管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
夏になったら心配なのが「熱中症」です。蒸し暑い日本の夏は、食欲もわかない人が多いのではないでしょうか?しかし、真夏は大量の汗をかき、エネルギーや体力は想像以上に消耗しているのです。 今回は、熱中症になりやすい食習慣と、予防・回復をサポートする食事・栄養素・食べ物を解説します。コンビニで買えるおすすめの食べ物もご紹介しているので、参考にしてみてください。
熱中症から体を守るには、食事が大切です。次のような食習慣が当てはまる人は、熱中症になりやすいので、注意しましょう。
朝食は、一日のはじめの大事なスイッチです。脳のエネルギー源であるブドウ糖は、寝ている間にも消費されます。 寝起きに頭がボーっとしているのは、脳のエネルギーが不足しているためです。 寝ぼけた体では、熱中症に打ち勝てません。朝食を食べて、脳と体をしっかりと目覚めさせるのが肝心です。
二日酔いになるほどの飲酒は、免疫力を低下させます。免疫力が低下すると熱中症に負けてしまうため、飲み過ぎは要注意です。
コーヒーや緑茶には、カフェインが含まれています。カフェインには利尿作用があるため、飲み過ぎると脱水状態を招くのです。
1.2杯飲む程度では水分補給として有用ですが、熱中症対策として常用するのはおすすめしません。
水分補給目的であれば、カフェインを含まない水やハトムギ茶・麦茶がよいでしょう。
野菜や果物は、夏場に不足しがちなビタミンやミネラルが含まれています。不足すると健康を維持できないので、熱中症になりやすくなるのです。
また、肥満度が高いほど熱中症リスクは高まります。野菜や果物に含まれる食物繊維は、肥満を予防するうえでも重要です。野菜や果物を食べるよう心がけましょう。
コンビニ弁当やお惣菜・冷凍食品といった加工食品は、水煮の野菜を使用しているケースがほとんどです。 野菜を煮る過程でミネラルは流出するため、加工食品が多い食事では、ミネラル不足を招きます。
外食では、主食・主菜・副菜が揃う頻度は少ない傾向にあります。 たとえば、カレー屋さんではカレーだけ、ラーメン屋さんではラーメンだけというケースが多く、栄養バランスは偏りがちです。 栄養バランスが偏ると、健康を維持できないため、熱中症のリスクは高まります。
ジメジメと蒸し暑い日本の夏は、食欲低下を招きます。食事量が減ると、食事からの栄養と水分は不十分なため、体力と免疫力をキープできません。
夏を健康的に過ごすには、一日3食栄養バランスの整った食事を摂り、適度に水分補給をする必要があります。栄養バランスを整えるために、つぎの(1)~(3)を揃えるよう意識しましょう。
また、牛乳や乳製品・フルーツを適度に摂るとミネラルとビタミンが強化できます。目安量は、牛乳コップ1杯、フルーツは200g(みかんなら2つ・りんごなら1個)ほどです。
さらに、水分と塩分の補給に味噌汁やスープを適度に摂り入れましょう。
暑さの厳しい夏を乗り切るために、積極的に摂りたい栄養素と食べ物をご紹介します。
良質なタンパク質とは、体内で作り出せない必須アミノ酸をバランス良く含んだタンパク質です。
体の組織をつくる材料として効率よく利用されます。夏場は、食欲低下に伴い良質なタンパク質の摂取量も不足しがちです。
肉類・魚介類・卵などに含まれます。
ビタミンB1は、夏の暑さに打ち勝つため、積極的に摂りたい栄養素です。
豚肉やゴマ・マイタケ・ピーナツ・うなぎ・エンドウ豆などに豊富に含まれます。
ビタミンCは、夏の暑さにより大量に消費されてしまいます。不足しないように、積極的に摂りましょう。
アセロラ・焼きのり・カラーピーマン・レモン・キウイフルーツ・柿などに豊富に含まれます。
クエン酸は、レモンを代表とする酸味の素です。爽快な酸味で、食欲がないときも食を進めてくれます。
レモン・梅干し・ドライトマト・ドライマンゴーなどに豊富です。
