法律関係ライター佐藤孝生
元弁護士としての経験を活かし、日常生活にまつわる法律問題や、困りごとに応える記事を中心に執筆活動を行う。
弁護士時代には、離婚、相続、交通事故など身近な困りごとを取り扱う業務に従事。
現在では「読者の困りごとに寄り添う記事」をモットーに、法律問題にとどまらず、健康コラムなどさまざまな執筆に取り組んでいる。
しじみは、味噌汁の材料として多く使用されており、日本の食卓には欠かせない食材です。「しじみの凄さ」は美味しいだけではありません。しじみは多くの栄養素を含む食材なのです。
本記事では、オルニチンやアラニンなど、しじみに含まれる栄養素について詳しく解説します。個々の栄養素の働きについては知らない方も多いでしょう。しじみを美味しく食べるコツも紹介していますので、最後までお楽しみください。
しじみは、古くから日本人に親しまれてきた食材です。日本全国に生息しており、かつては獲っても獲っても減らないといわれたほどでした。
今では環境の悪化や乱獲などから漁獲量が減ってしまいましたが、昔から現在まで日本の食卓には欠かせない食材です。
しじみが古くから家庭の食材として使用されてきた背景として、しじみの持つ栄養素によって日本人の食生活のバランスを整えてきた点も大きいでしょう
しじみに含まれる栄養素を挙げるときりがありません。代表的な栄養素だけを挙げると次のようになります。
各栄養素の名前を耳にしたことはあっても、それぞれの働きまで詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。ひとつひとつ詳しく見ていきましょう。
オルニチンはアミノ酸の一種で、肝臓の働きを保ち、疲労の回復を助ける役割が期待できます。
オルニチンは、しじみ・キハダマグロ・チーズなどの食材に含まれています。中でもしじみは、他の食材に比べ多くのオルニチンを含む食材です。
オルニチンは、タンパク質中に存在する多くのアミノ酸と異なり、たんぱく質とは結合せず、血液に溶け込んで体内を巡るため「遊離アミノ酸」と呼ばれています。
オルニチンの主な役割は2点あり、「オルニチンサイクルの活性化」と、「成長ホルモンの分泌の補助」です。
オルニチンサイクルとは、体内のアンモニアを尿素に代謝して、体外に排出する仕組みをいいます。アンモニアは身体に有害な物質で、体内に留めておくと肝機能の低下や疲労の原因となります。
オルニチンサイクルが活性化されると、アンモニアの代謝が促進されるため、肝機能が正常に保たれます。肝臓には、体内の有害物質を解毒する働きがあるため、肝機能が保たれると、疲労回復にもつながります。
オルニチンはオルニチンサイクルを活性化させ、肝機能を保つために欠かせない成分なのです。
オルニチンには、成長ホルモンの分泌を助ける働きもあります。
成長ホルモンには、筋肉の発達や骨の形成を促す作用があり、名前のとおり、身体を成長させる役割を果たしています。
成長ホルモンは、子どもだけに必要な物質ではありません。成長ホルモンには全身の代謝を促す作用があり、脂肪の分解や肌の状態を保つなど大人にとっても、欠かせないホルモンです。
成長ホルモンは、睡眠中に多く分泌されるため、成長ホルモンの分泌を助けるオルニチンには、睡眠の質を改善する働きがあるといわれています。
アラニンもオルニチンと同じくアミノ酸の一種で、筋肉や内臓の材料となります。アラニンは、遊離アミノ酸ではなく、体内のタンパク質に存在するアミノ酸です。
アラニンには、筋肉の持久力を向上させる作用やアルコールの分解を促進し肝臓を保護する役割があります。
また、アラニンは、肝臓を働かせるエネルギー源として作用し、オルニチンと同じくオルニチンサイクルを正常に機能させる役割も果たしています。
体内では、エネルギーが不足すると骨や筋肉を分解して、アミノ酸を生成します。ここで生成されるアミノ酸がアラニンです。
骨や筋肉が分解されると、筋肉量の減少や身体の疲労に繋がります。逆にいえば、体内に十分なアラニンが存在していれば、骨や筋肉を分解してアミノ酸を生成する必要はなくなります。
つまり、体内のアラニンを維持しておけば、筋肉量の減少や身体の疲労を防ぐのに繋がるのです。
アラニンには、アルコールの分解を促進する働きがあります。飲酒による二日酔いは、アルコールに含まれるアセトアルデヒドが原因です。アセトアルデヒドを分解するには、アラニンの働きが欠かせません。
肝臓には、アセトアルデヒドを分解する作用があります。お酒が弱い人は、肝臓でアセトアルデヒドの分解作用が遅く、体内に残りやすくなってしまうのです。
アラニンは、アセトアルデヒドの分解を助ける作用があります。アラニンを意識的に摂取すると、アセトアルデヒドによる影響を減らす期待ができるでしょう。
しじみには小さな身の中に、オルニチンやアラニン以外にもさまざまなな栄養素が含まれています。
コハク酸は貝類に多く含まれるうまみ成分です。うまみ成分は、その名のとおり人間にとって心地の良い味を感じさせる成分で、代表的なうまみ成分にはグルタミン酸やイノシン酸があります。
コハク酸には、うまみ成分としてだけでなく、がん細胞の増殖を抑制したり、脂肪の燃焼を促進したりする働きもあるといわれています。
しじみは、貝類の中でコハク酸を比較的多く含む食材です。
しじみは、血液の状態を正常に保つミネラル成分を豊富に含んでいます。鉄・銅・亜鉛などのミネラル成分は、貝類に豊富に含まれる成分です。なかでもしじみには特に豊富なミネラル成分があります。
ビタミンB12は、ヘモグロビンを生成する働きがあります。ヘモグロビンは赤血球中のたんぱく質で、ヘモグロビンが不足すると貧血の症状を起こします。
ビタミンB12は魚介類に多く含まれる成分ですが、しじみはその中でも多くのビタミンB12を含む食材です。
その他に、しじみには身体のエネルギー源として欠かせないたんぱく質も含まれています。
さまざまな栄養素を含むしじみを、せっかくなら美味しく食べたいところです。ここでは、しじみを美味しく食べるための選び方、下処理の方法、おすすめ料理を見ていきましょう。
しじみは、つやつやとした光沢があり、柄のはっきりとした見た目を選びましょう。水のきれいなところで育ち、活きの良いしじみは殻につやがあります。
殻の口が空いていたり、殻の割れているしじみは鮮度に問題があるため、選ばないよう注意しましょう。
しじみを調理する前には、1時間程度の砂抜きが必要です。1%程度の食塩を入れた塩水で1時間ほど漬け込んでから、ざるに上げてしじみ同士をこすり合わせて洗ってください。
砂抜きが終われば調理できますが、より美味しく食べるには、冷蔵庫で数時間寝かせておくのをおすすめします。冷蔵庫で寝かせておくと、しじみのうまみ成分が増えてより美味しく食べられます。
しじみは冷凍しても味が落ちないため、すぐに食べないのであれば冷凍して保存できます。
近年、しじみの生産量は減少しており、しじみが食卓に並ぶ光景は少なくなってきました。ですが、しじみの持つ美味しさや栄養素は大きな魅力です。
しじみの価格は高騰しており、昔のように気軽に食べられる食材でなくなりつつあります。
しかし、しじみの持つ栄養価を改めて認識し、しじみを食べる機会を増やしてみてはいかがでしょうか。しじみのパワーでいきいきとした毎日を実現しましょう。
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