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【医師監修】熱中症の症状とは?原因は環境や体の状態!見落とすと危険な初期症状から予防対策を万全に

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2024/06/05

熱中症とは、体内の水分・塩分バランスが崩れて体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもってしまうために生じる症状の総称です。めまいや立ちくらみ、頭痛や嘔吐といった症状があらわれ、重症化すると命を落とす場合があります。
毎年、気温や湿度の高い季節になると熱中症による救急搬送者や死亡者が急増します。環境や年齢、体の状態によってリスクの高さは異なるため、原因や症状についての理解を深めて予防対策に活かしましょう。

  • 成田

    監修医師成田 亜希子

    2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
    臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。 国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。 現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。

 

熱中症とはどんな症状?

【医師監修】熱中症の症状とは?

熱中症とは、体温の上昇により体内の水分や塩分(ナトリウムなど)バランスが崩れて体温調節がうまくできなくなり、体内に熱がこもると生じる症状の総称です。気温や湿度の高い環境下で長時間過ごしているときに発症しやすく、屋外だけでなく屋内で運動や作業をしていないときでも発症します。症状が重い場合には、死に至るケースも少なくありません。
熱中症は、原因や症状によって「熱失神」「熱けいれん」「熱疲労」「熱射病」の4つに分類されます。

熱失神

皮膚の血管が拡張して血圧が低下し、脳への血流が減ると、めまいや一時的な失神といった症状があらわれます。炎天下でじっと立っているときや立ち上がったとき、運動をして汗をかいた後に起こりやすいのが特徴です。

熱けいれん

大量に汗をかくと体内から塩分が失われて、血液中の塩分濃度がさらに低下します。すると、こむら返りや手足の筋肉がつるといった痛みをともなう症状があらわれます。

熱疲労

汗をたくさんかいて水分が十分に補給できていない状態になると脱水を引き起こし、熱疲労を生じます。頭痛や吐き気、倦怠感、脱力感といった症状があらわれます。

熱射病

体温が異常に高くなり、40℃以上になることもあります。体温調節機能の低下や脳の機能に異常が見られる、熱中症の中でも重い症状です。ふらつきや不自然な言葉づかい、反応が鈍くなるといった意識障害が見られます。

参照:「職場における熱中症予防対策マニュアル」/厚生労働省
 

熱中症を引き起こす原因

気温や湿度の高い環境下で体を動かして体温が上昇し過ぎた場合、健康な状態であれば自律神経が働き、末梢血管が拡張します。多くの血液が皮膚に流れ込んで体の外へ熱を放出するため、体温が低下するのです。汗が蒸発する際に体の表面から熱が奪われる現象(気化熱)も、体温の上昇を抑える役割を果たしています。
ところが、暑い環境下で長時間過ごしていると、体温調節機能がうまく働かなくなって体の外へ熱を逃せなくなり、体内にこもった熱で体温が上昇してしまいます。急激にたくさん汗をかくと、体から水分と同時に塩分も失われるため、体液のバランスが崩れてしまうのです。その結果、筋肉のこむらがえり、めまい、頭痛、吐き気といった熱中症の症状があらわれます。重症な場合には意識障害やけいれんなどを引き起こすケースもあります。
さらに、年齢や体の状態によって、熱中症のかかりやすさは変わってきます。熱中症の原因となる「環境」や「年齢・体の状態」について詳しく見ていきましょう。

環境による影響

熱中症は、真夏の炎天下で生じるイメージが大きいでしょう。しかし、実は梅雨の合間で急に暑くなったときや、体がまだ暑さに慣れていない時期にも発症しやすくなります。また、日最高気温が30度を超えてくると、熱中症による死亡率が急激に高まります。

次の環境では熱中症にかかりやすいので、注意が必要です。

  • ・ 日差しが強い
  • ・ 気温や湿度が高い
  • ・ 風が弱い・風通しが悪い
  • ・ 部屋を閉め切っている
  • ・ エアコンのない部屋で過ごす
  • ・ 急激な暑さ
  • ・ 真夏の駐車場に停めた車内

上記の環境下で長時間作業をしたり、慣れない運動や激しい筋肉運動をしたり、水分補給を忘れたりすると、熱中症にかかるリスクが高まります。

参照:「熱中症は予防が大事!熱中症警戒アラートを活用して、十分な対策をとりましょう」/政府広報オンライン

年齢や体の状態による影響

年齢や体の状態は、熱中症と深い関係があります。以下の項目に当てはまる場合には、熱中症にかかりやすい状態になるので気をつけましょう。

  • ・ 高齢者や乳幼児で体温がうまく調節できない
  • ・ 運動習慣がない
  • ・ 皮下脂肪が多く、肥満気味で体内に熱がこもりやすい
  • ・ 糖尿病など持病がある
  • ・ 低栄養状態にある
  • ・ 水分が不足している二日酔いや寝不足、病気による体調不良を生じている

