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【獣医師に聞く】犬用サプリメントの必要性。飲ませるのはいつから、どのタイミング?犬の健康に効果的な選び方

ペットサプリメントPETSUPPLEMENT
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2022/7/15

今や人の暮らしの中に広く普及・浸透しているサプリメントは、近年、犬用のものもさまざまな種類が市販されています。犬にも与えたほうがよいのか、どんなものを与えたらよいのか、迷っている人も多いのではないでしょうか?
愛犬にサプリメントを与える必要性、上手な取り入れ方や注意点などについて、日本獣医生命科学大学名誉教授/日本ペット栄養学会会長の左向敏紀先生に教えていただきました。

 

サプリメントは「薬」ではなく、健康をサポートする「補助食品」

サプリとフード
愛犬の健康を維持するためのペット用サプリメントもたくさん開発されている。

サプリメントには、タブレット(錠剤)、カプセル、顆粒などの形状のものがあり、一見すると薬のように思われがちですが、「医薬品」ではなく「補助食品」です。ビタミンやミネラル、アミノ酸など特定の成分を摂取して補うことで健康を維持・増進させるためもので、体内の酸化を抑える抗酸化作用や、免疫力の向上などの効果が期待できるものもあります。

サプリメントを含む人用の補助食品は、国が定める食品制度によって、機能性が表示できる「保健機能食品」(「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」)がありますが、ペット用の補助食品については公的な定義や分類はありません。

 

飼い主の健康志向の高まりで、犬用サプリメントのニーズは増えている

長く元気に過ごせるように、愛犬にはできる限りのことはしてあげたいもの。

近年、犬も長寿化が進んで平均寿命は14歳を越えています。
犬の14歳は人間の年齢に換算すると70代前半くらいですが、人と同様に犬も高齢になるといろいろな病気にかかりやすくなり、時には介護が必要になることもあります。

愛犬は大切な「家族の一員」ですから、愛犬にいつまでも元気で長生きしてほしいというのは誰もが願うことであり、愛犬に対する飼い主の健康意識は高まっています。
健康をサポートするために、犬の体重管理や歯の健康、消化器系の健康などに配慮した「機能性フード」や、特定の病気の治療を補助する目的で使用される「療法食」が広く普及・定着しましたが、こうした中で多様な種類の犬用サプリメントも登場しました
最近では、飼い主自身が自分の健康のために何らかのサプリメントを飲んでいるケースも多いことから、犬用サプリメントも受け入れやすくなっているようです。

 

犬用サプリメントも科学的根拠に基づいた機能性に注目!

犬用サプリメントは、消化器官、皮膚、目、歯、関節など特定の器官の健康維持を目的としたもの、免疫力の向上やダイエットなどを目的としたものなど、いろいろな種類のものが開発されています。
サプリメントは薬ではないので病気を治す効果のあるものではありませんが、特定の目的に対して健康維持や増進に役立つことが期待できるなど、科学的根拠(エビデンス)に基づいた機能性が明らかになっているものもあります。
たとえば、昨今、人でもペットでも腸内環境に関する研究がさかんに行われています。腸内にはさまざまな細菌がすんでいて、乳酸菌やビフィズス菌など体にとってよい働きをする「善玉菌」が増えると免疫力が高まることが科学的に証明されています。
この善玉菌(プロバイオティクス)とそのえさとなる食物繊維(プレバイオティクス)を一緒に摂取することで高い効果が得られることも報告され、腸内環境を整えるサプリメントが注目を集めています。

 

シニアフードへの切り替えの頃がサプリメントの始め時

サプリメントは薬ではないので、健康なうちから取り入れるのがポイント。

サプリメントは補助食品なので与えるタイミングや年齢に特に決まりはなく、基本的にいつ始めてもかまいません。動物病院では特定の病気の治療薬と併用してサプリメントが処方されることもありますが、健康のサポートを目的とするなら健康なうちに始めるのが肝心。
「未病」、つまりまだ病気にはかかっていないけれど、少しだけ気になる症状がある状態からだと始めやすいかもしれません。

大型犬では5歳、中型・小型犬では7歳を過ぎた頃に食事をシニアフードへの切り替えることが推奨されますが、この年齢を人に換算すれば40代前半でそろそろ生活習慣病も出やすくなる年代です。フードを見直すタイミングでサプリメントを検討するのもよいでしょう。
犬も老化によってさまざまな機能が低下して、病気にかかりやすくなります。特に消化機能が低下すると、ビタミンやミネラルが正しく吸収されなくなって不足しがちになったり、免疫機能が下がったりするので、サプリメントで腸内環境を安定させるとよいでしょう。
すでに何らかの病気の治療薬を服用している場合や、複数のサプリメントを利用する場合には、飲み合わせによって影響が出る場合もあるので、必ず獣医師に相談してください。

 

正しい用量でまずは1-2ヶ月は継続してみよう

継続して与えるものなので、犬も人も負担なく続けられるものがおすすめ。

近年、犬も長寿化が進んで平均寿命は14歳を越えています。
犬の14歳は人間の年齢に換算すると70代前半くらいですが、人と同様に犬も高齢になるといろいろな病気にかかりやすくなり、時には介護が必要になることもあります。

効果も目に見えてすぐに現れるわけではないので、1-2カ月は継続して様子をみましょう。食欲(食べるスピードや食べ残し)、毛づや(抜け毛や皮膚の状態)、散歩の距離や歩くスピード、ウンチの状態、朝起きるときの様子などを毎日観察しましょう。
ただし、与え始めて早い段階で、嘔吐や下痢、食欲の低下、かゆみなどの異変が出た場合には、愛犬の体に合っていないことが考えられますのですぐに中止してください。
また、量を増やしたからといってより健康が増進されるわけではないので、1日の摂取目安量は必ず守りましょう。

 

人用ではなく安全性が確認されている犬用サプリメントを与えよう

犬用サプリメントの情報は今やインターネット上に氾濫し、正しくないものもたくさんあります。口コミ情報や商品のキャッチコピーを過信せず、愛犬に本当に必要なサプリメントは何か、しっかり検討して選ぶようにしましょう。

また、犬には「犬用(ペット用)サプリメント」を与えることも重要なポイントです。同じ成分の人用サプリメントがあっても、含有量が犬には多すぎたり、原材料に含まれているほかの成分によって犬の体に悪影響を及ぼすこともあるからです。
犬での安全性が確認されていて、科学的根拠に基づいた成分が配合されているサプリメントを与えてください。自分で見つけるのが難しい時は、獣医師などサプリメントをアドバイスできる専門家に相談するのもよいでしょう。

 

左向敏紀先生に教えていただきました

左向先生

監修:左向敏紀先生
獣医師/日本獣医生命科学大学 名誉教授
一般社団法人 日本ペット栄養学会 会長
日本獣医内分泌研究会 会長
日本獣医畜産大学(現:日本獣医生命科学大学)卒業後、大学に残り獣医学教育にあたるとともに、馬、牛,小動物の消化器・内分泌・代謝性疾患の研究を行う。
1990年小動物栄養学に関する研修のためにアメリカオハイオ州立大学に留学。2006年より日本獣医生命科学大学 ・獣医保健看護学科で動物看護師の教育にもあたる。