教養系ライター江上奏
司法書士として手続代理業を続ける中、難解で細かい書類を依頼者に分かりやすく説明する努力を重ねた経験を活かしつつ、解説記事や健康コラムを執筆。
世の中の便利な知識や世の中の仕組みについて、ひとつでもイメージしやすい形で読者に届け、知識を役立ててほしい思いでライター業を続けている。
紫外線は、日焼け、しわ、シミの原因となり、浴びすぎると悪性の腫瘍や白内障などの健康被害につながる危険性まであると言われています。
日光紫外線は1年を通して降り注いでいるので、健康や美容のためには対策したほうがいいでしょう。1日の中で紫外線が強い時間帯や年間で多い時期を知り、日々の紫外線量の確認を習慣化しつつ、紫外線対策を取り入れて浴びる量をなるべく減らしましょう。
太陽が昇る昼間に、紫外線は多く地表に降り注いでいますが、地表に届く紫外線量の季節ごと、時間ごとの推移はどうなっているでしょうか?
地表に届く紫外線量については、気象庁の紫外線のデータ集のWebサイトにより、詳しくチェックできます。
各地の1年間のデータを見て比較すると紫外線量の推移が月別、時間帯別で確認できます。
変動を確認しておけば、紫外線が強くなる前からの紫外線対策に役立つでしょう。
春から初秋にかけてが強く、4月~9月の間に、1年間のおよそ70%~80%の紫外線が降り注ぎます。
※●は観測値、細実線は1990年から2022年までの累年平均値を表しています。
正午をはさむ数時間に紫外線が集中して降り注ぎます。
午前10時~午後2時の4時間の間に、夏は1日の70%前後、冬は1日の80%前後を占める紫外線が降り注ぐのです。
南に行く(緯度が低くなる)ほど紫外線は強くなります。
夏はどの地域も紫外線量が多く地域差は少ないですが、冬は札幌と那覇では何倍もの紫外線量の差があると分かります。
住んでいる地域によって、紫外線に気を付けるべき時期は大きく異なると言えるでしょう。沖縄では、冬も紫外線対策が必要なのです。
紫外線対策には日々、紫外線量をチェックし紫外線の強さにあわせ、日焼けどめや対策グッズを用いた対応をしましょう。
紫外線量について、天気予報をチェックするように、気象庁のWebサイトでその日の紫外線予測をチェックできるのです。紫外線を「どこまで対策するか」を考えるのに、非常に役立ちます。
参照:「紫外線情報(分布図)紫外線予測」/気象庁日中外出する予定がある日には、気象庁の紫外線予測をチェックし、紫外線に気を付けるべき日かどうか確認してみましょう。
紫外線の強さを測る指標としては、UVインデックスが分かりやすい指標です。下記の表のUVインデックスの数値と対策の目安を頭に入れておきましょう。
※UVインデックスとは
紫外線の強さを測る指標として、UVインデックスと紅斑(こうはん)紫外線量の二つの指標が紫外線量を把握するための数値として考案されています。
紅斑紫外線量は、紫外線を浴びると皮膚が赤くなる(紅斑)などの人体への影響について着目し、紫外線の波長毎の強さと、人体への影響度をかけ合わせて数値化した指標です。
UVインデックスは、紫外線の強さを一般の方にさらに分かりやすく伝えるために、紅斑紫外線量を単純化・整数化した指標と考えるとよいでしょう。
オゾンは酸素原子3個からなる気体で、大気中の成層圏(約10~50km上空)に約90%存在しています。この、オゾンの多い層を一般的に「オゾン層」と言っています。
この成層圏オゾンは、太陽からの有害な紫外線を吸収し、成層圏の大気を暖める効果があります。地上の生態系を保護し、地球の気候の形成に大きく関わっているのです。
オゾン層は地上に集め0℃に換算すると、約3ミリメートル程度の厚さにしかなりません。 非常に少ない量のオゾンが、有害な紫外線を防いでいるのです
世界中の地上観測データや衛星観測データによると、1970年代半ばより深刻化したオゾン層破壊の影響で、世界のオゾン全量は1980年代を中心に減少しました。
しかし、フロンなどのオゾン層破壊物質の生産規制により、オゾン層はゆるやかな回復傾向となっています。
他方で、日本において、地表に到達する紫外線量は、観測が開始された1990年代初めから増加傾向が続いているのです。
紫外線量の増加の原因は科学的に完全には解明されていませんが、オゾン層は回復しているものの、他の要因により、紫外線量が増えていると考えられます。
※全球平均オゾン全量を参照値(1994~2008年の平均値)との偏差(%)で示しています。
※緑実線は世界中の地上観測点のデータ、青丸●は北緯70度~南緯70度で平均した衛星観測のデータで、季節変動成分を除去しています。
