管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
「間食=不健康」というイメージをお持ちの方は多いかもしれません。しかし、間食を上手に活用することで心と体に潤いを与え健康的な生活に役立ちます。
今回ご紹介するのは、そもそも間食とは何か・摂るメリットや摂りすぎのデメリット・健康につながる活用方法についてです。
スポーツをする人・お酒を飲む人は、間食を味方につけると嬉しい効果があるので、ぜひ参考にしてみてください。
間食とは、3度の食事以外に+αで摂取する食べ物や飲み物のことです。お菓子に限らず、食事と食事の間に食べたパンやおにぎりなども間食に当たります。
「ダイエットの大敵」とイメージされがちな間食ですが、間食には次のようなメリットや役割があります。
近年は、お菓子やジュースといった“嗜好品”を間食時に摂取している人が多いようです。美味しい嗜好品は、ついつい食べすぎてしまう場合もあるのではないでしょうか。今一度、間食を摂りすぎるデメリットについて知っておきましょう。
間食として多く選ばれる甘い食べ物やスナック菓子類は、“糖質や脂質の塊”といっても過言ではありません。一方で、ビタミンやミネラルの含有量が少ないため、食べすぎると栄養バランスが崩れます。
糖質や脂質が多い菓子類は高カロリーなので、摂りすぎるとカロリーオーバーとなり太る原因になります。
高カロリーな菓子類の食べすぎは「肥満」の原因になります。また、糖質や脂質の摂りすぎは、血糖値のコントロールが乱れやすくなり「糖尿病」のリスクを高めるのです。また、塩気の強いスナック菓子の食べすぎは「高血圧」の危険因子になります。
間食を健康の味方にするには、どのような点に気を付けたらよいのでしょうか。摂るタイミングや目安カロリー・食品の選び方について見ていきましょう。
間食を摂るおすすめタイミングは、「14時~16時」です。この時間帯は、最も太りにくいと考えられます。
人間の体は日中に活動モード、夜はお休みモードになり、代謝量も日中は多く、夜は少なくなるのです。このリズムには「BMAL1(ビーマルワン)」というタンパク質が関与しています。
ビーマルワンは、体内時計遺伝子の一種です。規則正しい生活リズムを整えたり、体脂肪の調整の司令塔の役割があります。ビーマルワンが増えると脂肪の消費を抑制して、脂肪をため込むように作用するのです。
14時~16時は、このビーマルワンが一番少なく、食べても太りにくい時間帯になります。反対に深夜の22時~2時はビーマルワンが最も多く太りやすいので、間食は避けたほうがよいでしょう。
また、間食は“おやつ”ともいいますが、じつは“おやつ”の語源も「14時~16時」に由来しています。江戸時代は14時から16時を「八つ刻(やつどき)」と呼んでいたのです。
活動量の多いこの時間帯は小腹が空くため、この時間帯にエネルギー補給をする習慣ができました。そこから、八つ刻に食べるものを“おやつ”と呼ぶようになったのです。
江戸時代から伝わる“おやつ”は、体内時計や代謝リズムの観点において、理にかなった習慣といえるでしょう。
一般的な間食の目安カロリーは、「一日200kcal」です。ただし、生活スタイルや基礎代謝量などによって個人差があるため、一概には言えません。自分の必要栄養量の1割ほどと捉えましょう。
お子さんの場合は、1~2歳児は100~150kcal、3~5歳児では150~200kcalが目安量となります。嗜好品の200kcalの目安量は以下のとおりです。
以上のような嗜好品は、糖質や脂質が多く、あっという間にカロリーオーバーになってしまいます。食べ過ぎに注意して、軽めに楽しみましょう。
間食は「食事で不足しがちな栄養素を補える食品」が理想的です。日本人は「ビタミン」「ミネラル」「カルシウム」「食物繊維」が不足しやすいといわれています。これらの栄養素が含まれるおすすめ食材は次の3つです。
以下に各食材の50kcalの目安量を示します。分量4つ分でおよそ200kcalです。
間食を選ぶ際の参考にしてみてください。
【おすすめ食品の50kcalの目安量】
水分補給は、ほぼ0kcalでビタミン・ミネラル補給ができる、水(ミネラルウォーター)やお茶がよいでしょう。
子どもの健全な成長と健康に役立つ間食の活用方法についてご紹介します。
間食が必要となる乳児期と幼児期の内容について見ていきましょう。
生後12~18カ月頃の離乳完了期からは、食事から十分なエネルギーを補給できるように3度の食事に加えて間食を与えていきます。
1歳未満のお子さんの場合は、はちみつを食べると乳児ボツリヌス症を発症する恐れがあるので、はちみつは与えないようにしましょう。
幼児期は、体は小さいですが成長のために多くのエネルギー源を必要としています。しかし、胃が小さく一度にたくさん食べられません。そのため、幼児期の間食は、エネルギー源を補う役割が大きいのです。
おにぎりや蒸しパンなど炭水化物中心のおやつがよいでしょう。それにプラスして、ビタミンやミネラルが補給できるバナナ・しらす・きなこなどを加えるといった工夫が必要です。
スポーツ前は「糖質」の多い間食を、スポーツ後には「タンパク質」の多い食品を摂りましょう。
空腹状態で運動をすると、めまいやだるさ・疲れの原因になるため、パフォーマンスが落ちるのです。また、エネルギー不足で運動をすると、筋肉の分解や運動後の食べ過ぎを招いてしまいます。
スポーツの効果を高めるには、運動をする15分ほど前に糖質を含むバナナやおにぎりなどを食べましょう。運動後にはタンパク質の多い食品を選んで食べるようおすすめします。
お酒を飲む人は、空きっ腹でいきなりお酒を飲むのは控えましょう。空腹時にお酒を飲むと、水分不足も相まって飲むペースが早くなりがちです。
そうすると、血糖値の急上昇につながります。血糖値の上がりやすさは、お酒に含まれる糖質量よりも飲むペースに大きく影響を受けるのです。
お酒を飲む前には、糖質の少ない食べ物・飲み物を摂ってから、ゆっくりとお酒を楽しむようにしましょう。
間食は、“何を・いつ・どのくらい”食べるかによって、毒にもなれば良薬にもなります。いつまでも健康的な日々を送れるように、上手に間食を活用しましょう。
間食に甘いお菓子やスナック菓子ばかりを食べていると、糖質や脂質・塩分の過剰摂取につながります。日本人が不足しがちな「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」の補給源にはなりません。
「肥満」や「高血圧」「糖尿病」など生活習慣病の原因になる場合もあるので、注意しましょう。
間食におすすめなのは、ビタミン・ミネラル・食物繊維を含む果物・いも類・乳製品です。これらを一日のなかで最も太りにくいと考えられる14時~16時に摂るとよいでしょう。
どんな食べ物も摂りすぎは体に毒になります。適量である一日200kcaを心がけて、心と体のリラックスタイムを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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