プロテオグリカンとは、動物の皮膚や軟骨に存在する、糖タンパク質の一つ。近年は、サプリメントや化粧品などに使われ、注目されています。プロテオグリカンの特徴はもちろん、種類やどのような働きをするかなど、プロテオグリカンの基本情報を紹介します。
プロテオグリカンとは?基礎情報や性質
プロテオグリカンとは、表皮の下に存在する真皮の中に含まれている糖タンパク質の一つです。プロテイン(タンパク質)とグリカン(多糖)の複合体で、すべての動物の皮膚や軟骨などに存在しています。
プロテオグリカンに含まれる糖は、水となじみやすいため、水を保持する特徴があります。プロテオグリカンにおいて、糖鎖が結合する中心となるタンパク質をコアタンパク質と言います。
プロテオグリカンに含まれるコアタンパク質は、分子の中にヒアルロン酸結合を持っているため、衝撃を吸収する機能も備わっています。
これらの性質から、プロテオグリカンは、肌に弾力を与えて、多くの水分子を周りに保持しているため、関節の軟骨で衝撃を吸収してくれるのです。
プロテオグリカンが注目されているのはなぜ?
プロテオグリカン自体は、日本でも1970年代から注目されていた成分です。しかし、当時は抽出が難しく、コストは1グラム当たり3000万円と高価だったため、実用化は厳しい状況でした。
状況が変わったのは1990年代で、弘前大学の研究によって、プロテオグリカンがサケの鼻軟骨に高濃度で存在する事実が分かりました。
その後、郷土料理である「氷頭(ひず)なます」にヒントを得たのをきっかけに、2000年に低コストで大量に、かつ高純度のプロテオグリカンを抽出する技術を確立しました。
その後、スキンケア用品やサプリメントなどに使用されるようになり、世間でもその名が知れ渡るようになりました。
プロテオグリカンの種類
プロテオグリカンには、コアタンパクの違いなどによって、いくつかの種類に分けられます。以下は、その中でも代表的なプロテオグリカンです。
アグリカン
アグリカンは、関節軟骨に多く見られる巨大プロテオグリカンです。人間を含めた動物の体内にあるプロテオグリカンの大半はアグリカンで、コアタンパクはヒアルロン酸結合を持っています。性質として、外部からの衝撃を吸収する働きがあるのです。
パールカン
パールカンは、表皮の一番下の層に存在しており、肌の健康維持に関係しています。肌の表面にある表皮細胞は、表皮の一番下にある基底細胞の分裂によって生まれ、基底細胞の土台となっているのが基底膜です。
パールカンは、基底膜を構成する成分とともに、肌をすこやかに保てるようサポートします。
バーシカン
バーシカンは軟骨や脳、血管、そして皮膚の真皮など、広範囲に存在します。肌のハリや弾力などに関わる役割をもっているのです。
デコリン
デコリンは真皮に見られる、小型のプロテオグリカンです。コラーゲン線維に関与して、構造をサポートする働きがあります。
プロテオグリカンの体内における役割・働き
プロテオグリカンは体内ではどのような働きをするのでしょうか。先述した、プロテオグリカンが持つ高い保水性などにより、以下の働きが見られます。
肌の保湿
プロテオグリカンの保水力は、ヒアルロン酸と匹敵すると言われています。肌に対する保湿力があるため、スキンケアに取り入れれば、みずみずしい潤いと乾燥しにくい肌へ整えてくれるでしょう。
ヒアルロン酸に働きかける
プロテオグリカンは、ヒアルロン酸に働きかける作用があります。真皮とは、ヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンなどで構成されている肌の層です。肌の弾力やハリを担う中心部と言えるでしょう。
肌の弾力やハリは年齢と共に低下していきますが、ヒアルロン酸の分解速度はとくに早く、真皮内のヒアルロン酸量が減少すると、肌の弾力が失われます。プロテオグリカンは、肌の弾力に必要なヒアルロン酸の生成を促す作用があるのです。
コラーゲンをサポート
プロテオグリカンには、コラーゲンの生成を促す働きがあります。真皮の約70%はコラーゲンでできており、そのほとんどがⅠ型コラーゲンです。
しかし、Ⅰ型コラーゲンは年齢と共に低下してしまいます。 プロテオグリカンは、真皮の主成分であるⅠ型コラーゲンとヒアルロン酸をサポートして、肌の悩みにアプローチしてくれるのです。
肌細胞の成長や増殖を助ける
プロテオグリカンは、EGF(上皮細胞成長因子)と似た作用を持ちます。EGFとは細胞の成長や増殖を助ける因子です。EGFも年齢とともに減少するので、歳をとるにつれ、細胞の再生機能が低下します。
そして肌のターンオーバーが遅れ、肌の老化へとつながります。プロテオグリカンには、EGFに似た働きがあるため、肌をすこやかに保つのを助けます。
プロテオグリカンの摂取方法
注目の成分であるプロテオグリカンは、どのように摂取できるのでしょうか。食事やサプリメントで内側から取り入れたり、スキンケア用品で外側から取り入れたりと、いくつか方法があるので、自分に合った方法で摂取しましょう。
食事から摂取
プロテオグリカンは、サケの氷頭(ひず)に多く含まれているのが有名です。しかし、プロテオグリカンを含む食材は鮭だけではありません。
プロテオグリカンは熱に弱い性質を持つため調理方法が限られていますが、サケ以外にも、フカヒレ、うなぎ、干しエビなどの魚介類、山芋や鶏の軟骨にも含まれています。これらをプロテオグリカンが損なわれない方法で調理できれば、食事からも摂取可能です。
スキンケア用品から摂取
近年、プロテオグリカンを使ったスキンケア用品も増えています。化粧水をはじめ、美容液や乳液など、保水性に着目したスキンケア用品は、ドラッグストアなどでも気軽に入手できるのです。
プロテオグリカンは保水力が高い特徴を持ちますが、水溶性でサラッとしているため、スキンケア用品としてもベタつきが少ない商品が多いでしょう。
サプリメントから摂取
手っ取り早くプロテオグリカンを摂取するなら、サプリメントもおすすめです。カプセルやタブレット状で、数百円~1万円の価格帯で手に入ります。インターネット通販やドラッグストアなどでも販売しており、スキンケア同様、気軽に入手できるのです。
サプリメントなどで手に入りやすい成分に
プロテオグリカンは、ヒアルロン酸にも匹敵するほどの高い保水力を持ち、体内では、肌の保湿や関節を健康に保つ役割を担います。
かつては抽出が難しく、高価だったプロテオグリカンですが、現在はサプリメントやスキンケア用品として入手できるようになりました。肌の保湿にお悩みの方は、試してみてみるのもおすすめです。
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