水溶性と不溶性の働きやちがいとは?
食物繊維は、摂取しても体内に吸収されません。ですが、健康維持に重要な役割を果たしている成分です。食物繊維で大きくふたつに分類した場合「水溶性」と「不溶性」の特徴を解説します。
参照:「食物繊維の働きと1日の摂取量」/公益財団法人 長寿科学振興財団
食物繊維の1日の摂取目安量
食物繊維の1日の摂取目安量(目標量)は、年齢や性別によって違います。自分に必要な量をチェックしてみましょう。
参照:「食物繊維の働きと1日の摂取量」/公益財団法人 長寿科学振興財団
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、成人の場合は1日24g以上の食物繊維の摂取が理想的だとされています。
しかし、現代の日本人の平均的な食物繊維摂取量は1日14gほどです。理想量はもとより、健康維持に必要な目標量にすら届いていません。
国民健康・栄養調査の統計によると、日本人における平均的な1日の食物繊維摂取量は、1955年までは20g以上でした。
理想量には満たなくとも、目標量ほどは摂取できていたのです。では、なぜ現代の日本の食卓は食物繊維が減ってしまったのでしょうか。
出典:「日本人における食物繊維摂取量(平均値)の推移」/厚生労働省)
日本の食卓の食物繊維量が減った理由と問題点
現代の日本の食卓は昔と比べて「欧米化」と「穀物の減少傾向」が見られます。この傾向が、日本人の食物繊維の摂取量が減少した理由と考えられています。
食生活の欧米化
食生活の欧米化により、肉や乳製品をたくさん摂取するようになりました。動物性食品には、ほとんど食物繊維が含まれていないため、食物繊維の補給源にはならないのです。
穀物の減少傾向
昔と比べてお米(ごはん)や大麦といった穀物の摂取量は減っています。なんと、食物繊維摂取量が多かった1955年に比べて、2013年の穀物摂取量は1/3ほどです。
食物繊維が多い食品といえば、「ゴボウ」や「セロリ」を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、日本人の一番の食物繊維の補給源は「ごはん」であり、次いで「食パン」となっています。
上記の食材に含まれる食物繊維量(可食部100gあたり)を比較してみましょう。
- ● ごはん:1.5g
- ● 食パン:4.2g
- ● ゴボウ:5.7g
- ● セロリ:1.5g
食物繊維量を比較するとごはんや食パンよりもゴボウのほうが豊富です。とはいえ、ごはんはセロリに匹敵する食物繊維量を誇ります。
また、主食である穀物は食べる頻度や量が多いため、実は日本人の食物繊維の摂取源として欠かせない食品だったのです。
食物繊維の摂り過ぎはNG?1日の摂取量に上限はある?
厚生労働省が定める「日本人のための食事摂取基準(2020年版)」では、食物繊維の「上限量」は設定されていません。
食物繊維は摂取不足による健康への影響が大きいため、不足回避の最低ラインである「目標量」のみが設定されています。しかし、摂り過ぎによって思わぬ事態を招く場合があるので要注意です。
摂り過ぎは便秘を悪化させるリスクが
便秘の人が食物繊維を摂り過ぎると、便秘を悪化させてしまう場合があります。ここで、問題となるのは「不溶性食物繊維」です。
不溶性食物繊維は、便のかさを増やすはたらきがあります。健康な人では、大腸内の便は、腸の壁が波打つように収縮する動き(ぜん動運動)によって、肛門の外に向かって運ばれていくのです。
一方で、便秘の人は“ぜん動運動”のはたらきが低下しています。そのため、不溶性食物繊維によって便のかさが増えると、腸内に詰まりスムーズに進まなくなってしまうのです。
さらに、腸内に長時間滞っている便は、どんどん硬くなっていきます。腸が便の水分を奪ってしまうのです。便秘の人は、不溶性食物繊維の摂り過ぎに注意しましょう。
効率的に食物繊維が摂取できる食品
食物繊維を効率的に摂取するための心強い食品を3つご紹介します。
切り干し大根
食物繊維総量(100g中):21.3g
水溶性(100g中):5.2g
不溶性(100g中):16.1g