体温調節機能が衰えている高齢者や、体温のコントロールがうまくできない乳幼児は体内に熱がこもりやすいので、熱中症のリスクが高まります。とくに高齢者は体温が上がっても自覚しにくく、喉がさほど渇いていなくても水分不足になっている場合があるので要注意です。こまめな水分補給を心がけましょう。
また、小さな子どもは身長が低いため、アスファルトからの照り返しによる熱の影響を受けやすい傾向があります。もしも子どもの顔が赤く、汗を大量にかいていると気づいたら、深部体温はかなり高くなっている可能性があります。涼しい場所で十分に休ませてください。

 

見落としがちな熱中症の初期症状

熱中症は、軽症のうちは体温が高くならないので、気づきにくいのが怖いところ。立ちくらみや筋肉のこむら返り、呼吸や脈が速い、体に力が入らないといった熱がある以外の異変が見られたら、熱中症を疑いましょう。涼しいところへ移動して、体を休めながら様子をみてください。
日本救急医学会(熱中症に関する委員会)では、熱中症の症状を重症度によって3段階に分けています。以下の表を参考に、軽症の段階で早めに応急処置をしましょう。


画像出典:「熱中症になったときにはII」/環境省
 

熱中症予防に活用したい「熱中症警戒アラート」

気象庁と環境省は、熱中症予防対策として「熱中症警戒アラート」を令和3年から実施しています。熱中症のかかりやすさを示す「暑さ指数(WBGT)」が33以上になり、熱中症のリスクが極めて高いと予想された際に、国民が予防行動をとれるように前日の午後5時頃と当日の朝5時に対象都道府県等に対して発表されます。
熱中症警戒アラートが発表された日は、外出を控えたり、室内で過ごすときはエアコンを使用したりと、いつも以上に積極的に熱中症予防をしましょう。

出典:「熱中症は予防が大事!熱中症警戒アラートを活用して、十分な対策をとりましょう」/内閣府大臣官房政府広報室
 
熱中症を予防して猛暑を乗り切ろう!

熱中症は、日頃からのちょっとした心がけで未然に防げます。以下を参考に、熱中症予防に活かしてください。

・暑い環境を避ける
外出時は日傘や帽子を使い、なるべく日陰を歩きましょう。室内では扇風機やエアコンで温度や湿度を調節してください。遮光カーテンやすだれの設置も効果的です。

・体に熱をためない服装を選ぶ
通気性が良く、吸湿性や速乾性の高い服装を選びましょう。麻や綿素材の服、接触冷感機能を備えたインナーを活用するのも良いでしょう。

・こまめに水分補給する
喉の渇きを感じなくても、こまめに水分補給をしましょう。麦茶ならミネラルを一緒に摂取できます。状況に応じて、熱中症予防に役立つ経口補水液も活用しましょう。

・暑さに対応できる体をつくる
暑さに負けないように体をつくっておくと、熱中症予防に役立ちます。日頃からウォーキングやランニングなどの運動で汗をかきましょう。

熱中症は短時間で症状が進行します。あっという間に重症化して命に関わってしまう場合があるため、しっかり対策をして、蒸し暑い夏を元気に乗り切りましょう!

 
監修医師からのアドバイス

熱中症は真夏の暑いだけではなく、気温や湿度が高くなれば季節を問わず発症する危険があります。放っておくと、重症化して命の危険もあるため注意が必要です。

熱中症を予防するには、熱中症になりにくい環境を整えるのが第一に大切です。気温や湿度、熱中症警戒アラートなどをチェックし、暑い日は日中の屋外での活動を控えるといった対策が求められます。また、暑い季節は服装や室内の温度などに注意してできるだけ体温を上げないような工夫も重要となります。

とはいえ、暑い日でも外出しなければならないときもあるでしょう。そんなときに熱中症にならないよう、本格的に暑くなる前から適切な対策が必要です。
私たちの体は暑さに慣れる性質があるため、まだ涼しい時期から適度な運動をする習慣を身につけましょう。そうすることで、汗をかきやすくなり、熱中症になるリスクを減らすことができます。
その他にも、体を効率よく冷やすグッズ、汗と共に失われた電解質を効率よく補うドリンクなどを活用して健やかな夏を過ごしましょう。

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