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【どこよりも詳しい精油の話・5】サンダルウッドの歴史と魅力<魅力編>

アロマセラピーAROMATHERAPY
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2024/12/04

サンダルウッドとは、やわらかく暖かでクリーミーな香りがする白檀(ビャクダン)と呼ばれる香木で、世界で最も高価とされる木材のひとつです。彫刻に適している木質と、よい香りが何年間も持続する特性から、仏具や装飾などに多く使用され、伝統医学でも珍重されています。
香水・化粧品・アロマセラピーに活用され、アジアや東洋だけでなく、今や世界中で親しまれているサンダルウッド精油。<魅力編>では、サンダルウッドの基本的な情報や精油の楽しみ方、サンダルウッドに関する近年発表されたの世界中の研究について紹介します。

 

サンダルウッドの生物学的な情報

「トゥルー・サンダルウッド(学名 Santalum album)」は、サンタル科(ヤドリギ科)サンタラム属の木です。約10メートルの高さまで育ち、楕円形の常緑の葉と、無臭の小さな黄色の花をつけるのが特徴です。
ヤドリギの名前のとおり半寄生性で、他の木の根に付着して宿主から水と栄養を引き出します。適切な宿主の木に付着した場合にのみ、サンダルウッドは成長できるのです。 木の成長は非常に遅いものの、育っていく過程で多くの精油を蓄えます。古い木になると精油含有量が高く、品質も優れていますが、乾燥地で育つサンダルウッドは、収穫できるまでに100年以上もかかる場合があります。
「オーストラリアン・サンダルウッド(学名 Santalum spicatum)」も、同じサンタル科サンタラム属の木です。形態や生態はトゥルー・サンダルウッドに似ていますが、より広く栽培されています。

 

サンダルウッドの種類

サンダルウッド(白檀)として扱われる木は数多くあり、主に25種ほどのが利用されています。トゥルー・サンダルウッドと、トゥルー・サンダルウッドの近縁でサンダルウッドとして使われる木をいくつか紹介します。

トゥルー・サンダルウッド(インディアン・サンダルウッド)

学名はSantalum albumですが、多くの場合はシンプルにサンダルウッドと呼びます。サンダルウッドが持つ豪華なウッディフローラルの香りの元、α-サンタロールとβ-サンタロールを最高濃度で含んでいます。β-サンタロールは、防虫性に関係している物質です。
トゥルー・サンダルウッドは、サンダルウッドとして扱われる木材の中で一番香りを長く保ち、木のままで何十年も香りを放ち続けるのが特徴です。精油は貴重なため「リキッド・ゴールド」と呼ばれます。

オーストラリアン・サンダルウッド

学名はSantalum spicatumで、アロマセラピストや調香師に愛用されています。1840年代、サンダルウッドは西オーストラリア州の最大の輸出品で、精油は1875年に初めて生産されました。20世紀の変わり目で生産量は減りますが、1990年代後半に生産が復活。2009年には、年間20トンの精油が生産されました。多くはヨーロッパの香料産業で使われ、噛みタバコに多く利用されました。
精油の香りはトゥルー・サンダルウッド精油よりやや軽く、青っぽく爽やかさがあります。働きはトゥルー・サンダルウッドとほぼ同じです。

コーステル・サンダルウッド(沿岸サンダルウッド)

学名はSantalum ellipticum、ハワイ語ではイリアヒアロエと呼びます。香料としてだけでなく、彫刻品や箱づくりに役立てられています。

森のサンダルウッド

学名はSantalum freycinetianum。ハワイ先住民は、森のサンダルウッドの木材でポーラ(二重船体のカヌー)の甲板 を作りました。粉末は香料として使用され、ハワイ先住民の伝統的な製法で作られるカパ布に加えられました。1791~1840年、森のサンダルウッドは中国への輸出のため集中的に伐採され、彫刻品・箱・香料に加工されます。1815年から1826年にかけて輸出量はピークに達しましたが、森のサンダルウッドの大きな木がなくなると貿易は止まりました。

 

