ビタミンB群はどんな栄養素?
ビタミンとは、エネルギー産生栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)に比べて微量ではあるが人体の機能を正常に保つために必要な栄養素であり、体内ではほとんど合成できないため食品などで外部から摂取するべき有機化合物を指します。
ビタミンは水に溶けやすい性質の水溶性ビタミンと、水に溶けにくく油脂やアルコールに溶ける性質の脂溶性ビタミンに分かれます。
ビタミンB群は水に溶けやすい
ビタミンB群は水溶性のビタミンです。
食材に含まれるビタミンB群は水に溶けだしやすいので、無駄なくビタミンB群を摂取したいなら、食材は手早く洗う方がよいでしょう。
血液などの体液に溶け込んで、余分なビタミンは尿として排出されるため、大量摂取により体内のビタミンB群の量が多くなりすぎる可能性は比較的低いと言えます。
しかし、詳しくは後述しますが、過剰摂取による健康障害の報告もあるため、多く摂れば摂るほどよいわけではありません。
ちなみに、ビタミンAに代表される脂溶性ビタミンは、体外に排出されにくく、「摂りすぎによる健康障害が起こりやすい」との情報は覚えておいて損はないでしょう。
補酵素の役割がメイン
ビタミンB群は、主に補酵素の役割をもつビタミンの一種です。
補酵素とは、消化・吸収・代謝の化学反応を促進する物質である酵素の働きを助ける成分で、消化や代謝を滑らかに行わせる重要な働きを果たしています。
ビタミンB群には8種類のビタミンがあり、お互いに助け合ってより高い効果が発揮されるため、まとめてビタミンB群と呼ばれているのです。
また、皮膚や粘膜の健康維持を助けたり、赤血球の形成を助ける働きも認められるビタミンB群は、人間に欠かせない栄養素と言えるでしょう。
8種類あるビタミンB群と多く含まれる食品例
具体的には、ビタミンB群として以下の8種類のビタミンがあります。
各栄養素が多く含まれる食品例と合わせて確認してみましょう。
なお、摂りたい栄養成分を多く含む食品を探す際は、文部科学省のWEBサイトで食品成分ランキングを検索するのがおすすめです。
参照:「食品成分データベース」/文部科学省
ビタミンB群はバランスよく摂取するのがベスト
ビタミンB群は、ビタミンB1が糖質の分解を助け、ビタミンB2が脂質の代謝を促し、ビタミンB6がたんばく質(アミノ酸)の代謝を促すといったように、それぞれのビタミンに期待される役割を果たしながら、相互に補完しあい、体の機能を維持するためのエネルギーを効率的に作りだす補助をしています。
相互補完が重要であり、バランスよく摂取すると、効率的にエネルギーが作り出されるといえるでしょう。
ビタミンサプリメントが多く存在し普及した理由
通常の食品の、可食部100gあたりに含まれるビタミンB群の量は多いとは言えません。
また、ビタミンB群は水溶性ビタミンであり、大量に摂取しても尿で排出されるため、基本的に大量に摂取して体内に溜めておけないとされています。
食品から大量には摂れず、摂りだめもできないため、ビタミン剤やビタミンドリンクによって手軽にビタミンB群を摂取したいニーズがあり、サプリメントとしていろいろな商品が開発されていったと考えられるのです。
ビタミンB群の摂取による疲労感解消などの効果を体感しやすい点も、ビタミンサプリメントが普及した一因といえるでしょう。
ビタミンB群を摂取する意義
ビタミンB群が人間にとって重要な役割を果たす栄養素であるとして、ビタミンB群の積極的な摂取により、どのような効果を期待できるでしょうか。
また、ビタミンB群が不足した場合にはどのような人体への影響があるのでしょうか。
科学的にビタミンB群の働きは完全に解明されているとは言えませんが、一般的に摂取により期待できるとされている効果と、不足により現れるとされる症状の一例について紹介します。
疲労感の解消の効果が期待できる
ビタミンB群の摂取によって、エネルギー代謝の向上による疲労感の解消や、疲労を防止する効果が期待できるとされています。
不足するとさまざまな健康障害がでる
精神的な症状から身体的な症状まで、さまざまな異変が現れるとの報告があります。
以下の症状がでた場合には、ビタミンB群不足が疑われます。
- ● やる気や集中力の低下
- ● 疲労感・倦怠感がある
健康障害は、ビタミンB群不足からだけでなく多種多様な要因で起こりますので、医師の診断を仰いで対処するのが最善とはいえ、疲労感にはビタミンB群の摂取が効果あるかもしれないとの知識は役に立つでしょう。
ビタミンB群の推奨摂取量と過剰摂取による健康障害の可能性
