教養系ライター江上奏
司法書士として手続代理業を続ける中、難解で細かい書類を依頼者に分かりやすく説明する努力を重ねた経験を活かしつつ、解説記事や健康コラムを執筆。
世の中の便利な知識や世の中の仕組みについて、ひとつでもイメージしやすい形で読者に届け、知識を役立ててほしい思いでライター業を続けている。
家の中で虫に出会いたくない人向けに、虫を家から排除するためのいろいろな虫除け対策について紹介します。虫が苦手で「見たくもない!」方も多いのでは。
家の中で害虫に遭遇する機会が増えるのは、虫が活動的になる6月~8月の、気温が高く湿度が上がってくる時期。虫も地球の生態系を支える大切な存在かもしれません。
しかし、私たちが安心して生活するためには、病原菌を運びアレルギーの原因になる恐れのある虫や、人間の生活環境を悪化させる害虫の排除も必要です。
まずは実践できる方法を試し、家の中で虫に出会わない生活を目指してみてください。
家で虫を見たくない方向けに、害虫をなるべく家から排除する方法について紹介しますので、家に虫が寄りつかないよう、できる方法から実践してみましょう。
防虫剤や殺虫剤といった虫対策グッズを上手に使いましょう。玄関やベランダなど家の入口の外側に防虫剤・殺虫剤を撒いておくと、虫を遠ざける効果が期待でき、出入りの際に虫が家に入りづらくなります。
現在では、屋外で使える防虫剤や殺虫剤が数多く販売されており、予防と駆除の両方に使える便利な虫対策グッズもありますので、積極的に取り入れてみてください。
なお、虫対策グッズを使用する際には、対象となる虫や使用方法、使用上の注意をよく読んで確認してから使用しましょう。
バリアを張るようにぐるっと家の周りに薬剤を撒いておけば、さらに虫が家に入る確率は下がります。
害虫に多い「冷たい気温を嫌い、汗の匂いに惹かれる」性質を利用しましょう。
電気代はかかりますが冷房を使うと、外より冷たい空気になり、汗をかきにくくなるため、虫の侵入を防ぎやすくなります。
また、網戸があったとしても、窓の開閉やわずかなすき間から、どうしても虫が部屋に入りやすいのです。虫を入れないためには、なるべく窓を開けない生活が一番です。
水道管、排水管といった配管の隙間から、虫は家に侵入してきます。
配管に隙間がないかチェックし、隙間がある場合はホームセンターなどで手に入るパテを使い、隙間を埋めましょう。
通気口や換気口から虫が侵入しないように、ストッキングや防虫ネットでカバーをつけるのも有効です。ドアポストの隙間も虫の侵入経路となるため、テープで隙間を塞ぐのがおすすめ。
古い家だと窓の隙間も要注意なので、サッシをチェックし、隙間がある場合は隙間テープで埋めましょう。
常温保存の野菜、食べ物の残り、生ゴミ、ほこり、アカ、フケから発せられる匂いは、虫が好むため寄せつけてしまいます。
食材の常温保存は避け、冷蔵庫などを使用しましょう。
「食べかけの食品を置いておかない」「生ゴミは処理方法を工夫するかすぐに二重のゴミ袋に入れて匂いを出さないようにする」「こまめな掃除をしてほこり、アカ、フケの匂いの発生を抑える」といった対策が有効です。
家に帰ってきて家の中に入る前に、玄関先で虫がついていないかチェックしましょう。服、髪、鞄、リュック、手さげ袋などに虫がついている場合があります。
小さくて気づきにくい虫もいますので、全体的に払い落としてから家に入りましょう。
また、宅配で届いたダンボールに虫や虫の卵がついている場合もあるので、すぐに開けて片づけたり、玄関先で処理するといった工夫が必要です。
洗濯物を外に干すと、干す際と取り込むわずかな時間でも、虫に部屋に入るチャンスを与えてしまうだけでなく、 洗濯物に虫がついたまま部屋に取り込んでしまう場合があります。虫が家に入るのを避けたいなら、洗濯物は室内乾燥がおすすめです。