サンダルウッド精油の魅力

サンダルウッドは、宗教儀式や瞑想に使われる香木なので、精油も気持ちを鎮めるのによく使われます。また、体の循環を促すので、冷え対策やむくみにおすすめです。保湿にも使われます。サンダルウッドの心身への働きかけを紹介します。

心への働きかけ

緊張を和らげ、リラックスさせてくれる香りです。心が疲れている時、ストレスを和らげてくれるでしょう。また、セクシーでロマンチックな気分にさせると言われています。落ち込んだ時に使いたい精油ですが、落ち込みがひどい時は、サンダルウッド精油を単品で使うとかえって落ち込む場合があるので、控えましょう。

体への働きかけ

温活により身体を温めるために使われます。喉に違和感がある時に香りを吸入したり、アロマバスに使う精油です。

肌への働きかけ

肌を柔らかくし、潤すためのスキンケアにもおすすめです。乾燥肌にも脂性肌にも使える精油です。

 

サンダルウッド精油のおすすめの使い方

サンダルウッドは緊張をほぐすので、眠れない時やストレスで疲れた時におすすめです。単体でも役立ちますが、キャリアオイル・エタノール・スプレー・蜜蝋等があると使い道が広がり、楽しみ方が増えます。

リラックス

ティッシュやコットンに数滴落として近くに置きましょう。部屋中に香りを広げたい時は、拡散力があるアロマランプやアロマディフューザーがおすすめです。サンダルウッドは後から長期にわたって香ってくるので、最初あまり香りを感じなくても、使用は数滴にとどめましょう。サンダルウッドと相性がいい他の精油には、オレンジ・レモン・ベルガモットといった柑橘系の精油や、ラベンダー・ローズ・イランイランといった花の精油があり、ブレンドもおすすめです。

ベッドルームの香り

サンダルウッド3滴をエタノール20mlに溶かして水10mlを加え、香らせたい場所にスプレーしましょう。エタノールでなく、キャリアオイル30mlに溶かして体に塗るのもおすすめです。
マジョラム3滴、ラベンダー4滴を足すとよりリラックスによくなり、さらにオレンジ5滴を足すと気持ちを明るくします。

練香

サンダルウッド3滴をキャリアオイル20mlに溶かし、熱を加えて溶かした蜜蝋5gと混ぜると、いつでも塗りやすく香りを使いやすい練香が作れます。ローズ3滴(ゼラニウム1滴+ローズウッド3滴で代用可)、ベルガモット4滴を足すと、落ち込みを和らげ気持ちを軽くする作用が強くなります。

緊張を和らげる

サンダルウッド2滴をキャリアオイル30mlに溶かし、手の甲を手のひらで包み込むようにして塗りましょう。ラベンダー3滴とネロリ1滴を加えると、よりリラックスに向いたブレンドになります。緊張を和らげるツボである「労宮」(手を握った時、手のひらに当たる中指と人差し指の間)や、「合谷」(手の甲の親指と人差し指の分かれ目のやや人差し指寄り)を意識してマッサージするのがおすすめです。手間を掛けられない時は、ハンカチにサンダルウッドを1滴垂らしておき、すぐ取り出して嗅げるようにしておきましょう。

ロマンチックな気分になりたい

サンダルウッド2滴をキャリアオイル30mlにブレンドして体をマッサージしましょう。イランイラン4滴を足すと、さらにロマンチックでときめきやすくなります。
サンダルウッド1滴とネロリ2滴を、キャリオオイル10mlと熱を加えて溶かした蜜蝋5gに加えて練香にしたブレンドもおすすめです。

ボディケア

サンダルウッドリラックス感を得られるため、ボディケア・スキンケアにも多く用いられます。爽やかな香りを楽しみながら、他の精油とのブレンドでケアを楽しんでみませんか。

全身の循環を促しつつスキンケアやマッサージに

サンダルウッド4滴をキャリアオイル30mlに溶かして全身の保湿やマッサージに使いましょう。フランキンセンス4滴を足すと、肌の乾燥とエイジングケアによく、グレープフルーツ5滴とプチグレン5滴を足すと温活によくなります。グレープフルーツ精油は光に反応してシミになる成分が含まれているので、グレープフルーツ精油を足す場合は夜に使いましょう。

