フェムテック・フェムケアとは
フェムテックとフェムケアは、どちらも女性の健康に関する課題を解決するサービスや商品を意味します。
フェムテック(Femtech)は、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を合わせた造語です。
月経、妊娠・不妊・産後ケア・更年期といった女性のライフステージにおける悩みや、婦人科系疾患・セクシャルウェルネスに対して、アプリやAI(人工知能)といった先進的なテクノロジーを使って解決します。
一方、フェムケア(Femcare)はFeminine(女性の)とCare(ケア)を合わせた造語で、デジタルなテクノロジーを使わずに女性の身体をケアします。
フェムテックやフェムケアが注目を浴びている5つの理由
海外を中心に、ここ数年日本においてもじわじわと盛り上がりを見せているフェムテック&フェムケア。とくにテクノロジーを利用したフェムテックが注目を浴びている理由には、社会的な背景があります。
女性の健康に関する問題の顕在化と社会の意識変化
女性の社会進出にともない、これまで悩みを打ち明けづらかった生理痛やPMS(月経前症候群)、更年期といった女性特有の健康に関する問題が顕在化しました。
悩みをオープンにしてSNSなどを通じて積極的に発信する人が増え、問題が多くの人の目につくようになったため、社会全体で状況を変えていこうと動きはじめたのです。
ジェンダー平等意識の高まり
ジェンダーによる差のない社会づくりに向けた「ジェンダー平等意識」が世界的に高まっています。日本でも長い間、雇用や賃金格差・家事や育児の負担の割合など、男女の不平等が社会的な問題となっています。
2022年に世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数」によると、日本は146カ国中116位で、先進国の中で最下位。アジア諸国で見ても、中国・韓国・ASEAN諸国より低いレベルです。
現状を改善してジェンダー平等を進めるために、さまざまなテクノロジーを利用したフェムテックへ期待が寄せられています。
出典:「ジェンダー・ギャップ指数(CGI)2022年」/男女共同参画局
女性特有の健康問題による大きな労働損失
経済産業省は月経にともなう体調不良による労働損失は、4,911億円に上ると試算しています。通院・医薬品にかかる費用の負担と合わせると総額は約7000億円です。
女性特有の健康問題による莫大な労働損失を防ぐために、フェムテック市場は急激に拡大しているのです。
出典:「フェムテックに関する経済産業省の取組」/経済産業省
女性が働きやすい社会の促進
「生理痛で仕事のパフォーマンスが低下する」「出産や妊活のために仕事を諦める」といった状況を改善して多様な働き方ができるように、経済産業省はフェムテックを推進。
フェムテックの製品やサービスを提供する企業・医療機関・自治体に対して、事業費の3分の2(上限500万円)を補助する「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の実施をはじめました。
女性が働きやすい環境をつくるには、周囲の理解が欠かせません。そのため、女性だけでなく男性や社会全体が女性の健康に関心を持ち、理解を深め、必要に応じて適切なサポートを受けられるように支援しています。
出典:令和5年度「フェムテック等サポートサービス実証事業補助金」に係る補助事業者募集要領/経済産業省
テクノロジーの進化
IT技術の進化で、健康に関するデータを記録・管理して効率的に解決策を導き出したり、サポートを受けたりできるようになりました。
コロナ禍で急速に広まったオンライン診療サービスは、そのひとつです。また、スマートフォンの普及により誰でも手軽に自分の健康に関するデータを記録し、閲覧できるようにもなりました。
テクノロジーの進化により、自分の身体の状態を把握してライフプランニングに活かせるようになったのです。
フェムテック市場の展望とトレンド
アメリカの調査会社フロスト&サリバンは、2025年までにフェムテックの世界市場の規模が5兆円にまで拡大すると予測。
大手企業やスタートアップ企業のフェムテック市場への参入、企業や自治体による幅広い取り組みにより『人に話すことをタブーとされた女性の健康やライフイベントに関わる悩みをひとりで我慢せずに“みんな”で共有し、助け合う新しい当たり前をつくるムーブメント』も生まれています。
今後はさらなる市場開拓や技術・サービスの向上が期待されています。
引用:「新しい当たり前をつくり女性が働きやすい社会を創るには」/経済産業省
出典:「Frost & Sullivan Defines Top Femtech Global Opportunities by 2024」
フェムテック・フェムケアを活用するメリットと商品やサービス例
フェムテックやフェムケアを使うと、自宅にいながら健康管理や悩みの相談が気軽にできるようになります。体の悩みに合わせたケアアイテムも充実しているので、自分の状況にあわせて上手に活用しましょう。
健康管理がしやすくなる商品やサービス
例えば専用アプリやサイトサービスを利用すると、生理周期や排卵日の正確な把握だけでなく、PMS・妊活・妊娠・更年期対策をしやすくなります。医療機関とデータを共有するサービスもあるため、何か問題が起きても早めの対処が可能です。
専門家によるサポートを受けられる商品やサービス
「生理痛がひどくて仕事ができない」「妊活がうまくいかない」「更年期でのぼせる」といった悩みを、チャットやビデオ電話を使って専門家に相談できるサービスがあります。病院の診療よりも気軽に相談でき、忙しくて病院へ行けないときにも便利です。
簡易検査キットで体の状態をチェックできる商品やサービス
卵子年齢や膣内環境、ホルモン数値を測定できる簡易検査キットを利用すると、現在の体の状態や、ホルモンが体に及ぼす影響をチェックできます。
生理やデリケートゾーンの悩み・不快感の軽減に役立つ商品やサービス
多くの女性が定期的に抱える生理やデリケートゾーンに対する悩みを解決するフェムテック・フェムケアのサービスには、さまざまな取り組みがあります。
オーガニックコットンのナプキン、気になるニオイやおりもの対策ジェル、膣内に挿入して使用する生理用品の月経カップ、繰り返し洗って使える吸水ショーツ…など。
フェムケアアイテムは生理中の不快感・悩みを軽減するアイテムが豊富です。また、デリケートゾーン用のソープやローション・クリーム・オイルといったニオイやムレ対策の商品も揃っています。
顔をケアするのと同じように洗浄・保湿をして、デリケートゾーンの不快感にやさしくアプローチします。
フェムテック・フェムケア商品を上手に活用して快適な毎日を
これまで気軽に会話するのをタブー視されてきた生理・妊活・妊娠・更年期といったライフステージごとに生じる女性の悩みは、女性の社会進出やジェンダー平等意識の高まりによって、ようやく世界中で取り上げられるようになりました。
こうした社会的な背景に加えて、テクノロジーの進化が追い風となり、女性の健康問題にやさしくアプローチするフェムテックやフェムケアのサービスや商品は急速な広がりを見せています。
現在、どちらも気軽に利用できる商品やサービスが豊富にそろいつつあります。悩みはひとりで抱え込まず、快適に過ごせる毎日を目指して、まずは悩みに合わせて気軽に試してみませんか。
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