紙オムツを洗濯してしまったら、どんな惨状になる?
紙オムツを洗濯すると、洗濯物のなかから“パンパンに膨らんだ紙オムツ”が発見されます。
紙オムツがパンパンになるのは、紙オムツの中にある粒状の吸水ポリマーが大量の水を吸い込み、ゼリー状に膨らんだためです。
洗濯機が運転して攪拌されると、紙オムツは破れて、ゼリー状のポリマーや紙オムツの繊維が洗濯物と洗濯槽にこびりつきます。
ティッシュペーパーを洗濯したケース以上の大惨事になるのです。
紙オムツを洗濯してしまったときのNGな対処法
インターネット上で検索をすると「紙オムツを洗濯してしまった場合の対処法」がたくさんでてきます。しかし、なかには洗濯機のサビれや故障の原因になりかねない方法もあるため、注意が必要です。NGな方法について、しっかりと押さえておきましょう。
塩は使わないで!
インターネット上では、紙オムツを洗濯してしまった場合の対処法として「塩を入れて洗濯する方法」が多数紹介されています。
浸透圧によってポリマーが小さくなるため、取り除きやすくなるようです。しかし、洗濯槽がステンレス製の場合、塩を使うとサビの原因になります。また、溶け残りがあると配管を詰まらせてしまうので、使用は控えましょう。
重曹は使わないで!
塩と同様に、洗濯機で紙オムツを洗ってしまった場合の解決策として「重曹を入れて洗濯する方法」も多数紹介されていますが、おすすめできません。
重曹は、洗剤に比べて洗浄力が劣るため、洗浄力を上げるために量を多く入れてしまいがちです。重曹を多く入れると、溶け残ってしまって排水口やホースが詰まる原因につながります。
とくに、水質が“硬水”の地方では、重曹を使うと徐々に固形化しやすいので、要注意です。排水トラブルを避けるためにも、重曹は使わないほうがよいでしょう。
柔軟剤だけに頼らないで!
「柔軟剤を入れて洗濯する方法」もよく紹介されています。ポリマーまみれの洗濯物に柔軟剤を入れてすすぎ洗いをする方法です。柔軟剤の静電気を抑える性質によって、洗濯物に付着したポリマーが落ちやすくなります。
しかし、ポリマーが消失するわけではありません。根本的に解決するには、洗濯物や洗濯機に付いたポリマーを取り除く必要があります。ポリマーが洗濯槽に残っていると、詰まりの原因になるため、しっかりと取り除きましょう。
乾燥機能は使わないで!
洗濯機内にポリマーが残っているうちは、乾燥機能を使ってはいけません。高熱でポリマーが溶けると、洗濯物や洗濯槽内に付着して、取れにくくなってしまうのです。乾燥機は、完全にポリマーを取り除いてから使用しましょう。
「酸素系漂白剤」や「台所用漂白剤」は使わないで!
酸素系漂白剤や台所用漂白剤を洗濯機で使用すると、大量に泡が発生します。水漏れや故障の原因になるので使わないようにしましょう。
酢やクエン酸は使わないで!
キッチンの掃除で活躍する「酢」や「クエン酸」ですが、洗濯槽向けではありません。酸性が強く、サビ・部品の不具合・運転不良につながるため、使用は控えましょう。
ただし、メーカーによっては、自動投入のお手入れなどに「クエン酸」を推奨している場合があります。取り扱い説明書に記載のある濃度に薄めて使用し、お手入れ後は水洗いが必要です。
紙オムツを洗濯してしまったときの対処手順
紙オムツを洗濯してしまった際は、慌ててしまいがちですが、正しく対処できれば、しっかりとキレイになります。慌てずに、つぎの手順で対処しましょう。
1. 洗濯機から洗濯物を取り出します。
2. 庭やベランダ・浴室といった汚れてもよい場所で、付着したポリマーを振り落としましょう。この段階では、だいたい落ちればOKです。無理に取ろうとすると、かえってポリマーが洗濯物の繊維の中に入り込んでしまいます。
3. 洗濯槽の汚れをキッチンペーパーなどで拭き取りましょう。※ティッシュペーパーは、繊維が残りやすいので避けます。
4. 2)の洗濯物を、3)の洗濯槽内に戻し入れ、洗剤は入れず“すすぎモード”で洗い、脱水します。ここで柔軟剤を入れてもよいでしょう。
5. 洗濯物を干します。可能であれば、外干しするのがおすすめです。※乾燥機は、完全にポリマーを取り除いてから使用しましょう。熱でポリマーが溶けると、洗濯物や洗濯槽内にこびりついて、取れにくくなってしまいます。
6. 再度、洗濯槽内の汚れをキッチンタオルなどで拭きとります。洗濯機のタイプによって、ポリマーが付着しやすい箇所は異なるので、チェックして、しっかりと取り除きましょう。
【ドラム式の場合】
● ドラム内
● ドアの内側
● ドアのパッキン部分
【タテ型の場合]
● 洗濯槽
● 洗濯槽の底についている回転翼(パルセーター)
● 糸くずフィルターを外した装置部分
7. 洗濯機の“糸くずフィルター”を掃除します。※掃除方法は、お使いの洗濯機の取扱説明書を参考にしてください。
8. 洗濯物が乾いたら、洗濯物を振ったり叩いたりして、乾燥したポリマーを落とします。※ポリマーは、乾燥すると粉状になって落としやすくなるのです。
9. 部屋干しの場合は、床に落ちたポリマーを片付けましょう。
10. 洗濯機の排水口・排水ホースに汚れが詰まっていないか確認し、詰まりがある場合は、市販の排水口クリーナーなどを使って詰まりを解消します。※お使いの洗濯機の取扱説明書を参考に手入れしてください。
11. お使いの洗濯機に“槽洗浄モード”があれば3時間ほど運転させて洗濯槽を洗浄したら完了です。
ポリマーが多少衣服に残っていても、神経質になる必要はありません。ポリマーは、肌に有害性はないからです。
一般社団法人 日本衛生材料工業連合会によると、「ポリマーは肌に付着しても害はない」としています。
出典:「紙おむつ 軽失禁について」/一般社団法人 日本衛生材料工業連合会
一般社団法人 日本衛生材料工業連合会 | 紙おむつ・軽失禁 (jhpia.or.jp)
紙オムツは、お肌がデリケートな赤ちゃんのために作られているので、万が一、紙オムツが破れた際の安全性にも配慮して作られているようです。
自分で洗濯機や排水口の対処が難しい場合、どこに連絡したらいいの?
自分で排水口を掃除しても、詰まりが解消されない場合は、「契約先の水道会社」や「清掃業者」に相談しましょう。また、自分で排水口のお手入れ方法がわからない場合は、「自宅の管理会社」や「ハウスメーカー」に問い合わせましょう。
紙オムツを洗濯してしまったら…
適切に対処してクリアな明日へ
“紙オムツの洗濯事件”は、紙オムツ育児をしている家庭なら、一度は経験した先輩たちも多いできごとです。
初めは慌てるかもしれませんが、一つひとつ対処していけば、必ずキレイになります。対処法はインターネット上にたくさんの情報がありますが、なかには洗濯槽をサビさせたり、故障の原因になる方法もあるため、注意が必要です。
洗濯機や一緒に洗濯した衣類の手入れには手間がかかり、少し大変ですが、今回ご紹介した方法で気持ちもクリアにして行きましょう。
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