豪奢な気分に浸りつつスキンケアやマッサージに

サンダルウッド3滴をキャリアオイル30ml(アルガンオイルがおすすめ)に溶かし、ローズ3滴(ゼラニウム1滴+ローズウッド3滴で代用可)、オレンジ4滴を足しましょう。サンダルウッドとローズはスキンケアによいだけでなく、豪華で柔らかな気分にしてくれます。オレンジは気持ちを明るくするのにおすすめです。

スキンケア

サンダルウッド1~2滴を、キャリアオイルか無香料乳液10mlにブレンドしてスキンケアに使いましょう。キャリアオイルにアルガンオイルを使うとよりエイジングケアに向きます。また、サンダルウッドは血液循環を促すので、むくみを取り小顔にする作用が期待できます。ラベンダー1滴を足すと肌の新陳代謝を促し、さらにゼラニウム1滴を足すと皮脂分泌調整やシミ・シワの予防によいです。

アロマバス

暖かいお風呂は最高のリラックス空間。サンダルウッドを用い、より入浴時間を楽しむブレンドを紹介します。

膀胱炎の予防

サンダルウッド1滴をエタノール5mlに溶かして塩40gと一緒に湯船に入れましょう。血行がよくなり、体が温まります。ラベンダー1滴、パルマローザ1滴を足すと、さらに香りがよくなり、サンダルウッドを感じられます。

緊張をほぐし眠りやすくする

サンダルウッド1滴をエタノール5mlに溶かし、湯船に入れましょう。オレンジ1滴を足すと気持ちが明るくなり、さらにラベンダー2滴を足すとリラックスによくなります。

 

サンダルウッド精油を用いる際の禁忌事項

精油には禁忌があり、サンダルウッド精油も同様です。下記のケース以外にも、精油の使用方法を迷う場合は、医師や専門家に相談しましょう。

飲用する

日本で売られている精油はほとんどが雑貨扱いで、食品の基準で審査されていません。飲食には適しません。海外では飲食できる精油が売られているので、精油の飲用を勧める文献がありますが、日本では精油を飲食に使わないでください。

薄めずに肌に塗る

精油は植物の成分を凝縮した液体であり、薄めずに肌に塗るには刺激が強いです。サンダルウッドは比較的刺激の少ない精油ですが、薄めずに肌に塗るには適しません。肌に塗る場合は1~3%(顔に塗る場合は0.1~1%)に薄めましょう。精油1滴は約0.05mlなので、参考にしてください。

妊娠初期の使用

妊娠初期に使用は伝統的に禁忌とされています。妊娠中期・後期なら使えますが、体調に注意して通常の半分の濃度で使いましょう。

重度のうつ状態の人への使用

サンダルウッド精油を単品で使うと、重度のうつ状態を悪化させると言われています。落ち込みがひどい場合は、別の精油を試すようにしましょう。
また、禁忌ではありませんが、衣服につけないよう気をつけましょう。何日も香りが残るので、衣服の扱いに困ります。

 

研究でわかったサンダルウッド精油の働き

サンダルウッド精油は働きが広く研究されており、多くの作用が確認されています。気持ちを落ち着けるだけでなく、スキンケアや虫よけにもよい結果が出ている精油です。

抗不安作用

ストレス負荷をかけたマウスを、サンダルウッド精油を嗅がせるグループと嗅がせないグループに分けます。高架十字迷路を使ったテストで不安度を調べたところ、嗅がせたマウスでは有意な抗不安作用が確認されました。対照的に、ストレス負荷をかけていないマウスに嗅がせても抗不安作用は確認されなかったので、ストレス条件下でサンダルウッド精油は抗不安作用を示すのではないかと考えられています。
また、別の研究では、病気の緩和ケアを受けている患者の不安症状に対するエッセンシャルオイルの有効性を調査。サンダルウッド精油を嗅がせたり、薄めてマッサージすると、不安を軽減するのに効果的と裏付けています。