ミネラル(カリウムやカルシウムなど)は、汗と一緒に体外へ流れ出てしまうので、夏に不足しやすい栄養素です。
野菜・海藻・フルーツなどに豊富に含まれているので、積極的に摂りましょう。
塩分も汗と一緒に体外へ流れ出てしまうので、適度に補う必要があります。
梅干しや味噌汁・塩昆布といった塩気のある食品で補給しましょう。
夏場は、熱中症と隣り合わせです。外出中に熱中症になった場合は、手軽に行けるコンビニエンスストアが命の救世主になるかもしれません。 万が一のために、熱中症対策に便利なコンビニの食べ物をマスターしておきましょう。
熱中症予防のポイントは、水分と塩分のこまめな補給です。経口補水液やスポーツ飲料には、水分と適度な塩分が含まれているため、活用するとよいでしょう。
ミネラルウォーターには、夏に不足しがちなミネラルが含まれています。水分とミネラルが同時に補給できるので、夏場におすすめです。
塩は、「精製塩」と「天然塩」の2種類に大別されます。精製塩は、塩化ナトリウムが99.5%以上に精製されているので、ミネラル分をほとんど含みません。
一方で、天然塩は精製されていないため、海水に含まれるミネラル分(塩化カルシウム・塩化マグネシウム・塩化カリウムなど)を含んでいます。
ミネラルは夏場に不足しやすいため、効率的に摂取できる天然塩がおすすめです。少量を舐めたり、料理に使いましょう。
ひじきはミネラルが豊富で、しょうゆで適度な塩分も補給できます。夏場の副菜にピッタリです。
だいたいのコンビニでは、フルーツが売られています。パイナップルやスイカといったカットフルーツやバナナやミカンなど種類も豊富です。
フルーツは、ビタミン・ミネラルの補給源となります。柑橘系は、クエン酸も豊富です。
一日に、200g程度(りんごなら1個・みかんなら2つほど)を目安に摂りましょう。
熱中症を予防するには、体にこもった熱を上手に発散する必要があります。氷を水筒に入れて、飲み物を冷たくしたり、袋ごと体にあててクーリングするにも便利です。
夏場は、熱中症対策のために塩分入りの飴やタブレットの品揃えが増えます。外出先でも手軽に塩分補給できるので、上手に活用しましょう。
熱中症になった場合は、水分と塩分が不足しています。そのため、まずは水分と塩分の補給が重要です。
のどの乾きを感じなくても、こまめに水分を摂りましょう。体を冷やす必要があるので、5~15度ほどの冷たい飲み物が適しています。
水分と塩分に加えて、エネルギー源になる糖分も配合されている経口補水液やスポーツドリンクがおすすめです。
熱中症では、顔のほてりやめまい・筋肉のけいれん・吐き気を伴う場合があります。もしも、呼びかけに応答がない場合は、早急に救急車を呼びましょう。
熱中症は、みるみるうちに進行して重症化するので、早めに異変に気づき対処する必要があります。
食事は、食べられる状態に回復してからスタートです。
食べられる状態になったら、前述した“夏に積極的に摂りたい食べ物”をとり入れ、予防時と同様に栄養バランスの整った食事を一日3食規則正しく摂りましょう。
熱中症は、命に関わる恐ろしい疾患です。夏場は、汗をよくかき、体力とエネルギーを消耗しています。
夏の暑さに負けないためには、日頃から栄養バランスの整った食事と適度な水分補給で、良好な健康状態をキープしておくのが肝心です。
万が一、熱中症になった場合は、水分と塩分が枯渇しているので、直ちに水分と塩分を補給しましょう。
熱中症では吐き気を伴う場合があり、体は食べ物を受け付けない状態にあります。そのため、エネルギー源が不足してしまうのです。
経口補水液やスポーツドリンクは、水分・塩分に加えてエネルギー源である糖分も配合されているため、熱中症対策に重宝します。
ぜひ、暑さの厳しい夏は、自宅に常備しておいたり、外出中のお供にしてみてはいかがでしょうか。
各ブランドの商品一覧をご確認いただけます。