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【医師監修】夏バテとは?猛暑への対策は?症状や夏バテの起こるメカニズムを知り生活環境や習慣の見直しを

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2024/05/31

夏バテを引き起こす大きな原因は、室内外の温度差による自律神経の乱れです。真夏には、屋外、電車、会社の移動だけでも激しい温度差で体調を崩してしまいます。
夏バテになると食欲不振などで疲労が蓄積し、長く夏バテ状態から抜け出せなくなった経験を持つ方も多くいらっしゃるでしょう。
夏バテが起こる時期や症状に触れたうえで、夏バテがどのように起こるのかを詳しく解説します。夏バテが起こる仕組みを理解し、しっかりとした対策で夏を乗り切りましょう。

  • 成田

    監修医師成田 亜希子

    2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
    臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。 国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。 現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。

 

夏バテとは。どのような不調か

夏バテとは、夏の気候を原因とする自律神経の乱れや脱水症状などにより、体に起こるさまざまな不調の総称です。最近では、夏バテは真夏だけの症状ではなくなっています。
ここでは、夏バテが起こる時期と夏バテの主な症状を詳しく見ていきましょう。

夏バテが起こる時期

夏バテは、高温多湿による大量の発汗や、エアコンによる屋外と室内との気温差によって起こります。そのため、夏バテは、8月の猛暑の時期に最も起こりやすいのです。早い人では、夏の始まる7月初旬から夏バテの症状を感じる人もいます。
近年では、残暑が厳しい年も多く、9月に入っても夏バテの症状に苦しむ人は少なくありません。9月の秋口に入ってから自覚する夏バテの症状は、秋バテとも呼ばれます。今や夏バテは真夏にだけ気を付ければ良い症状とは言えません。

夏バテの主な症状

夏バテの主な症状は、次のとおりです。

疲労感

疲労感は、夏バテの代表的な症状です。普段通りの生活を送っていても、疲れや体のだるさが抜けなくなります。疲労感が蓄積して、気分の落ち込みや不眠など精神的な不調を引き起こすケースも少なくありません。

脱水症状

夏の暑さで大量の汗をかくと、体の水分が失われて脱水症状を起こします。
脱水症状が起こると、「頭がぼーっとする・立ちくらみが起こる・頭痛・吐き気」など、体にさまざまな不調が現れます。

睡眠不足

夏場は夜間でも気温が高く寝苦しいです。猛暑が続くと睡眠の質が低下したり、寝つきが悪さから睡眠不足の状態が続いたりして、日中でも眠気が取れなくなってしまいます。眠気が取れないと、仕事や勉強にも集中できなくなり、生活に大きな支障が起こるでしょう。

食欲不振

夏バテで自律神経が乱れると、胃腸の機能も低下してしまいます。その結果、食欲不振
となり、エネルギー不足が起こりやすくなります。また、必要な栄養素が不足すると疲労も回復しにくくなり、疲労感をさらに増す原因となってしまうでしょう。

 

夏バテはどのようにして起こるのか

【医師監修】夏バテとは?

夏バテが起こる主な原因は、室内外の温度差による自律神経バランスの乱れです。さらに、多量の発汗による水分不足・ミネラル不足や食欲不振による栄養不足も、夏バテの一因に。
私たちの体内では自律神経が働いており、血の巡りや発汗作用の調整により体温を一定に保っています。自律神経には、活動時に活発になる交感神経と、休息時に働く副交感神経があります。交感神経と副交感神経の切り替えにより、体だけでなく心の状態も正常に保たれるのです。

エアコン使用による屋外との温度差

夏場に室外の気温が上がり、屋内でエアコンを強く効かせると室内外での温度差が大きくなります。室内外の移動が続くと、温度差に耐えられず自律神経の働きに乱れが生じてしまいます。自律神経バランスが乱れると、心身の状態を正常にコントロールできなくなり、さまざまな不調が起こるのです。

発汗による脱水症状

また、発汗すると、汗とともに体内の水分やミネラルが失われます。ミネラルは体内では作り出せない成分なので、意識的に補給しなければ水分・ミネラル不足の状態となってしまいます。水分やミネラルの不足は、夏バテの症状である脱水症状の原因です。