参照:ストレス負荷マウスにおけるサンダルウッド ( Santalum album L.) 油の抗不安薬様活性の持続(味と香りに関する食品科学の国際的研究誌に載った論文)
参照:緩和ケア患者の不安レベルを軽減するアロマセラピーの有効性の評価: パイロット研究の結果(臨床現場における補完療法の国際的研究誌に載った論文)

抗酸化作用と抗ストレス作用

サンダルウッド精油の抗酸化作用と抗ストレス作用を調べたところ、複数の試験で高い抗酸化活性を示し、酸化損傷から神経細胞を守り、酸化ストレスをかけた神経細胞の生存率が効果的に上昇。また、線虫変異株mev-1を酸化ストレスから守り、寿命を伸ばしました。

参照:プランテーションで栽培されたサンタラム アルバムL.から抽出されたエッセンシャル オイルの抗酸化作用とストレス調節作用(工業用作物と製品の国際的研究誌に載った論文)

抗酸化作用

人工的に糖尿病にしたマウスで、サンダルウッド精油と主要成分α-サンタロールの作用を調査。結果、精油とサンタロールは、糖尿病マウスの体重・血糖・肝臓グリコーゲン・血清ビリルビン・過酸化脂質含有量といった数値を、正常な血糖値のマウスでの数値と近づけました。また、精油とサンタロールは、糖尿病マウスの酸化ストレスのケアに関わる酵素など※を改善。α-サンタロールは抗酸化作用を持ち、サンダルウッド精油に含まれる他の成分と組み合わさると、相乗作用を発揮すると考えられています。

※血清アミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、遊離スルフヒドリル、タンパク質カルボニル、一酸化窒素、肝臓過酸化脂質の含有量、抗酸化能など

参照::α-サンタロールと白檀油の生体内抗高血糖作用および抗酸化作用の評価(植物療法および植物薬理学の国際的研究誌に載った論文)

鎮静作用

ベンゼン・クロロホルム・メタノール・水で、サンダルウッドの木材から精油成分などを抽出し、マウスに使用しました。結果、ベンゼン抽出物を使った場合にマウスの睡眠時間が増え、体温が変化し、自発運動が減少。ベンゼン抽出物を調べたところ、α-サンタロールおよびβ-サンタロール(サンダルウッド精油の主要成分)が含まれていて、2種類のサンタロールはマウスに対して神経弛緩剤と似た作用を示しました。サンダルウッド精油の鎮静作用はα-サンタロールおよび β-サンタロールによると考えられています。

参照:サンダルウッド由来のα-サンタロールとβ-サンタロールがマウスの中枢神経系に及ぼす影響(植物療法および植物薬理学の国際的研究誌に載った論文)

リラックス

サンダルウッド精油とα-サンタロールを人間の皮膚に使用して経皮吸収の作用を調べたところ、どちらもリラックス作用を示しました。α-サンタロールでは、生理学的リラックス作用と鎮静作用が確認できましたが、サンダルウッド精油は、生理学的不活性化を示しつつも行動の活性化を引き起こしたのです。

参照:東インド白檀油とα-サンタロールの経皮吸収後のヒトへの影響の評価(天然物と薬用植物の国際的研究誌に載った論文)

覚醒度を高める

健康なボランティアを対象に、サンダルウッド精油とα-サンタロールを嗅がせて、生理学的パラメータ(呼吸数・瞬き・脈など)に及ぼす影響と覚醒度の自己評価(注意力・落ち着き・リラックス)を調査。サンダルウッド精油は脈拍数を上昇させ、皮膚電気活動の変化、収縮期血圧の上昇、生理学的な覚醒度を高める結果を示しました。自己評価における注意力と気分については、α-サンタロールの方がよい結果に。サンダルウッド精油とα-サンタロールの匂いの質の違いから差が出た可能性が考えられています。

参照:東インド白檀とα-サンタロールの香りは人間の生理的および自己評価による覚醒を高めます(天然物と薬用植物の国際的研究誌に載った論文)

