セラピストライター白井未奈子
サービス業を10年経験するなかで、リラクゼーション業務に出会い「人を癒す」ことに目覚める。
フリーランスに転向して以降は、ボディートリートメントとフェイシャルエステの知識を活かし、美容・健康系の記事執筆を中心に担当。今は手ではなく、文章で読者にくつろぎとすこやかさを届けることを目指している。
オリーブオイルは、健康志向の方に一目置かれる植物油です。「カロリーが高い印象はない」と思っている方は多いかもしれません。しかし、実際どうなのでしょうか。
今回は、オリーブオイルにおける大さじ1杯あたりのカロリーを解説し、他のオイルとの比較を行っていきます。バターとの違いや、太るのを避けたい方必見のオリーブオイルの摂り方もあわせてチェックしていきましょう。
気になるオリーブオイルのカロリーは、100gあたり894kcal※1です。ヘルシーなイメージに反して、大さじ1杯(15g)に換算すると134kcalにのぼります。
対してサラダ油のカロリーは100gあたり886kcal※2で、実はオリーブオイルの方が高いのです。
他の油よりカロリーが高いにもかかわらず、なぜオリーブオイルは健康によいといわれているのでしょうか。栄養素をチェックしながら紐解いていきましょう。
※1「参照:オリーブオイルの100gあたりカロリーについて(587P)/日本食品標準成分表2020年版/文部科学省」
※2「参照:サラダ油(調合油)のカロリーについて/日本食品標準成分表2020年版/文部科学省発」
オリーブオイルのカロリーは比較的高めですが、糖質は0g※1です。糖質とは成分表でみる「炭水化物」で、100gあたり0gと記されています。
糖質を制限している方にはうれしい要素ですが、カロリーを考えるなら摂りすぎは太る元になるでしょう。
ちなみに、オリーブオイルと同じく洋食に使われるバターには糖質が含まれています。100g中0.2g※2の微量とはいえ、糖質制限中ならオリーブオイルがおすすめです。
※1「参照:オリーブ油の糖質(炭水化物)量について/日本食品標準成分表2020年版/文部科学省発」
※2「参照:バターの糖質(炭水化物)量について/日本食品標準成分表2020年版/文部科学省発」
オリーブオイルが健康志向の方に注目されているのは、オレイン酸をメインに構成されているためといえます。オレイン酸とは、油の主成分である脂肪酸の一つで、不飽和脂肪酸に分類される健康維持に役立つ栄養素です。
また、オレイン酸に加え、オリーブオイルはビタミン類も豊富に含まれています。緑黄色野菜に多く含まれ、体内でビタミンAに変換されるβ‐カロテン※1や、藻類や肉類にも含まれるビタミンK※2などです。
ちなみにβ-カロテンやビタミンKは脂溶性のため、油と一緒の摂取が推奨されています。オリーブオイルなら一石二鳥で摂取できるでしょう。
※1「参照:β‐カロテンについて/e-ヘルスネット/厚生労働省」
※2「参照:ビタミンKについて/健康長寿ネット/公益財団法人長寿科学振興財団」
ビタミンAやビタミンKのみならず、α‐トコフェロールを摂取できるのもオリーブオイルの魅力でしょう。α-トコフェロールとは、美容と健康ともにうれしいビタミンE※1の一種です。
ちなみに、ビタミンEの摂取量は基準が定められています。たとえば18~29歳の女性でいうと、1日に5.0mgの摂取が目安※2です。
オリーブオイルには100gで7.4mgのα‐トコフェロールが含まれており、大さじ1杯(15g)に換算すると約1.1mgのビタミンEを補えます。オリーブオイルを習慣化すると、ビタミンEの効率的な摂取につながるでしょう。
※1「参照:ビタミンEについて/健康長寿ネット/公益財団法人長寿科学振興財団」
※2「参照:ビタミンEの食事摂取基準(mg/日)207p/日本人の食事摂取基ハイオレイック 899準(2020年版)」
オリーブオイルはカロリーこそ比較的高めですが、ハツラツとした毎日にうれしい栄養素を含んでいます。
健康と美容、どちらの角度から見ても魅力的なオリーブオイルですが、実際のところ「他のオイルはどうなの?」「違いは?」と思う方は多いかもしれません。
他のオイルの優れた点はどこにあるのか、オリーブオイルと見比べてみましょう。