LEDの光には、紫外線が少ないという特徴があります。紫外線に引き寄せられる性質の虫が多いので、照明にLEDを使用すれば、虫が近づくのを予防できるでしょう。
家から害虫を排除するには、「家の内部で虫を増やさない」のも重要です。
ダニなどの目につきにくい小さな虫は、気をつけていても家に入ってしまう場合があり、完全に排除するのは難しいでしょう。
家に入った虫をできる限り駆除するだけでなく、内部繁殖を防ぐ環境作りが重要なのです。
部屋をこまめに掃除して、虫のエサとなるほこりやゴミを取り除くようにしましょう。
室内だけでなく、ダニなどが生息しやすい場所…カーペット・ふとん・マットレス・クッションなどにもしっかり掃除機をかけるのも大事です。
また、家具の下やエアコンなど毎日は掃除をしない場所は、定期的な頻度で掃除するよう計画しましょう。
室内に物を置きすぎると、虫が隠れやすい場所ができてしまうので、なるべく物を増やさないシンプルな生活がおすすめです。
日本の夏の気候の特徴である「高温多湿」は多くの虫が好む環境です。逆に、「乾燥・低い湿度」の環境に弱い傾向があります。
例えば湿度55%以下にすると、ダニは生息しにくいとされていますし、ゴキブリも湿度60%以下では活動が鈍るそうです。
エアコンなどを利用し、湿度が60%以上にならないように管理すると、虫が家の中で繁殖しにくい環境を作りやすくなります。
ダンボールや紙袋は、虫の巣、潜伏場所になりやすく、虫が増える温床に。室内からは手早く片づけて、虫がダンボールや紙袋に触れられない環境作りを目指しましょう。
万一家で虫を見つけた際は、決して見逃がさず、殺虫剤などを使用してすぐに駆除しましょう。 万が一取り逃がした場合や、すでに屋内に複数潜んでいる可能性を感じた場合には、 家の中を大掃除して潜伏場所がないか確認すると共に、くん煙式の殺虫剤などの部屋用の虫対策グッズを活用し、駆除する方法があります。
害虫の特徴や活動時期を知って、個別に寄せ付けない対策を徹底すると、より確実に害虫を排除しやすくなります。近年の日本の家のなかに侵入しやすい代表的な害虫について、いくつか紹介します。
もちろん、ここで紹介した害虫以外にも、日本には多くの害虫が存在しています。
現在では、ネットですぐに虫の形状や特徴などの情報が調べられるため、家に現れた虫についてはすぐに写真をとり、対策方法を調査しましょう。
見た目の不快さでも代表的であり、雑菌をまき散らす不衛生な害虫です。
日本では、体長が30~40mmほどの「クロゴキブリ」と、飲食店やビルで見かける体長11~15mmほどの「チャバネゴキブリ」がよく見られます。
一年中繁殖しますが寒さに強くはなく、低温下では動かずじっとしています。
食べ残しや生ゴミ、紙や仲間の糞といったあらゆるものを食べ繁殖します。駆除には掃除をしてエサを無くし、潜伏場所となる暖かくて湿度が高く暗い場所を減らしていく必要があります。
蚊は刺されると周囲が痒くなる不快な害虫で、場合によっては命の危険のある感染症を媒介する、危険な害虫でもあります。
日本では5月~11月くらいの暖かい季節に活動し、体長4.5mm程度の「ヒトスジシマカ」や5.5mm程度の「アカイエカ」が代表的な種とされています。
ほんの少しでも水があれば繁殖可能なので、温かくなる前に水が溜まる場所を無くしておく対策が有効です。
蚊を対象とした対策グッズは数多く販売されているため、家の中に寄せつけないよう積極的な虫除けグッズの使用もおすすめです。
体長6~8mm程度の「イエバエ」に代表されるハエは、一年中活動しています。
体長2mm程度の「ショウジョウバエ」など小さなハエの総称であるコバエは、3~11月の寒くない時期に発生します。
