ビタミンCとは
ビタミンCは、コラーゲンの合成に欠かせない水溶性のビタミンです。化学名では「アスコルビン酸」と呼ばれています。ニオイはありませんが、酸味があり、白い色(粉末)をしています。
多くの動物は体内でビタミンCの生成ができます。しかし、人間をはじめとする一部の動物は自身の力では作りだせないため、食事からのビタミンC摂取が必須です。
しかし、ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱い性質をもっているため、調理方法によっては減少してしまうのです。
ビタミンCを効率よく摂取するためのコツや調理法については、後半で解説していますので、チェックしてみてください。
ビタミンCの働き
ビタミンCについて、どのようなイメージをお持ちでしょうか。ビタミンCはコラーゲンをつくる栄養素のため「肌によい栄養素」と考える方も多いでしょう。
もちろん健やかな肌のために欠かせない栄養素ですが、実は私たちの健康に深く関与しています。ビタミンCの働きについて、詳しくみていきましょう。
美しい素肌や丈夫な骨をつくる
ビタミンCが大きな役割を果たすのが、コラーゲンの生成です。コラーゲンは「肌のハリや潤いを保つために必要な栄養素」と知られていますが、その正体はタンパク質です。肌だけでなく、骨や歯、血管など、身体のあちこちに関与しています。
コラーゲンは、体内のタンパク質の1/3を占めており、細胞同士をつなぐ役割を担っています。例えば、肌細胞の結合が弱いと、体内に水分を留められず乾燥の原因に。
また、骨の半分はコラーゲンでできているため、コラーゲンが不足すると折れやすくなってしまいます。
キメの整った素肌や丈夫な骨をつくるためには、コラーゲンを作るビタミンCの積極的な摂取が大切です。
疲れにくい身体をつくる
ビタミンCには「抗酸化作用」があります。抗酸化作用とは「活性酸素」から身体を守る働きです。
もともと活性酸素は、体内の免疫機能や細胞間の伝達機能など重要な役割を担っています。しかし、オーバーワークによる活性酸素の過剰発生は要注意。
活性酸素が大量に発生すると、細胞機能が低下したり組織が損傷したりして、身体のパフォーマンス低下をはじめとする「疲労」の症状があらわれます。
先述の通り、ビタミンCには抗酸化作用があるため、体内で過剰に作られる活性酸素を消去してくれます。ビタミンCの摂取は、疲れにくい身体づくりにつながっているのです。
鉄分の吸収をサポートする
ビタミンCには、鉄分の吸収率を高める作用があります。
鉄分は、レバーや青魚に含まれている「ヘム鉄」と、卵・緑黄色野菜・牛乳・豆類に含まれている「非ヘム鉄」に分けられます。
残念ながら、手軽に摂取できる非ヘム鉄の吸収率は約2~5%といわれており、せっかく摂取しても十分な鉄分を吸収できません。
ビタミンCは非ヘム鉄を吸収しやすい形に変える助けをしてくれるため、毎日の鉄分摂取をサポートし、貧血予防に役立ちます。
ストレスを緩和する
ストレスの緩和にもビタミンCが大切です。ビタミンCは、ストレスに対する抵抗力を増す作用をもつ「副腎皮質ホルモン」や、ストレスにさらされたときに血圧や血糖値を上昇させてストレスから身を守ろうと働く「アドレナリン」の合成を促す働きがあります。
「ストレス」と一言でいっても、精神的なストレスだけではありません。過労や喫煙、睡眠不足、暑さ・寒さなどもストレスの一種です。
実は、ストレスで消耗されるビタミンCは想像以上に多いのです。ビタミンCが不足すると、ストレスが解消されにくく、イライラしがちな状態につながります。ストレスを感じる環境に身を置いている方は、ビタミンCを多めに摂取するとよいでしょう。
ビタミンC不足が及ぼす影響
ビタミンCが不足すると、以下に挙げるさまざまな不調があらわれるケースがあります。
- ● 鉄欠乏性貧血
- ● 倦怠感
- ● 疲れやすくなる
- ● 怒りっぽくなる
- ● 風邪や感染症にかかりやすくなる
- ● 肌のハリが失われる
- ● 髪がパサつく
- ● 傷の治りが遅い
- ● 下半身がむくみやすくなる
また、ビタミンCの欠乏状態が続くと「壊血病」を発症する可能性があります。
