監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
喉のイガイガや乾燥には、喉にうれしい成分入りの飲み物が味方になってくれます。とはいえ、炎症が起こっている喉に優しい成分や喉を潤すための成分などあり、どのような飲み物を選べばよいか迷ってしまうでしょう。
喉が痛いときにおすすめの飲み物と避けたい飲み物を知っておくのは、乾燥しやすいこれからのシーズンに重要です。「咳とガラガラ声を悪化させたくない」「喉の乾燥対策・保湿ケアできる飲み物を知りたい」という方は注目してみてください。
喉によいとされる飲み物には、大きく分けて次の3つのポイントがあります。
喉のイガイガやひどい乾燥によって、飲み物が刺激になるときは、喉に優しい成分を含む飲み物でケアしてみてはいかがでしょうか。
以下では、喉によい代表的な飲み物を3つご紹介します。
喉によいといわれるのが、大根おろしや生姜を使った飲み物です。大根には、わさびにも含まれる辛み成分であるイソチオシアネートが含まれています。イソチオシアネートは、抗菌作用に期待される成分で、健康的な喉を維持するのに役立つでしょう。特に大根おろしにすると多く生成される成分であるため、摂り方も工夫してみてください。
また、体に良いとされる生姜には、殺菌作用や抗炎症作用を持つジンゲロールが含まれています。体を温めて血行を良くする効果も期待できるため、喉の炎症や乾燥が気になるときにおすすめの成分です。
緑茶や紅茶など、お茶類も喉によいとされる飲み物です。喉のケアに効果的といわれる緑茶はポリフェノールの一種であるカテキンを、また紅茶にはテアフラビンを含んでいます。カテキンには、喉にうれしい殺菌作用があるといわれているため要チェックです。
一方、紅茶に含まれるテアフラビンにも、殺菌作用が期待されています。ただし、ミルクを入れると作用を妨げる恐れがあることも報告されているため、気になる方はストレートもしくはレモンティーにして飲むと良いでしょう。
喉に効くとされる飲み物のなかでも、取り入れやすいのが野菜ジュースです。野菜ジュースはビタミン類を含み、とくにニンジンには粘膜の健康を保つビタミンAが入っています。
また、果物入りの野菜ジュースを選ぶなら、梨やりんごを含む商品を選んでみてください。梨やリンゴには、抗炎症作用があるとされている食物繊維を多く含んでいます。乾燥して喉が痛むときには食物繊維を多く含む飲み物もおすすめです。。ただし、オレンジなどの柑橘類は、喉に刺激となり得る成分を含むため、注意しましょう。
喉の不調といっても、不調の現れ方は一つではありません。乾燥やタバコの煙、細菌・ウイルスなど原因が複数あるように、不調によって適切とされている飲み物も異なります。飲み物が喉に直接的な作用をもたらすとはいえませんが、ツラい喉を優しくつつんでくれるでしょう。
以下では、喉に違和感があるときに摂りたい、飲み物のレシピをご紹介します。
喉がイガイガするときは、生姜を使ったジンジャーティーをおともにしてみてください。生姜には、殺菌作用や抗炎症作用を持つ成分が含まれているだけでなく、身体をあたためるはたらきにも期待できます。せっかくなので紅茶はホットでつくって、ポカポカとあたたまりましょう。
まずは、通常通り紅茶をつくってみてください。紅茶ができたあとは、生姜を適量入れましょう。チューブタイプの生姜をつかえばより簡単です。生姜のピリッとした刺激が苦手なら、口当たりマイルドなはちみつやりんごをお好みで加えてみてください。
喉の乾燥が気になるときは、はちみつとレモンを使ってホットはちみつレモンをつくってみましょう。はちみつは口当たりまろやかで、殺菌作用や保湿効果があるとされています。喉粘膜の健康を守りつつ、潤いを与えたいときの乾燥対策におすすめです。
レンジ対応のマグカップを用意し、はちみつとレモンを入れてください。レモンは絞り汁・スライスどちらでも構いません。さらに水を加え、しっかりあたたまりたいなら、生姜チューブも適量加えましょう。材料がすべて入ったら、混ぜて電子レンジであたためます。十分にあたたまったら、中身を再度混ぜるとホットはちみつレモンの完成です。