ハエは病原菌を運んでまき散らす厄介な害虫であり、腐った食材、腐った動物の死体、糞を食べて繁殖するため、不衛生な害虫の代表的な存在です。
「室内に食材をむき出しで置いておかない」「生ゴミをすぐに片づける」といったこまめな衛生管理が、有効な対策になります。
体長4~6mm程度の「クロヤマアリ」に代表されるアリは、冬の寒い時期を除き活発に活動しています。
小さい体で屋内にやすやすと侵入し、砂糖やお菓子に集まって大量発生して不快に感じた方も多いのでは。
まずは、室内にむき出しのまま、砂糖やお菓子を放置するのは避けましょう。また、現在の日本には、「ヒアリ」のように人を咬み毒性が強い種類もいるため、注意が必要です。
日本でのシロアリ被害の8割以上は、体長3.5~6mm程度の「ヤマトシロアリ」によります。
湿った腐りかけの木材をエサ場や巣として活動するため、湿ったまま木材を放置しないのが有効な対策となるでしょう。
他にも多くの種類のシロアリが生息しており、中でも「イエシロアリ」は水を運ぶ能力が高く、乾いた新しい木材を湿らせて食べる危険な種類のシロアリです。
薬剤に弱い昆虫なので、防蟻剤(ぼうぎざい)と呼ばれる薬剤による対策が有効です。
日本で一番よく見かけるハチは、体長21~26mm程度の「アシナガバチ」です。4月~11月くらいの暖かい季節に活動します。
ハチに刺されると痛みや腫れを生じるだけでなく、抗体ができた後に再度刺されると、激しいアレルギー反応(アナフィラキシーショック)によって命を失う危険もあります。
とくに「スズメバチ」は毒性が高く、巣に近づく敵には攻撃的なので注意しましょう。
巣の近くでなくても、攻撃的になる可能性が高いとされる8月下旬~10月頃は、さらに要注意です。
ハチを庭などで見かけたり、庭にハチが巣を作りそうな場所がある場合には、ハチを駆除し、巣を作るのを防止する効果が期待できる防虫剤や殺虫剤を使用するとよいでしょう。
ただしスズメバチのように体長が大きく危険なハチの場合、自分で駆除するには装備の必要性もあり、知識が十分でなければ危険を伴います。不安な場合は駆除専門業者に依頼しましょう。
体長0.3mm程度の「ヒョウヒダニ」に代表されるダニは、人を刺す可能性は低いですがアレルギーの原因となる、
一年中活動する不衛生な害虫です。「ツメダニ」のように、人を刺すダニもいるため注意が必要です。
ほこり、アカ、フケをエサとするので、掃除をこまめにするのと、ダニが好む高温多湿を避けるのが対策となるでしょう。
「マダニ」は屋外に生息する体長3mm程度の吸血害虫で、寒い時期を除いて3~10月頃活動し、公園、河原などで人やペットを襲って吸血します。
咬まれると1週間くらい肌に張りついてゆっくりと吸血し、体長10mm程度になるまで膨れ上がります。
感染症を引き起こす可能性のある危険な害虫なので、もし家に帰ってから自分やペットが咬まれているのに気づいた場合は、必ず皮膚科や動物病院に行きましょう。
対策としては、草むらには不用意に近づかない、マダニに気づきやすいように白い服を着る、長袖を着て咬まれにくくするといった工夫が有効です。
家から害虫を排除する方法をいろいろと紹介してきましたが、まずは家の中で、虫対策の基本である
「虫の侵入経路を減らす」「こまめに掃除をして清潔さを保つ」「高温多湿を避ける」ための習慣づくりと環境づくりをできる範囲から始めましょう。
もっとも、家の近くに虫の発生源となりやすい飲食店がある場合や山林の近くなど、環境によっては完全に害虫を排除するのが難しい場合もあります。
害虫駆除の専門家であるプロの業者に相談するのも一つの手段です。
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