抗酸化作用による神経保護と老化からの保護

神経毒性がある成分を投与して神経を傷つけた線虫に、サンダルウッド精油・α-サンタロール・β-サンタロールそれぞれを使用。3成分ともに優れた抗酸化作用と抗アポトーシス作用(細胞が自分から死ぬのを防ぐ作用)を示し、線虫の寿命を伸ばしました。また、線虫におけるパーキンソン病に関連した病態を軽くし、生理機能を改善。サンダルウッド精油・α-サンタロール・β-サンタロールは、抗酸化作用によって神経を保護し、加齢に伴う神経障害の予防と酸化還元ベースの神経保護剤として役立つ可能性があるといえるでしょう。

参照:東インドサンダルウッド ( Santalum album L.) オイルは、SKN-1/Nrf2 シグナル伝達経路の活性化を介して線虫に神経保護と老年者保護を与えます(化学分野の国際的研究誌に載った論文)

抗炎症作用

乾癬(かんせん)は、皮膚のケラチノサイトが過剰に増え続ける慢性炎症の皮膚病です。サンダルウッド精油を乾癬を起こした皮膚細胞に使用したところ、顕著な抗炎症特性と抗増殖特性を示し、乾癬患者の治療に効果をもたらす可能性があるとしました。細胞を詳しく調べた結果から、乾癬の抑制は、サンダルウッド精油の抗炎症作用によると考えられています。正常な皮膚細胞にはとくに変わった影響を示しませんでした。また、他の研究でも細胞毒性を示さずに、炎症を起こす物質の生成を抑制しました。サンダルウッド精油の皮膚細胞に対する抗炎症作用は、主にα-サンタロールおよびβ-サンタロールに由来すると考えられています。

参照:東インド白檀油 (EISO) は乾癬の炎症性および増殖性病状を軽減します(民族薬理学の研究誌に載った論文)
参照:サンダルウッドオイルのiNOS発現および炎症誘発性サイトカイン産生に及ぼす影響(韓国の薬学会の研究誌に載った論文)
参照:白檀油および精製α-サンタロールおよびβ-サンタロールによる皮膚細胞におけるリポ多糖刺激性サイトカイン/ケモカイン産生の抑制(薬用植物研究の国際的研究誌に載った論文)

放射線療法の副作用で起きる皮膚炎の予防

がん治療において放射線療法は有効な治療法ですが、放射線皮膚炎を引き起こす可能性があります。放射線療法を受けている乳がん患者に、サンダルウッド精油とターメリックをベースとしたクリーム、またはベビーオイルを使用して皮膚炎の状態を観察。サンダルウッドとターメリックのクリームは、ベビーオイルと比較してはっきりと放射線皮膚炎を抑制しました。
また、放射線皮膚炎予防をしている放射線治療乳がん患者を対象に、ジョンソンベビーオイルまたはサンダルウッド精油とターメリックをベースとしたクリームの作用を調べたところ、クリームで放射線皮膚炎が大幅に軽減しました。

参照:白檀油とターメリックベースのクリームが乳がん患者の電離放射線誘発性皮膚炎を予防:臨床研究(薬学の国際的研究誌に載った論文)

ニキビ治療

サリチル酸(抗炎症作用と皮膚軟化作用を保つ成分)と、高度に精製されたサンダルウッド精油をブレンドした洗顔料・ニキビ用美容液・スポット治療剤・パックを使用すると、ニキビの症状(かゆみ、鱗屑、紅斑、灼熱感、乾燥、および刺痛)が改善。副作用としてのかゆみは確認されず、他の副作用も軽度から中程度に収まりました。

参照:軽度から中等度のニキビを患う青年および成人を対象とした、白檀油を含む独自の局所0.5%サリチル酸ベースの治療計画の非盲検研究(アメリカの皮膚科薬物に関する研究誌に載った論文)

メラニン色素の生合成を阻害

サンダルウッド精油とα-サンタクロールは、チロシナーゼ(メラニン色素の生合成に関わる酵素)の働きを強力に抑制。また、コリンエステラーゼへの強力な抑制作用が確認されています。コリンエステラーゼを抑制すると神経伝達物質アセチルコリンが増え、アルツハイマー病などの認知症による記憶障害を遅らせるため、サンダルウッド精油はアルツハイマー病にも役立つ可能性がある精油といえるでしょう。