壊血病とは、コラーゲンの生成ができずに血管壁の結合が弱まり、出血しやすい状態になる病気です。壊血病の症状には、内出血や歯ぐきからの出血などがあります。乳児や小児の場合は、骨の形成や発育にも支障をきたす場合があります。
ビタミンCの1日の摂取目安量
厚生労働省では、ビタミンCの1日当たりの摂取基準量を以下のように定めています。なお、喫煙者の場合は推奨量よりも35mg多く摂取するとよいとされています。
参考:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020 年版)
ビタミンは過剰摂取が心配されますが、ビタミンCにいたっては過剰摂取の心配はないとされています。仮に過剰に摂取しても、体内に吸収されず2~3時間程度で尿として排出されます。
ただし、上記はあくまでも通常の食品から摂取する場合です。医薬品やサプリメントからビタミンCを過剰に摂取してしまうと、まれに一時的な腹痛や吐き気などが起きる可能性もあると留意しておきましょう。
ビタミンCを効率よく摂取する方法
ビタミンCは体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。
しかし、水に溶けやすく熱に弱い性質をもっており、通常の食材と同じように調理してしまっては十分に摂取できません。
食材選びや調理法に配慮しつつ、ビタミンCを効率よく摂取する方法を紹介します。性質を理解して、身体にたっぷりのビタミンCを取り入れましょう。
手早い調理がカギ!汁ごと飲めるスープもおすすめ
ビタミンCは、水や熱で損失してしまいます。ビタミンCを効率よく摂取するためにも、長い時間の加熱や水にさらすのは避けて「手早い調理」を意識しましょう。
野菜に火を通したいときは、茹でるのではなく、蒸す・レンジ加熱で火を通すとビタミンCの損失が少なくすみます。
余すことなく野菜のビタミンを摂取したいときは、汁ごと飲めるスープがおすすめです。煮汁にはビタミンBやビタミンCが溶けだしているため、効率よく栄養を摂取できます。
旬の野菜を積極的に摂取する
旬の時期に収穫される野菜は、他の時期に収穫される同種の野菜と比較して、栄養価が高いと分かっています。たとえば、ほうれん草の旬は1~2月です。
冬採りのほうれん草は100gあたりに約60mgものビタミンCが含まれているのに対し、夏採りのほうれん草は100gあたり約20mgしか含まれていません。
さらに、旬の野菜は鮮度がよく旨みが増す、価格が安いなどのメリットがあります。せっかく摂取するのですから、なるべく栄養価の高い、かつおいしい食材を選びましょう。
参考:文部科学省|食品成分データベース
こまめなビタミンC摂取を意識する
ビタミンCは体内に貯めておけません。一度に大量に摂取しても、吸収されなかった分は2~3時間で体外へ排出されてしまうのです。そのため、1日3~4回に分けて、こまめにビタミンCを摂取するのがポイントです。
忙しくて食事に気を使うのが難しい方は、サプリメントや補助食品を上手く取り入れるとよいでしょう。摂取するタイミングは、満腹時、つまり食後がおすすめです。満腹時はビタミンCがゆっくりと吸収されるため、空腹時よりも効率よく吸収できるとされています。
ビタミンCは健康な肌や骨を
つくるために欠かせない栄養素!
性質を理解して効率よく摂取しよう
ビタミンCは、美しい素肌や丈夫な骨、血管をつくったり、ストレスを緩和したりする役割を担っています。私たちが毎日を健やかに過ごすために、欠かせない栄養素なのです。
しかし、吸収率が高い反面、水や熱に弱かったり、身体に貯めておけず、すぐに排出されてしまったりする難しい性質をもっています。
ビタミンCを効率よく摂取するためにも、以下のポイントを意識してみてください。効率よく摂取して、ハツラツとした毎日をおくりましょう。
- 野菜は加熱しすぎない
- 電子レンジ調理を活用する
- 野菜を水にさらす時間を短くする
- 旬の野菜を摂取する
- こまめなビタミンC摂取を意識する
- サプリメントや補助食品を活用する
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