カロリーの低さを重視するなら、米ぬか油に注目してみてください。通称こめ油と呼ばれる、植物油のなかで最もカロリーが低いとされる玄米由来の油です。
オリーブオイルは100gあたり894kcalなのに対し、米ぬか油は880kca※1と10kcal以上の差が見られます。
また、米ぬか油は脂肪酸のバランスがとれているのも特徴の一つです。オリーブオイルの中心となっているオレイン酸に加え、体内でつくるのがむずかしいリノール酸やα‐リノレン酸も含んでいます※2。脂肪酸をバランスよく取り入れたい方には候補となるでしょう。
※1「参照:米ぬか油の100gあたりカロリーについて(587P)/日本食品標準成分表2020年版/文部科学省」
※2「参照:米ぬか油の脂肪酸について/日本食品標準成分表2020年版/文部科学省発」
ひまわり油は、ひまわりの種子から摂れる植物油です。品種と脂肪酸比率の違いによって、ハイリノール・ミッドオレイック・ハイオレイックの3種類に分けられます。種類ごとにカロリーは異なるため、以下でチェックしてみましょう。
カロリーこそオリーブオイルとほとんど変わらない一方、ひまわり油はビタミンEが豊富です。
ビタミンEのうちα-トコフェロールは、100gで39.0mg※2も含まれています。植物油のなかでトップクラスのビタミンE量を誇り、美容のために視野に入れてみる価値ありです。
※1「参照:ひまわり油の100gあたりカロリーについて(587P)/日本食品標準成分表2020年版/文部科学省」
※2「参照:ひまわり油の100gあたりα-トコフェロールについて/日本食品標準成分表2020年版/文部科学省発」
食用のみならず、美容用としても知られているのがグレープシードオイルです。書いて字のごとく、ぶどうの種をしぼって抽出されます。100gあたり882kcal※1で、植物油で最も低い米ぬか油よりやや高いくらいのカロリーがうれしいポイントです。
同じくぶどうからつくられるワインと同じで、ポリフェノールの一つであるプロアントシアニジンが主成分として含まれています。また、体内でつくられにくく、健康維持に一役買うリノール酸の多さもチェックしてみてください。
※1「参照:グレープシードオイルの100gあたりカロリーについて/日本食品標準成分表2020年版/文部科学省発」
最後に、カロリーに配慮しながらオリーブオイルを活かす方法についてご紹介します。カロリーは他の植物油より高めなため、摂り方次第では太る可能性も否定できません。しかし、注目すべきは豊富な栄養素です。食事にうまく取り入れて、健康な毎日を目指しましょう。
オリーブオイルを食事に取り入れるなら、大さじ1杯程度がおすすめです。オリーブオイルの主成分であるオレイン酸を含むn-9系脂肪酸は、1日の摂取目安量や上限は決められていません。
しかし、比較的高いカロリーを考えると、大さじ1杯くらいが妥当でしょう。
サラダやカルパッチョに回しかけるほか、お味噌汁や納豆に加えてみてください。デザート感覚で、アイスクリームのソース代わりとして活用するのもよいでしょう。
常用しているサラダ油を、オリーブオイルに置き換えるのも一案です。カロリーはサラダ油より高いですが、先述したとおり健康・美容にうれしい栄養素の豊富さは、オリーブオイルに欠かせない魅力といえます。さらに、サラダ油にはビタミンAが含まれていません。
代用するシーンとして、オリーブオイルはとくに揚げ物に向いています。加熱により独特の風味がやわらぎ、香りもほとんど気にならなくなるでしょう。
健康志向の方から注目を浴びるオリーブオイルですが、カロリーは100gにつき894kcalと比較的高い数字です。
サラダ油よりもハイカロリーな一方、オレイン酸やビタミン類が豊富で健康・美容にうれしい植物油といえます。
オリーブオイルに加え、うれしい栄養素を多く含むのがひまわり油やグレープシードオイルです。カロリーの低さを重視するなら、米ぬか油が候補になるでしょう。
サラダや揚げ物、スイーツに幅広く活用できる「オリーブオイル一択!」の方は、1日あたり大さじ1杯程度のオリーブオイルを、日々の食事に取り入れてみてください。
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