切り干し大根は、食物繊維が豊富なだけでなく、噛み応えがあるため満腹感を得やすい食品です。ダイエット中の食事に加えるとよいでしょう。常温保存ができるため、常備しておくと重宝します。
ライ麦パン
食物繊維総量(100g中):5.6g
水溶性(100g中):2.0g
不溶性(100g中):3.6g
ライ麦パンは、食パンよりも多くの食物繊維を含んでいます。また、積極的に摂りたいビタミンB1・カリウム・鉄・亜鉛も食パンより豊富です。
しかも、脂質はおよそ1/2に抑えられています。パン食の人は、ライ麦パンを検討してみてはいかがでしょうか。
オートミール
食物繊維総量(100g中):9.4g
水溶性(100g中):3.2g
不溶性(100g中):6.4g
オートミールは、白米に比べて約19倍、玄米と比較しても約3倍の食物繊維が含まれています。そのうえ、グルテンフリーなので、小麦製品を控えている人もOKです。
水分を吸って2~3倍に膨らみます。オートミールを主食に置き換える場合は、1食につき30g程度目安にしましょう。
食物繊維を効率的に摂るコツ
食物繊維の摂取量を無理なく増やすコツをマスターしましょう。
主食は“白から“黒”にチェンジ
第一に、主食は毎食しっかりと摂りましょう。主食を選ぶ際は、“白っぽい食品”よりも“黒っぽい(色のついた)食品”を意識すると食物繊維がアップします。
● 白ご飯→玄米・もち麦・黒米・赤米・雑穀米など
● 食パン→ライ麦パン・全粒粉のパンなど
野菜たっぷり・食品数を増やす
食事は、食品数を増やすように意識しましょう。
● ラーメン・パスタは、野菜たっぷりに
● カレーは、トマト缶やキノコ・余り野菜をプラスしてつくる
● すぐに出せる食品(納豆やもずく酢など)を添えて、品数を増やす
野菜は皮ごと使う
野菜の皮は中心部に比べて食物繊維が豊富に含まれています。大根・にんじんといった野菜は、なるべく皮ごと使いましょう。
食物繊維たっぷりメニューのご紹介
上記の「食物繊維を効率的に摂るコツ」を応用したメニューをご紹介します。
大豆と根菜の具だくさんカレー
主食に大麦入りごはん、カレーは皮ごと使用する根菜やきのこ・大豆など具だくさんに仕上げたカレーです。ぜひ、お家にある余り野菜をお鍋に放り込んでつくってみてください。
【材料】(2人分)
- ● 大豆の水煮 1/2カップ
- ● 玉ねぎ 1/2個
- ● ゴボウ 1/2本
- ● 大根 5cm分
- ● にんじん 1/3本分
- ● お好きなキノコ 適量
- ● トマトの水煮缶 1/2缶
- ● こめ油 大さじ1
- ● 水 カップ2.5
- ● カレールー 2皿分
- ● 雑穀入りごはん 2皿分
【作り方】
- 1. 玉ねぎは皮をむいてみじん切りに、ゴボウはたわしでキレイに洗って皮はむかずに乱切りにします。大根とにんじんも皮はむかずに乱切りにしましょう。
- 2. キノコは食べやすい大きさに切ります。
- 3. 鍋にこめ油をしいて、1.を炒めましょう。
- 4. 玉ねぎが透明になったら、トマトの水煮缶と水・2.を加えて煮込みます。
- 5. 具材がやわらかくなったら、火を止めカレールーを加え、混ぜましょう。
- 6. カレールーが溶けたら、再度火をつけます。しばらく混ぜてとろみがついたら完成です。
- 7. 器に盛った大麦入りごはんに、かけていただきます。
忙しい方は、健康食品を活用して手軽に補給する手も
食物繊維の1日の目安量(目標量)は、成人男性21g以上、女性18g以上となっています。しかし、現代の日本の食卓では目標量に届いていないのが現状です。
1955年までは、1日に20g以上の食物繊維を摂取していました。しかし、現在は肉や乳製品の摂取量の増加、穀物の摂取量減少によって食物繊維が摂りにくい食形態になっているのです。
主食(ごはん)は、日本人にとって一番の食物繊維の供給源となっています。食物繊維をきちんと補給するには、毎食適量の主食を食べたうえで、バリエーションに富んだ食品を使い、野菜たっぷりの食卓を心がけるようにしましょう。
また、食事の管理が難しい場合は、食物繊維入りの健康食品が便利です。手軽に食物繊維を補給できるので、上手に活用するとよいでしょう。
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