美容×健康ライター中村里歩
元美容師で「超」がつく美容・健康マニア。試した美容法・健康法は数知れず…。経験を活かし、美意識の高い女性や、健康に悩む男性に寄り添う記事を執筆するべく活動中。
モットーは「明るく前向きに」「日進月歩」。AIに負けない、読者への愛がたくさん詰まった記事を執筆するため日々勉強中。
ハーブは古来から虫除けとして使われてきた植物です。ハーブが、自らを守るため虫を寄せつけない力は、天然の芳香物質「エッセンシャルオイル」に凝縮されています。
私たちを癒してくれるあの香りこそ、虫たちが苦手な香りなのです。ハーブは虫除けとしてだけでなく、さまざまな活用方法があるのも魅力のひとつ。寄せ植えにしたり乾燥させて飾ったりすれば、ベランダやお部屋を華やかにしつつ虫からお家を守ってくれます。ハーブの活用方法を知り、楽しみながら虫対策をおこなってみませんか?
ハーブが虫を寄せ付けないのは、ハーブの放つ天然の芳香物質「エッセンシャルオイル」を苦手とする虫が多いからです。では、なぜハーブはエッセンシャルオイルを分泌するのでしょうか。
答えは「虫や鳥から身を守るため」。植物は、根を張った場所からは移動できません。そこで、虫や鳥が嫌う香りや苦み成分を分泌して、自分自身を守っているのです。
ハーブは古くから防虫効果があるとして重宝されていました。中世初期から18世紀の英国では、家中にハーブをばらまき、踏んで香りをだして、ノミをはじめとする虫対策をおこなっていたそうです。
ハーブとひと口にいっても、虫除けに向いているのは「虫が嫌がる成分」を含んでいるハーブです。代表的なハーブや成分は以下をご覧ください。
ハーブは比較的育てやすい植物です。より育てやすいハーブを選ぶなら、多年草で寒さに比較的強い、ミント・ローズマリー・タイム・ラベンダーなどのハーブがおすすめです。選ぶときの参考にしてくださいね。
虫にも「好きな香り」と「嫌いな香り」があります。虫除けを目的にハーブを活用したいときは、寄せつけたくない虫が嫌いな香りのハーブを選びましょう。
蚊やハエは、シネオールやシトロネラールの成分を嫌います。したがって「ローズマリー」「シトロネラグラス」や「ユーカリ」などのハーブが向いています。また、リナロールを含んでいる「ラベンダー」もおすすめです。
ゴキブリはメントール系の成分が苦手です。また、香味の強いチモールも嫌います。「ハッカ(ミント)」や「タイム」、「オレガノ」などのハーブを選ぶとよいでしょう。
ハチやアブもメントール系の香りを嫌います。したがって、ハチやアブ対策をしたいときは「ハッカ(ミント)」系のハーブが向いています。
アリやカメムシも、メントール系の成分を嫌がります。ハチやアブ対策と同様「ハッカ(ミント)」系のハーブを選びましょう。
室内に寄生するダニやノミはメントール、シネオール、樟脳(カンファー)などの成分が苦手です。そのため「ハッカ(ミント)」「ユーカリ」「ローズマリー」「レモングラス」といったハーブが適しています。また「ラベンダー」もダニ・ノミ除けに向いています。
ムカデやナメクジは、チモールやリナロールの成分を嫌います。したがって、ムカデやナメクジ対策には「ラベンダー」や「タイム」「オレガノ」を選ぶのがおすすめです。
ハーブは乾燥させたり煮詰めたり、形状を変えたりして、用途に合わせた使い方ができるのも魅力です。活用法を一部ご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
オシャレな見た目で庭やベランダを華やかにしたいときは、ハーブや植物の寄せ植えがぴったり。ハーブの組み合わせによる相乗効果で、回避できる虫が増えるのもメリットです。
寄せ植えを作るときは、似た性質のハーブを組み合わせましょう。直射日光を好むハーブがいれば、湿った場所を好むハーブもいます。水やりの頻度や、生育環境を揃えて寄せ植えしましょう。
なお、繁殖力の強いミントやローズマリーなどのハーブは、ほかのハーブを浸食してしまうケースがあるので、寄せ植えには向いていません。
摘み取ったハーブを束ねて風通しのよい場所に吊るしておけば、ドライハーブの完成です。窓辺に吊るしておけば、香りが持続して窓から入ってくる虫を回避できます。一緒にドライフラワーを作って並べてロープに吊るすと、ガーランド風のインテリアに。好きな花やハーブを組み合わせてみてくださいね。
自然乾燥させたハーブをお茶パックのような不織布のパックに入れ、さらに小さな巾着に入れたら手づくりサシェのできあがり。ほんのりハーブが香る、持ち運べる虫除けの完成です。サシェはタンスやクローゼットのなかに入れておけば、ダニ除けとしても使用できます。ダニが苦手なミントやローズマリーをブレンドして作ってみてくださいね。
育てたハーブで、自家製の虫除けスプレー作りもできます。用意するものは、お好みのハーブだけ。鍋にお湯を沸かしたら、ハーブの葉や花をひとつかみ程度いれて弱火で煮出します。火を止めたら、そのまま冷めるまで放置して完成です。爽やかな香りを付けたい方は、火を止めた段階で、レモン1個を薄くスライスして加えてもOKです。なるべく短い期間で使い切りましょう。
生花やドライハーブとは異なりますが、精油(エッセンシャルオイル)を使って虫除けをするのも方法です。アロマディフューザーに使用したり、水で希釈してスプレーにしたりと、使いたい場所にあわせ使い方を選択できるのも精油の魅力です。精油は一滴に成分が凝縮されているため、刺激になったり香りを不快に感じたりする場合があります。使用方法に気をつけ、少量ずつ使用すると安心です。
「ハーブの虫除けは意味がない」と感じている方もいるかもしれません。実際のところはどうなのでしょうか?詳しくみていきましょう。
ハーブは虫除けに使われる植物であり、虫を駆除してくれる薬ではありません。したがって、家のなかに一度入ってしまうと、出口がない限りは家に留まり続けるのです。家に虫がいると「せっかくハーブで虫除けしているのに意味がない」と感じてしまう方もいるでしょう。効果がないと感じるのは、このためかもしれません。
虫除けとして優秀なハーブ。しかしハーブの種類によっては、アブラムシやハダニなどの虫が寄り付いてしまう場合があります。ラベンダーやバジル、ローズマリーといったシソ科のハーブは特に注意が必要です。また、バッタがミントやバジルの葉を好んで食べにくる場合もあります。すべての虫を避けられるわけではないと覚えておきましょう。
ハーブの虫除けは身体にやさしいぶん、徹底的に虫を避けたいときには、やや物足りなさを感じるかもしれません。市販の虫除けには多くの成分が含まれているため、持続時間が短く、虫を回避する力も強いのです。一方、ハーブは天然植物なので、赤ちゃんやペットがいる家庭に適しています。家や衣類を虫から守りたいときはハーブ、屋外で長時間虫刺されを回避したいときは市販の虫除けを使用し、どちらのメリットもうまく取り入れて使い分けましょう。
ハーブは、蚊・ゴキブリ・ダニ・アリ・カタツムリなどのさまざまな虫対策に役立ちます。しかし、天然のやさしい成分であるがゆえに、持続時間が短い点や、「一匹も虫を寄せつけたくない」ひとにとっては、虫除けとしてやや物足りなさを感じるかも。ハーブも市販の虫除けアイテムも、どちらもメリットがあります。シーンに合わせた適切なアイテムを選び、万全な虫対策をおこないましょう。