食欲不振

食欲不振による栄養不足も、夏バテの症状を重くする原因となります。豚肉やうなぎに含まれるビタミンB1や柑橘類に含まれるクエン酸は、疲労回復に役立つ栄養素です。肉や魚、大豆に含まれるたんぱく質も身体づくりには欠かせません。夏バテを感じるときには、疲労回復や身体づくりに役立つ栄養素を意識して多めに取り入れると良いでしょう。

 

夏バテが生じる原因とは

ここでは、環境と生活習慣に分けて夏バテの原因をより具体的に見ていきましょう。

夏バテの原因となる環境

夏バテの原因となる夏場の生活環境は、エアコンによる室内の気温と外気温との温度差です。エアコンを効かせ過ぎない、外出するときには直射日光を避けるなど、大きな温度差が起こらない工夫が必要です。
高温多湿で汗が蒸発しにくいのも夏バテの原因となります。汗をそのままにしておくと、肌の表面での体温調整がうまくいかなくなります。
夏バテを避けるには温度差が生じないよう配慮し、汗も適切に処理する必要があるでしょう。

夏バテの原因となる生活習慣

夜更かしが多くなると、夏バテを起こしやすくなります。夜更かしが多い人は、交感神経と副交感神経の切り替えが適切に行われにくい状態になります。室内外の温度差で自律神経の乱れが起こりやすい状況で、夜更かしを重ねると自律神経バランスを正常に保つのは難しくなるでしょう。
自律神経バランスを正常に保つのは、睡眠時間の確保と適度な運動が効果的です。逆に睡眠不足や運動不足は、自律神経バランスの乱れを起こしやすくなるため、夏バテの原因となります。
自律神経バランスの乱れによる夏バテが起こりやすい夏場には、規則正しい生活による睡眠の確保と運動が他の季節よりも重要と言えるでしょう。

 

夏バテのときに注意すべき疾患

夏バテで疲労が蓄積すると免疫力が低下し、他の疾患にもかかりやすくなります。とくに夏風邪と熱中症には注意が必要です。

夏風邪

夏場でも風邪をひき起こすウイルス・細菌などは存在しています。疲労が蓄積し自律神経のバランスも崩れると、ウイルス・細菌などに対抗する免疫力が低下します。
単なる夏バテから夏風邪を発症し、発熱、頭痛などの激しい症状を起こすケースも珍しくありません。夏バテのときには、風邪予防にも注意し、発熱した際にはしっかり静養に努めてください。

熱中症

夏バテで水分やミネラルが不足した状態になっていると、熱中症にもかかりやすくなります。夏場に運動するときはもちろんのこと、長時間外出する際には熱中症への配慮が必要です。こまめな水分補給を心がけ、直射日光を避けるための帽子や日傘を使用するようにしましょう。

 
夏バテに注意し暑い夏を乗り切ろう

夏バテの主な原因は、自律神経バランスの乱れです。外から戻るとエアコンで体を冷やしたい気持ちはわかりますが、激しい温度差は夏バテを招きます。
エアコンの温度を少しでもあげる、軽い運動や入浴で適切な体温調整を行うなどの工夫で夏バテを避けましょう。
水分・ミネラルの補給と食事からの栄養摂取も重要です。厳しい夏こそ、しっかりと水分を摂り、食事も抜かずに健康な体で夏バテに立ち向かいましょう。

 
監修医師からのアドバイス

夏バテは軽く考えると症状が長引き、慢性的な気分の落ち込みや免疫機能の低下などを引き起こしやすくなるため注意が必要です。
今回ご紹介したように、夏バテの主な原因は自律神経バランスの乱れです。特に暑い時期は空調が効いた室内と外気温の温度差で自律神経バランスが乱れやすくなります。
室温は28度を目安として、冷えすぎない適切な温度のキープを心がけましょう。
また、食事、運動、睡眠などの基本的な生活習慣を整えるのも夏バテ予防には大切です。健康的な夏を過ごすには、本格的に暑くなる前から対策を講じましょう。
特に私たちの体は徐々に暑さに慣れる仕組みが備わっています。本格的に暑くなる前から一日30分程度の軽度な運動を続けていると汗をかきやすくなって暑さに慣れていくとされています。暑さに慣れるまでには2週間程度かかるとされているため、早い時期から対策を始めましょう。

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