管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
じつは、中性脂肪を上げるのは、脂肪分の多い食べ物だけではないのです。例えば巷では「お酢は中性脂肪を下げる」と噂されていますが、事実でしょうか?
「中性脂肪が高め」と指摘されて、気にしている人も多いのでは。また、「脂っこい食事をしていないのに、なぜ自分が?」と疑問を抱いている人もいるかもしれません。中性脂肪を減らす 食べ物や飲み物を紹介します。反対に、注意すべき食べ物についても触れているので、日々の献立作りや食生活に役立ててくださいね。
中性脂肪は、食用油や肉・魚といった食品に含まれる脂質であり、体脂肪のほとんどを占める物質です。私たちが活動するための重要なエネルギー源として欠かせません。
油に溶けやすい性質を持つビタミン(脂溶性ビタミン)や、人体ではつくり出せない脂肪酸(必須脂肪酸)の摂取源としても重要なのです。
しかし、中性脂肪を摂り過ぎると、体脂肪として蓄えられるため肥満の原因になります。肥満は、あらゆる生活習慣病の原因になるので注意が必要です。
特定健康診査(通称:メタボ健診)の血液検査では、中性脂肪値が150mg/dl以上を「脂質異常症」と判定し、メタボリックシンドロームの要件のひとつとなっています。
中性脂肪は、生活習慣に大きく影響を受けるため、下記のような生活習慣が当てはまる場合は、改善するように心がけましょう。
ご飯だけで満腹になるような食事は、注意が必要です。ご飯に限らず、“パンだけ”、“麺類だけ”といった食事では、栄養バランスが糖質に偏ります。
糖質は、私たちのエネルギー源になりますが、使わなかった分は中性脂肪として蓄えられるのです。主食だけを摂り過ぎないようにしましょう。
肉の脂や、バター・生クリームといった乳脂肪は、中性脂肪を増やしやすい食品です。摂り過ぎには注意しましょう。
お酒に含まれる「アルコール」は、血液中の中性脂肪を増やします。また、糖質が多いお酒もあるので、お酒の飲み過ぎには注意しましょう。
運動不足は、エネルギーの消費量が少ないため、余ったエネルギー源は中性脂肪として蓄えられます。運動習慣を身に付けて、エネルギーの消費量を増やしましょう。
中性脂肪値は、食事内容に大きく左右されます。以下に、中性脂肪を上げない食事のポイントを5つご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
飲酒も、脂っこい食事もしていないのに、中性脂肪高値の場合は、主食量の多すぎる可能性があります。 “おにぎり3つ”・“菓子パン数個”・“大盛のパスタ”といった食事は、お腹は満たされますが、中性脂肪は増えやすいのです。主食の摂り過ぎには注意しましょう。 ただし、ご飯やパン・麺類は、エネルギーと食物繊維の補給源として優秀です。主食は適量を意識して、主菜や副菜を揃えて満足感のある食卓を目指しましょう。
GI値(グリセミック・インデックス)とは、食べてから血糖値が上がるまでのスピードを数値化した指標です。 GI値が低い食品ほど、血糖値の上昇はゆるやかになります。同時に中性脂肪として蓄えられるスピードもゆるやかになるのです。
以下に、おもな食品のGI値を示すので、参考にしてみてください。
【おもな食品のGIの分類】
調理法を工夫して、油の摂取量を減らしましょう。「揚げる<炒める<蒸す・煮る」の順に油の使用量が少なくなります。蒸して楽しむタジン鍋や蒸し野菜、鍋や煮物を中心に献立を考えましょう。
肉類に含まれる脂肪分(飽和脂肪酸)は、中性脂肪を増やす性質があります。肉類の脂肪分を減らすには、湯通しや下茹でが有効です。バーベキューのように網焼きをして、余計な油を落とすのもよいでしょう。
