管理栄養士ライター広田千尋
病院、保育園、保健センターなどで13年間勤務。生活習慣病の方への栄養相談や、高齢者への栄養サポート、また赤ちゃんや子どもの食事相談など、幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在は経験を活かし、フリーランスとして活動中。わかりやすく実践しやすいコラム執筆や、身近な材料で簡単に作れるレシピ作成を得意としている。
温活によい食べ物や飲み物にはどのようなものがあるのでしょうか?冬だけでなく、夏の冷えに悩む方も多いはずです。温活には「生姜」「ノンカフェインの飲み物」を思い浮かべるかもしれませんが、ほかのものについても知っておきましょう。
また市販の食べ物や飲み物で工夫するコツや、外食やコンビニ食が多くても温活できるポイントについても紹介するため、ぜひ最後までチェックしてみてください。
温活とは、体を温めて冷えの対策をすることです。冷えはさまざまな不調を招くことが知られているため、温活の健康への働きが注目されています。
冷えといえば冬の悩みでしたが、最近では冷房の使用により、夏の冷えも悩みのタネとなっています。夏に体が冷えると自律神経の乱れにつながる場合があり、夏バテを起こしかねないため、しっかりと対策したいものです。
とくに女性は、男性より筋肉量が少なく、筋肉により生み出される熱の量が少ないため、冷えやすいといわれています。またデスクワークの方は、血の巡りをよくするふくらはぎの筋肉を使う機会が減るため、血流が滞りやすく冷えの原因になる場合もあります。
1年を通して温活を行い、毎日を元気に過ごせるように対策してみましょう。
温活のひとつとして、体を温める食べ物を取り入れる方法があります。温活のおすすめの食べ物には、具体的にどのようなものがあるのか見てみましょう。
昔から冷えの対策として取り入れられている生姜は、温活の代表的な食べ物といえます。生姜は加熱により「ショウガオール」が増える食べ物と知られているため、温活には加熱した生姜がおすすめです。夏でも温かいメニューを取り入れてみましょう。
チューブタイプを使っても問題ありませんが、ショウガオールは生姜の皮に近いところに含まれているため、できれば生の生姜をすりおろした方が、温活としては期待できます。生姜をたっぷり入れたスープや鍋などのメニューはもちろん、温かいお料理やお惣菜に生姜を「ちょい足し」するのも手軽です。
唐辛子は辛み成分であるカプサイシンを含むため、温活にぴったりです。唐辛子を使ったピリ辛のお料理や、唐辛子が材料となるコチュジャンや豆板醤を使ったお料理でもOKです。またお料理に唐辛子をかけて食べたり、キムチを取り入れたりするのもよいでしょう。
ただし、唐辛子を使いすぎると、胃腸の負担になる場合があります。「何にでもかけて食べる」「たくさん食べる」という使い方は控え、適度な量を心がけるようにしましょう。
中国の伝統医学に基づいた「薬膳」では、食べ物の性質に「寒性・涼性・平性・温性・熱性」があるといわれています。
温活をしたい場合は「温性」「熱性」の食べ物を取り入れてみてください。煮物やスープなどの温かいお料理にすると、体を温めてくれる機能がさらに期待できるでしょう。
生姜、ニンニク、ねぎ、玉ねぎ、かぼちゃ、くるみ、シナモン、唐辛子、こしょうなど
次に、温活におすすめの飲み物を紹介します。どれも手軽に用意でき、仕事や家事の合間に飲めるのもうれしいポイントです。ぜひ試してみてください。
生姜を使った温かい生姜湯は、体を内側からぽかぽかと温めてくれます。生姜に熱が加わることで、ショウガオールをたっぷり摂れるのもうれしいポイントです。夏でも冷房の効いた室内なら、温かい状態で飲むようにしてみましょう。
市販の生姜湯でもOKですが、簡単に手作りもできます。すりおろした生姜を小さじ1ほど、はちみつ小さじ2、お湯150mlを混ぜ合わせれば完成です。お好みで生姜の量を増やしてみるのもよいでしょう。
温かいココアも、温活に取り入れたい飲み物です。ココアに含まれる、ポリフェノールの一種であるテオブロミンは、冷え対策への機能が報告されています。
市販のミルクココアもよいのですが、無糖のピュアココアを使うとお好みの甘さや濃さに調節しやすいでしょう。ココアにすりおろした生姜を小さじ1ほど加えて、生姜ココアにすると、さらに効果を期待できます。
冷え対策にはノンカフェインの飲み物を中心に水分補給をするのがおすすめです。カフェインの摂りすぎにより、自律神経の乱れにつながることがあり、冷えの原因となる場合があります。カフェインが含まれない、麦茶、コーン茶、ルイボスティーを温活に取り入れるとよいでしょう。
しかし、カフェインを含むコーヒーや紅茶は絶対にNGではなく、適量であれば問題ありません。1日コップ1~2杯、多くても3杯程度にしておくと、カフェインの摂りすぎの心配を減らせるでしょう。
参照:「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」/厚生労働省
茶葉を発酵させて作られるプーアール茶(黒茶)は、中国で古くから冷え対策として親しまれている飲み物です。
プーアール茶にはティーパックや茶葉がありますが、発酵による独特の風味があり、日本人にとってあまりなじみのない味かもしれません。麦茶や烏龍茶などのほかのお茶や、ハーブとブレンドしたものは飲みやすく感じる場合もあるため、そのようなものを取り入れるのもよいでしょう。
温活を行うときに避けたい食べ物や飲み物についても知っておきましょう。
コーヒーにはカフェインが含まれるため、飲みすぎはNGです。ほかの飲み物よりカフェイン量が多いため、たくさん飲むとカフェインの過剰摂取につながることがあります。
コーヒーが好きでたくさん飲みたい方は、カフェインをできるかぎり除去した、カフェインレスコーヒーを楽しむのもよいでしょう。
冷えが気になるときに注意したいのが、冷たすぎる飲み物です。体を内側から冷やしてしまうことがあるため、なるべく避けましょう。
夏でもなるべく常温の飲み物をとるようにして、体を冷やさないように対策してみてください。
夏が旬の食べ物は、薬膳において「寒性」「涼性」に分類されるものがあります。冷たい状態で食べるものも多いため、冷えがつらいときは避けるのも方法です。
もし食べる場合は、加熱調理して温かい状態で食べるようにしましょう。
トマト、きゅうり、なす、にがうり、冬瓜、すいか、マンゴーなど
外食やコンビニ食、市販のお惣菜や弁当が多い方でも温活をするなら、次のポイントを実践してみましょう。
とくに夏は冷たいメニューを選んでしまうかもしれませんが、体を冷やしてしまうため、温活を意識するなら温かいメニューを選択しましょう。また生姜チューブや一味唐辛子を用意しておき、お惣菜や弁当にプラスするなど工夫もできます。
何も意識しないまま、外食やコンビニ食が続いて食事のバランスが乱れてしまうのは、温活的には避けたいところです。体に必要な栄養素が不足して、体を冷やしやすくなってしまうケースも考えられます。バランスのよい食事を心がけてみましょう。
体を温めてさまざまなメリットを期待したいなら、食べ物や飲み物を工夫する温活を行ってみましょう。またひざ掛けやカーディガンを使用して冷えやすい手足を温めるようにすることや、適度な運動により血流を促すことも温活には大切です。ぜひ温活を行って、1年中元気に過ごせるようにしましょう。
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