次に、ビタミンB群は一日にどれくらいの量を摂取するのがよいとされているのか、また摂りすぎた場合の健康障害の可能性について、解説していきます。
推奨摂取量は公表されている
厚生労働省は、国民の健康の保持・増進を図る上で摂取するのが望ましい栄養素の量の基準について、5年ごとに「日本人の食事摂取基準」報告書の形で取りまとめて公表しています。
参照:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」/厚生労働省
2020年版の「日本人の食事摂取基準」によると、ビタミンB群については次の量が1日の推奨摂取量となっています。
※1:「ナイアシン当量(mgNE)」は、食品中のナイアシン量に体内でつくる量を加えた分量を指し、mgNE=ナイアシン(mg)+1/60トリプトファン(mg)の式で求められます。
過剰摂取による健康障害の報告例
8種類のビタミンB群全てにおいて、過剰摂取による健康障害の報告があるわけではありません。
ビタミンB2、ビタミンB12、パントテン酸、ビオチンについては、大量に摂取した場合の健康障害の報告は、現状ではとくにされていないようです。
しかし、それ以外のビタミンB群については、過剰摂取による健康障害の報告事例があります。
厚生労働省の発表によると、上記の表にまとめた報告がされており、とくにビタミンB6の過剰摂取による神経障害については、いろいろな論文による報告があって、広く一般に知られるようになっています。
一年以上にわたり高用量のビタミンB6をサプリメントから摂取すると、重度の神経障害を引き起こし、動作の制御を失う恐れがあるので、気をつけなければいけません。
過剰摂取を避け上手にビタミンB群を摂取するには
ビタミンB群の摂取が、健康な生活の一助になるのは揺るぎのない事実でしょう。
だるさや疲れを感じた際、風邪などで体力の低下を感じた際の栄養補給により、体が軽くなったり楽になったりした経験がある方も多いのではないでしょうか。
一方で、過剰摂取による健康障害も避けなければいけません。
以下、ビタミンB群を、過剰摂取を避けて上手に補給する方法について紹介します。
バランスよい食事で摂取するのが理想
ビタミンB群は、肉類、魚類、穀物、野菜といった食材にバランスよく含まれている栄養素で、バランスのとれた食生活をしていれば、簡単には不足しないと言われています。
また、前述のとおり、通常の食材に含まれるビタミンB群の量は多くはなく、普通の食事でビタミンB群の過剰摂取になる事態は考えにくいです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」においても、各種のビタミンB群について、「通常の食品を摂取している者で、過剰摂取による健康障害が発現したという報告は見当たらない」と明確に記載されています。
やはり、過剰摂取により健康障害を引き起こす恐れは、サプリメントを用量を守らずに飲んだ場合や、治療薬として処方されたビタミンB群を大量に飲んだ場合に生じると言えるでしょう。
一日の推奨摂取量以上に摂取しない工夫をする
無意識になんとなく摂取したり、何度もビタミンB群のサプリメントなどを摂取するのを避けましょう。
例えば、一日一回、一日の推奨摂取量以下の決められた量を摂取するといったように、サプリメントを飲むタイミングと量を決めて習慣化すれば、推奨摂取量をオーバーしにくくできるでしょう。
必要な自覚がある場合にのみ摂取するようにする
バランスよい食事ができていて、疲労感もとくにない場合に、ビタミンB群のサプリメントを摂取する必要性は低いと言えます。
食事をうまく摂取できていない自覚がある際や、疲れを感じる際にのみサプリメントで補うようにすれば、過剰摂取になる恐れはかなり少なくなるでしょう。
適量のビタミンB群摂取で健康を維持しよう
今回の記事では、ビタミンB群について幅広く紹介しました。
ビタミンB群は体内で生成しきれない栄養素のため、定期的に食事やサプリメントで摂取する必要があります。
同時に、過剰摂取により健康に悪影響を及ぼす危険性はゼロではありません。毎日のバランスよい食事が、健康的な体づくりにおいて理想なのは間違いないでしょう。
仕事が忙しすぎて食事にまで気が回らない場合には、サプリメントを利用し、用量を守りつつビタミンB群を摂取すると、疲労感が改善し、日々の健康に役立てられるはずです。
食事とサプリメントの摂り方に気をつけ、適量のビタミンB群の摂取を意識して、健康な生活の維持を目指しましょう。
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