赤身の肉や鶏のササミ・ムネ肉は、比較的脂肪分が少ないです。また、鶏の皮は脂肪分が多いため、取り除いてから使いましょう。
つぎは、中性脂肪を下げたい人が積極的に摂るべき食品・飲み物をご紹介します。
魚に含まれる油(多価不飽和脂肪酸)は、血中の中性脂肪を減らす働きがあります。 なかでも「EPA」や「DHA」という成分が多いイワシ・サンマ・ブリといった青魚は、積極的に摂りたい食品です。 しかし、EPAやDHAは加熱や時間の経過により酸化してしまうため、無駄なく摂取したい場合は、新鮮なお刺身がよいでしょう。
野菜やきのこ・海藻には、「食物繊維」が豊富です。食物繊維は、脂質の吸収を抑える性質があるため、積極的に摂りましょう。
大豆も「食物繊維」が多く、魚の油と同じ種類の「不飽和脂肪酸」が含まれています。不飽和脂肪酸は、中性脂肪を減らす働きがあるので、おすすめな食材です。
玄米は、白米に比べて6倍もの「食物繊維」が含まれています。 また、含有量は少量ですが、白米に比べると「不飽和脂肪酸」も多いです。 そのため、中性脂肪が高めの方は、白米よりも玄米を主食に選ぶとよいでしょう。
動物実験において、お酢に含まれる「酢酸」をラットに投与したところ、血液中の中性脂肪の減少が見られました。人間でも同じ働きが期待できるのではないかと考えられています。
杜仲茶とは、中国原産の茶葉を原料とする健康茶です。日本では、中国茶ブームの火付け役として知られています。
杜仲茶に含まれる「アスペルロシド」は、内臓周辺についた中性脂肪を減らす作用が確認されているのです。コンビニやドラックストアでも手に入るので、毎日の水分補給に取り入れてみては、いかがでしょうか。
以下に「中性脂肪を上げやすい食品」をご紹介します。中性脂肪の正常値を目指すには、できるだけ減らす、控えるよう努力しましょう。
乳脂肪の多い食品(生クリーム・チーズ・アイスクリームなど)は「飽和脂肪酸」が多く、中性脂肪を増やす性質があります。摂り過ぎには注意しましょう。
糖質の摂りすぎは、中性脂肪を増加させます。砂糖を多く含む食品(ケーキ・プリン・まんじゅう・クッキーなど)や飲料(清涼飲料水など)、果糖が多いフルーツは、美味しくてついつい食べ過ぎてしまいがちです。 食事は、1日3食を基本にして、間食で甘いデザートやお菓子・果物を食べ過ぎないようにしましょう。
甘くないご飯やパン・麺類にも糖質が多く含まれているのです。 糖質は、私たちのエネルギー源になります。しかし、使わなかった分はブドウ糖として肝臓に蓄えられ、中性脂肪が合成されるのです。 主食は、食物繊維の補給源として大切なので、適量に留めるようにしましょう。
お酒に含まれる「アルコール」は、血液中の中性脂肪を増やします。 また、お酒を飲むと自制心がゆるむため、ついつい飲み過ぎてしまいがちです。 カロリーオーバーは、中性脂肪増加につながるので、飲み過ぎに注意しましょう。
中性脂肪は、脂っこい食べ物だけでなく、甘いデザートや炭水化物・お酒の摂り過ぎによっても増えます
。しかし、忙しい毎日を過ごしていると、“おにぎりだけ”・“パンだけ”と食事が炭水化物だけに偏ったり、お酒が進んでしまいがちです。また、運動不足も中性脂肪値を上げる原因になります。
中性脂肪値を下げるには、1日3食のバランスのよい食事が肝心です。EPAやDHAが豊富な魚中心の食事にしましょう。さらに、食物繊維を含む野菜も揃えるのが理想的です。
毎日の食事管理が大変な場合は、不足しがちな栄養素をサプリメントで補うとよいでしょう。ぜひ、正常値を目指して、できることから始めてみてくださいね。
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