参照:サンダルウッド油の in vitro 抗チロシナーゼおよび抗コリンエステラーゼ潜在力の TLCバイオオートグラフィック評価(天然物に関する研究誌に載った論文)

抗ウイルス作用

抗ウイルス薬に耐性のあるヘルペスウイルスに対して、サンダルウッド精油は高レベルの抗ウイルス活性を示しました。

参照:ショウガ、タイム、ヒソップ、サンダルウッドのエッセンシャルオイルに対する薬剤耐性臨床単純ヘルペスウイルス1型株の感受性(抗菌剤と化学療法の研究誌に載った論文)

抗菌作用

サンダルウッド精油は、大腸菌・サルモネラ菌・黄色ブドウ球菌・枯草菌に対して、抗菌作用を示しました。また、別の研究においても、9種類のグラム陰性菌および5種類のグラム陽性菌に抗菌作用を示しました。

参照:ハチミツ、サンダルオイル、黒胡椒の抗菌作用(パキスタンの植物学研究誌に載った論文)
参照:東インドの白檀の木 ( Santalum album L.) からのin vitroおよびin vivo抽出物の植物化学分析と抗菌効果の比較(オックスフォード大学が出版している応用微生物学の研究誌に載った論文)

殺虫・防虫

植物の汁を吸い被害をもたらすナミハダニに対して、殺ダニ活性と産卵抑止活性を示しました。2つの活性はα-サンタロールとβ-サンタロールによると考えられています。植物の殺ダニ剤は、しばしば植物に葉焼けtぽった薬害を与えますが、サンダルウッド精油を薄めてまいたバラの新芽には、薬害は見られませんでした。
別の研究では、ツバメハダニに顕著な忌避作用を示し、α-サンタロールとβサンタロールによる忌避作用だと考えられています。
また、ワタアブラムシに対してもはっきりとした高い忌避作用と防除作用を示しました。α-サンタロールとβサンタロールのブレンドもサンダルウッド精油と同等の作用を示し、ワタアブラムシに対して、イミダクロプリド(ネオニコチノイド系殺虫剤)に匹敵する有効性と判定されました。

参照:サンダルウッド油中のサンタロールのナミハダニ(ダニ: Tetranychidae)に対する殺ダニおよび産卵阻止効果が確認されました(害虫科学の研究誌に載った論文)
参照:サンダルウッド油由来のサンタロールのテトラニクス・ウルティカエ(ダニ:テトラニクス科)に対する忌避効果(経済昆虫と昆虫生態学の国際的研究誌に載った論文)
参照:ワタアブラムシに対する白檀油 ( Santalum austrocaledonicum ) と主成分の生物活性(害虫科学の研究誌に載った論文)
 

サンダルウッドが利用されてきた長い歴史と研究から役立つ働きを知ろう

サンダルウッドは4000年前から利用されてきた香木で、香料・伝統医学の薬・彫刻の材料として重宝されています。インドや東南アジア原産ですが、オーストラリアに自生する近縁の木もサンダルウッドとして広く使われています。現代ではサンダルウッド精油は香水やアロマセラピーで親しまれ、リラックス・瞑想・ストレスへの対処にもおすすめです。原料の絶滅が危惧されているため高価な精油ではありますが、持続可能な収穫のために多くの努力がされています。ぜひ日々の中に取り入れてみませんか。

  • 田中彩

    アロマ・ハーブ・薬膳・漢方ライター田中彩

    「紅生姜」の名義でハーブ・薬膳・漢方を中心に書くWebライター。植物と昆虫の研究で修士号を取得。農分野で研究員として働いた経験とバイオ系で遺伝子検査や抗体精製などに関わった経験あり。 薬膳コーディネーター、メディカルハーブセラピスト、アロマ&ケアスペシャリスト、紅茶検定中級の資格あり。理系として、研究論文(英語含む)、書籍を参考に執筆するよう心がけている。