます。とくに春は寒暖差や生活環境の変化によるストレスを受けやすい時期です。
つらいときは無理せず、日頃から頑張っている自分をいたわってあげましょう。リラックスできる雰囲気づくりにアロマを楽しむのはおすすめです。
まずは簡単な方法から、香りを生活に取り入れてみませんか?
自律神経が乱れる原因や乱れたときに見られる体調変化について知っておけば、自律神経を整えるセルフケアを日常に取り入れる選択に、より早くたどり着けるはずです。