野菜は「健康に良い」とわかっていても、意識しなければ十分な量を摂取することはできません。
厚生労働省が実施している「国民健康・栄養調査」によると、野菜摂取量の目標が350gとされているのに対し、平成30年度の調査結果においては、成人男性で平均約290g、成人女性で平均約270gと男女ともに目標量に到達していないことがわかりました。
特に、20~30代での野菜不足が目立ちます。野菜不足を補うために、野菜ジュースやサプリメントなどを取り入れている方も多いのではないでしょうか。
野菜が不足でおこる不調や野菜に含まれる栄養素を知って、食生活を見直すきっかけにしましょう。手軽に摂取できる野菜サプリメントの上手な活用方法もご紹介します。
野菜に含まれる栄養素について
野菜には、ビタミンやミネラル、食物繊維が多く含まれています。それぞれの働きや、体に与える影響はどのようなものでしょう。
ビタミン
人の体の機能を正常に保つために必要な有機化合物です。体内ではほとんど合成することができないため、食物から摂取する必要があります。
ビタミンは、その性質から水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分けることができます。
水溶性ビタミンは血液などの体液に溶け込んでいて、余分なものは尿と一緒に排泄されるため、過剰症の心配はほとんどありません。体内のさまざまな代謝に関わっています。
一方、脂溶性ビタミンは水に溶けない性質があり、主に脂肪組織や肝臓に貯蔵されます。からだの機能を正常に保つ働きをしていますが、水溶性ビタミンと異なり余分なものは体外に排泄されるわけではありません。摂りすぎると過剰症のリスクもあるため注意が必要です。
水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンは下記の通りです。
水溶性ビタミン
- ● ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)
- ● ビタミンC
脂溶性ビタミン
- ● ビタミンA
- ● ビタミンD
- ● ビタミンE
- ● ビタミンK
ミネラル
ミネラルは無機質とも呼ばれています。体内で合成することができないため、食物から摂る必要があります。
不足した場合は欠乏症やさまざまなからだの不調が発生しますが、摂りすぎた場合も過剰症や中毒を起こすものもあるため注意が必要です。
ミネラルは互いに吸収やそれぞれの働きに影響し合う性質があるため、バランス良く摂取することが重要です。
下記のミネラルが「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において基準量が設定されています。
- ● ナトリウム
- ● カリウム
- ● カルシウム
- ● マグネシウム
- ● リン
- ● 鉄
- ● 亜鉛
- ● 銅
- ● マンガン
- ● ヨウ素
- ● セレン
- ● クロム
- ● モリブデン
食物繊維
食物に含まれる、人の消化酵素で消化することのできない物質のことをいいます。
体の中で重要な働きをすることから、五大栄養素(糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル)に次いで第六の栄養素といわれることもあります。
食物繊維は、水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維にわけることができます。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は下記の通りです。
不溶性食物繊維
- ● セルロース
- ● ヘミセルロース
- ● キチン
- ● キトサンなど
水溶性食物繊維
- ● ペクチン
- ● グルコマンナン
- ● アルギン酸
- ● アガロース
- ● アガロペクチン
- ● カラギーナン
- ● ポリデキストロース など
食物繊維は、便通を整えることで便秘予防の役割を担っています。その他にも、脂質、糖、ナトリウムなどを吸着してからだの外に排出する働きもあるため、肥満や脂質異常症、糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防・改善にも効果が期待されています。
日本人は基本的に野菜不足であるため、通常の食生活で過剰摂取になることはあまりありませんが、サプリメントなどの健康食品を多量に摂っている場合は、ミネラルなどの吸収を阻害することもあるため注意が必要です。
野菜が不足するとおこる体の不調
厚生労働省が定める野菜摂取量は350g以上ですが、このうち、人参やほうれん草など色の濃い野菜である緑黄色野菜を120g以上摂るように推奨しています。
淡色野菜と緑黄色野菜を組み合わせて摂取することで、前述した野菜に含まれる栄養素もバランス良く摂ることができます。
野菜が不足すると、体にどのような不調が出てくるのかをご紹介します。こういった不調を招かないためにも、野菜は意識して摂るようにしましょう。
腸内環境の悪化
野菜が不足すると腸内環境の悪化に繋がります。
人の大腸には多くの菌類が生息していますが、悪玉菌が増えると腸内環境が悪化して下痢や便秘傾向になりがちです。善玉菌を増やすためには、善玉菌のエサとなる食物繊維が必要不可欠です。
また、食物繊維は正常な便を形成する役割も担っています。食物繊維と並んで野菜に多く含まれるビタミンも、腸の健康に欠かせない栄養素です。
腸内環境が悪化すると肌荒れの原因にもなります。
疲れやすくなる
ビタミン類は代謝にも関与しています。ビタミンが不足することでエネルギーを作り出すことができず、体を動かすためのエネルギーが不足している状態になり、疲れやすくなってしまいます。
ビタミンB群は疲労回復にも良いとされているため、不足するとなかなか疲れがとれない、だるいなどの不調も出やすくなります。
免疫力が低下する
野菜に含まれるビタミンには、体内の活性酸素を除去して細胞の酸化を防ぎ、免疫力を高めてくれる働きもあります。また、ミネラルも、免疫細胞を作るためには欠かすことができません。そのため、野菜不足は免疫力低下を招く可能性もあるのです。
生活習慣病のリスクが高くなる
生活習慣病は、食生活や運動、喫煙、飲酒など普段の生活習慣の乱れが大きな要因となっています。
野菜や果物に多く含まれるビタミンや食物繊維は、ガンや心臓病の予防に効果的とされています。ビタミンCや緑黄色野菜に多いβ-カロテンには発ガン物質が体内で作られるのを阻止する働きがあり、ビタミンA、C、Eなどには、体内の細胞や組織を酸化させ、生活習慣病の原因となる活性酸素の発生を抑える作用があります。
他にも、食物繊維は腸の掃除役として知られており、カリウムには血圧を下げる働きがあることもご存じの方は多いのではないでしょうか。
生活習慣病の予防のためにも、野菜は積極的に食べるようにしましょう。
野菜サプリメントの上手な活用方法
野菜にはビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれていますが、体内でつくることが難しいため、食事で摂る必要があります。しかし、毎日忙しい現代人にとって、食事だけで必要な量を補うのは難しいといえます。
そんな時は、野菜サプリメントを利用して手軽に補うこともできます。ビタミンやミネラルが単体で補給できるものから、ビタミン+ミネラルなど複合タイプのものもあります。
自分がどの成分が必要か考えてから購入するとよいでしょう。水溶性ビタミンに関しては、からだに留めておくことができないため、1回でまとめて飲むのではなく、できれば各食小分けで飲むことをおすすめします。
水溶性ビタミンは過剰症の心配はほとんどありませんが、脂溶性ビタミンやミネラル、食物繊維においては過剰に摂取することで、逆に不調をきたしてしまうこともあります。
1日の摂取目安量を参考にして過剰摂取にならないように注意しましょう。
日本人の野菜不足はなかなか解消されません。国が推奨している1日350g以上の野菜の摂取を実現するためには、各食意識して野菜を取り入れる必要があります。
しかし、多忙な日々で食事に気遣うことができなかったり、一人暮らしだと大量の野菜を購入するのもなかなか難しいのが現状ではないでしょうか。
そのような場合は、サプリメントを併用すると手軽に不足分を補うことが可能になります。上手に利用しながら、日々の野菜不足解消を目指していけたらよいですね。
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