監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
喉がイガイガしてつらいときは、ウイルスや喉の使いすぎなどいくつかの原因が考えられます。まずは乾燥対策が必須。空気が乾燥する時期は、のど飴やマスクなど、すぐに始められる対策をしていきましょう。また、実際に症状が出てしまったら、喉を休めながらのど飴を舐めたりうがいをしたりするなど、喉をいたわりましょう。
喉が痛んだり、イガイガするときの原因はいくつか考えられます。大きく分けると、【1】ウイルスや細菌などの病原体が原因の場合と、【2】物理的に喉に負担がかかって起こる場合があります。細かくかんがえられる原因について紹介しましょう。
喉は空気と一緒にウイルスや細菌などの病原体が侵入しやすい場所です。喉に病原体が感染してイガイガしたり痛みを感じたりしやすくなります。いわゆる「風邪」です。
乾燥や寒さ、熱さによって喉に違和感が生じる場合もあります。喉の粘膜は乾燥すると防御機能が低下して、ウイルスや細菌に感染しやすくなります。口呼吸も喉が乾燥しやすくなる要因の一つ。乾燥によって喉に違和感が起きている人は、鼻呼吸を意識するようにしましょう。また、熱い食べ物や飲み物を摂取すると、喉の粘膜にダメージが生じてしまい、違和感をおぼえる場合もあります。
大声を出したり、長時間にわたって話し続けたりと、普段以上に声を使うと、喉が刺激されて炎症を引き起こします。このケースは喉の酷使が原因なので、できるだけ声を出さないようにするのが喉の違和感を解消する一番の近道です。
ハウスダストや花粉が喉を刺激してしまい、違和感が生じるケースもあるでしょう。ホコリアレルギーやダニアレルギーがある人、花粉症の人は、これらが原因となる場合も。また、タバコの煙が刺激となって喉に違和感をおぼえる場合もあります。
飲酒が喉の痛みや違和感の原因になるケースもあります。飲酒をすると体内ではアルコール分解が行われ、その際に大量の水が必要となるのです。細胞から水分が奪われていき、結果として喉が乾燥してしまい、炎症が生じて違和感をおぼえるようになるのです。また、アルコール濃度が高いお酒をそのまま飲んだ場合は、アルコールが刺激となり直接喉の粘膜を傷つけ、痛みを引き起こすケースも。
逆流性食道炎は、胃酸が逆流してしまい、食道に炎症を起こす病気です。重症な場合には逆流した胃酸が食道を通って喉の周囲にまで上がってくるケースもあります。このような場合には胃酸で喉の粘膜がダメージを受けることで、喉に違和感が生じます。逆流性食道炎では、喉の違和感とともに、胸やけも感じられるのが見分けるポイントです。
できるだけ、喉のイガイガや不快感が現れる前に防ぎたいところです。イガイガや乾燥から喉を守る以下のポイントを押さえておきましょう。
まずは普段の生活の中で喉を傷めやすい行為や習慣の見直しが大切です。例えば、会話で長時間声を出し続ける、カラオケでずっと歌いっぱなし…といった行為は喉によくありません。
他にも、飲酒や喫煙、刺激の強い食べ物を好んで食べるといった生活習慣は喉に負担をかける可能性があります。日常生活を見直し、これらの行為はなるべく避けるよう心がけましょう。
うがいは、喉を潤す効果があるだけでなく、ほこりなどの異物を洗い流してくれる効果も期待できます。冬季の空気が乾燥する季節はとくに外出したらうがいをするようにしましょう。水での基本的なうがいをする他に、うがい薬やお茶を取り入れるのもおすすめです。
口呼吸は、唾液を蒸発させます。すると口の中が乾いて喉も乾燥してしまい、風邪などの感染症にかかりやすくなります。口呼吸の自覚がある人はなるべく鼻呼吸を心がけ、なかなか改善しない場合は耳鼻科や歯科医院などで相談してみましょう。
喉のイガイガや違和感を防ぐには、乾燥対策が必須。室内の空気が乾燥しないように、加湿器などで湿度40~60%を保てるようにするとよいでしょう。外出時はマスクを着用し、水分補給も忘れずに。
新型コロナウイルス感染症が流行して以来、手洗いやアルコール消毒は私たちの生活習慣に組み込まれるようになり、習慣になっている人は多いことでしょう。ウイルスや細菌などの病原体が付いた手指をそのままにしておくと口や鼻を触ったときにウイルスを取り込んでしまう可能性もあるので、こまめに手洗いや手指の消毒は行いたいところ。花粉が原因で喉に違和感が生じている場合は、家に入る前に付着した花粉を払うのも、対策の一つとなるでしょう。
免疫機能が維持できていれば、ウイルスや細菌などが喉に侵入しても排除されやすくなります。栄養バランスのよい食事をとり、適度な運動と十分な睡眠を確保する、ストレスを溜めないなど、規則正しい生活が送れるように心がけるのも大切です。
実際に喉がイガイガしてしまったときは、どのように対処すればよいのでしょうか。自分でできる対処法を紹介します。
喉がイガイガしたときは、のど飴やトローチで喉を潤すのがおすすめです。のど飴を舐めると唾液が分泌され、口の中の乾燥を防げます。仕事などで喉飴が舐められない場合は、休憩時間などにのどスプレーを利用するのもよいでしょう。
うがいは喉の乾燥対策に役立ちます違和感の原因となるほこりなどを洗い流せる場合もあります。喉がイガイガしているときはもちろん、外出先から帰ってきた際なども、うがいのタイミングとしてよいでしょう。
喉の違和感が、アレルギー症状だと考えられる場合もあります。ハウスダストやダニなど、住空間によって引き起こされるアレルギーもあるので、心当たりがあれば徹底的に部屋の掃除をしてみるのもよいでしょう。特定の食べ物にアレルギーがある場合もあるので、心当たりのある人は、アレルギー検査を行ってみるのも有効です。
喉がイガイガしたり、違和感を感じたりしていると、いつも通りの食事をするのが難しい場合もあります。そんなときには、何を食べればよいか迷うでしょう。
抗菌作用や殺菌作用があるはちみつやネギはもちろん、飲むとスーッとするカモミールティーやミントティーは、喉がイガイガしている場合でも喉に負担をかけません。おかゆなどの柔らかくて喉越しのよい食べものは、喉が痛い際の食事に適しています。
喉に違和感がある場合注意したい食べ物として、香辛料などの刺激物は喉の状態を悪化させる可能性もあるので、避けましょう。
乾燥や喉の使いすぎにより引き起こされる喉の違和感はつらいもの。喉がイガイガしやすい人は、空気が乾燥している時期などは予防に力を入れましょう。喉の違和感が生じたら、無理せずのど飴をゆっくり舐めたり、うがいをおこなうなど対処していきましょう。
喉のイガイガ感は、ウイルスや細菌などの病原体の感染、喉への物理的な刺激が原因となります。喉の違和感をおぼえたときは今回ご紹介した適切な対策を行いましょう.ただし、セルフケアをしても違和感が改善しない場合は注意が必要です。
喉の違和感は喉頭がんや咽頭がんといった喉の病気のほか、甲状腺や神経系の病気によって引き起こされることがあります。病気によって引き起こされる喉の違和感はセルフケアだけでは改善しません。病気によっては早急な治療が必要な場合もありますので、違和感が続くときは耳鼻科などに受診しましょう。
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