※地上観測点のデータには「世界オゾン・紫外線資料センター」が収集したデータを、衛星観測のデータには米国航空宇宙局(NASA)提供のデータをそれぞれ使用しています。
具体的には、地球温暖化の影響による気候変動で雲量が減った点、大気が昔よりキレイになりエアロゾル(大気中に浮遊する液体や個体の微粒子)が低下した点などが増加の原因と想定されます。
いずれにせよ、日本での紫外線量は昔より今の方が増えているデータがある以上、地上で生活する私たちは、より万全の紫外線対策をしていくべきでしょう。
なお、紫外線と健康に関しての新しい科学的知見については、環境省が発表している紫外線環境保健マニュアルが参考になりますので、下記に紹介いたします。
紫外線については、オゾン層破壊の環境問題と関連して危険性が大きく取り上げられた過去があり、誰しも気を付けるべき自然の脅威として、ある程度イメージできているでしょう。
健康や美容について考える際は、紫外線対策は必要不可欠です。改めて紫外線についての知識を確認しましょう。
紫外線とは、太陽からの光の内で、目に見える可視光線より波長が短い、目に見えない光の種類です。
可視光線の中で最も波長の短い紫の光より少し波長が短い光として、紫外線と呼ばれています。
ちなみに、反対に可視光線の中で最も波長の長い赤い光より少し波長が長いのが、赤外線です。紫外線は目に見えません。
が、基本的な性質は可視光線と同じであり、建物などで大部分が遮断されます。空気中で散乱して届く散乱光、地面などで反射して届く反射光にも注意が必要です。
可視光線より少し波長の短い紫外線ですが、波長の長さによって更に3種類に分類されます。
紫外線の中でも波長の長いのがUV‐Aで、地表に到達する紫外線の大部分は、UV‐Aです。
生体への影響はUV‐Bより小さめですが、長時間あたると肌などに悪影響があると懸念されています。
UV‐Aより少し波長が短いのがUV‐Bであり、地表に到達する割合は少ないですが、生体に与えるダメージは大きいとされています。
波長が最も短いUV‐Cは、オゾン層や大気中の酸素分子に完全に吸収され、地表面には到達しません。
紫外線を浴びると、人間がカルシウムを吸収する際に重要な役割を果たすビタミンDを皮膚で合成できます。
食事だけでビタミンDを十分に摂取するのは難しいため、食事やサプリメントに気を使わない場合は、少なくとも1日5分程度の日光紫外線を浴びるべきとも言えます。
しかし、紫外線の浴びすぎは、日焼け、しわ、シミの原因となり、悪性の腫瘍や白内障などの健康被害を引き起こす危険性まで懸念されるのです。
最近では、紫外線はダメージを受ける悪影響の方が大きく、なるべく紫外線を避けるべきと考えるのが一般的でしょう。
自分が住む地域の季節や時間ごとの紫外線量をざっくり把握し、毎日の紫外線量をなるべくチェックしながら、次に紹介する紫外線対策をできるだけ取り入れてみましょう。
紫外線を浴びる量を減らすと、肌や健康に好ましい影響を与える可能性があるのです。
紫外線の強い時間帯の外出を控えるのは基本です。屋内で働く人は、屋外で働く人の10%から20%程度の紫外線しか浴びないそうです。
一般的な窓ガラスの紫外線透過率は高く、窓からも相当量の紫外線が入ってきています。
屋内だからといって油断せず、カーテンやブラインドを使用して対策しましょう。
反射光や散乱光もあるため日陰が安心とは限りません。
しかし、日陰に居る場合の紫外線を浴びる量は、日向に居る場合の半分ほどで済みます。晴れの日は日陰を通るよう意識しましょう。
皮膚に到達する紫外線を減らす工夫は有効です。
色素は紫外線を吸収するため、染料の使われている色が付いた服の方が紫外線対策になるでしょう。
どうしても紫外線が強い時間帯に外出しなければならない場合は、日焼けどめを使いましょう。製品の仕様に合わせ、こまめに塗り直すといった工夫も重要です。
事後対策、肌のダメージ対策として、日焼けや肌の乾燥のダメージを軽減する効果が期待できる保湿ローションを使うのがよいでしょう。
紫外線量のデータを確認すると「紫外線に気を付けるべきなのは夏だけではない」とハッキリします。
外出する際に紫外線量をチェックする習慣をつけると、日々の生活で具体的にどこまで対策すればいいか、分かりやすくなるはずです。紫外線が気になる方は、気象庁や気象情報のサイトをぜひ、日々チェックして活用してくださいね。
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