ただし、レモンは酸味が強いため喉の刺激になる場合があります。刺激を感じるときは、レモン汁やレモンスライスは少なめにしましょう。
喉が痛いときは、大根おろしとりんごをブレンドしたジュースに注目してみてはいかがでしょうか。大根は抗菌作用を持つとされる成分を含み、りんごは保湿効果に期待できる成分を含んでいます。喉の乾燥による空咳が気になるときにも、取り入れてみましょう。
ジュースをつくるには、ミキサーを使用します。大根とりんご、水を入れてミキサーにかけましょう。お好みで、はちみつやレモンを入れて味を整えてみてください。
ちなみに、大根に含まれる抗菌成分であるイソチオシアネートは、熱に弱い性質があります。大根おろし入りの飲み物をつくるときは、ホットにせずアイスにしましょう。
喉によい飲み物がある一方、イガイガ・乾燥を悪化させてしまう飲み物もあります。咳や痛み、ガラガラ声に良いと思って飲んでも、刺激を与えるのであれば本末転倒です。
以下では、喉の不調時に避けたい飲み物を3つお伝えします。
喉のイガイガや乾燥、炎症が気になるときは、炭酸飲料を避けましょう。炭酸飲料は冷たい状態で飲むのが一般的で、冷たい飲み物は喉を通過すると一時的に血行を悪化させる可能性があります。さらに、しゅわしゅわとした喉越しは、痛い喉にさらなる刺激となるかもしれません。咳や喉の痛みがある方はできるだけ選ばないようにしましょう。
カフェイン入りのコーヒーやココア、エナジードリンクなどは、喉が乾燥しているときは避けたい飲み物です。カフェインには利尿作用があるといわれ、身体の水分を奪ってしまう原因になります。喉を保湿したいけれど、ツラい喉に優しい成分を含む紅茶や緑茶を飲みたい方は、ノンカフェインタイプを選ぶか、回復するまでは量に気を付けながら飲みましょう。
アルコール類も、炭酸飲料と並んで避けた方が良い飲み物といえます。冷たさと喉越しは、炎症が起きている喉に刺激となるでしょう。さらに、カフェインと同じく利尿作用があるため、喉の乾燥に悩む方も要注意です。
また、度数の高いお酒は、喉の粘膜を傷つける原因にもなり得ます。喉の痛みやイガイガ感を悪化させたくないなら、回復するまで飲酒を控えるのをおすすめします。
乾燥やイガイガ感の気になる喉には、殺菌・抗菌作用のある成分入りの飲み物がおすすめです。大根おろし・生姜入りのドリンクや紅茶、野菜ジュースなど、好みのテイストから選んでみてください。
とくに喉のイガイガには、ジンジャーティーがおすすめです。喉の乾燥やガラガラ感が目立つときは、保湿効果を持つとされるはちみつ入りのホットレモンを手作りしてみてください。大根おろしにりんごを加えたジュースをつくれば、ビタミン類を摂取できて健康維持にも役立つでしょう。
喉に効くといわれる飲み物は複数ある一方、炭酸飲料やカフェイン飲料、アルコール類は症状の悪化につながるかもしれません。喉に刺激を与える飲み物は避け、喉に優しい成分の入った、喉越しもマイルドな飲み物を選びましょう。
空気が乾燥しやすい秋や冬はのどの粘膜も乾燥して痛みやイガイガ感、空咳などの引き起こす原因となります。放っておくと粘膜に炎症が生じるケースも少なくありません。
また、喉の粘膜には線毛と呼ばれる細かい毛が密生しています。線毛は、外部から侵入した細菌やウイルスなどの病原体、ホコリ、花粉などをキャッチして体の外に追い出す働きがあります。
線毛は潤った状態で良く働き、乾燥すると働きが鈍くなるのが特徴です。その結果、感染症にかかりやすくなる場合があります。
喉の乾燥やイガイガ感を感じたときは、軽く考えずにまずはセルフケアをしてみましょう。今回ご紹介した喉に優しい飲み物を試してみるのも一つの方法です。
ただし、喉の痛みや咳が続くときはセルフケアだけでは治らない可能性があります。できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。
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