監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
コロナ禍のいま「朝起きたら喉の調子が悪い」「喉がイガイガする」とちょっとした体調の違和感をおぼえるだけで心配になってしまう人は多いでしょう。喉の違和感はウイルスが原因とは限りません。部屋の湿度低下や身体の水分不足による乾燥が原因の場合もあります。喉を乾燥から守って快適に眠るために、寝るときの対策方法から手軽にできるセルフケアの方法までご紹介します。
寝る前までは調子がよかったのに朝起きたら喉がイガイガして痛い、そんな異変を感じたら寝ている間の水分不足や部屋の乾燥が原因かもしれません。
喉の痛みやイガイガの原因はおもに3つあります。日頃の生活スタイルを振り返りながらチェックしてみましょう。
夏の蒸し暑い日や冬の寒い時期に一日中エアコンをつけていませんか?エアコンを長時間つけていると、喉が乾燥しやすくなります。とくに冬場は、湿度が低下して部屋の空気が乾燥するため、注意が必要です。
理想的な室内の湿度は40~60%だといわれています。部屋の湿度は普段あまり意識しないかもしれませんが、最適な適切な湿度を保てるように湿度計でこまめに確認しましょう。
寝ているときに鼻ではなく口で呼吸をしていると、常に口の中に空気が通って喉が乾燥しやすくなります。口を開けて寝ているかどうかは、次の6つの項目でチェックしてみましょう。
口呼吸チェックリストの中で、当てはまる項目が一つでもあれば口呼吸をしている可能性があります。
就寝中はコップ1杯分程度(約200ml)の汗をかくといわれています。思ったよりも多くの汗をかくため、意識して水分を摂取しないと気づかないうちに水分不足になってしまうのです。寝る前や朝起きたときにコップ1杯程度の水分をとって、喉の乾燥を防ぎましょう。
喉の粘膜には線毛(せんもう)と呼ばれる極めて小さな毛のような組織がたくさんあり、ウイルスや細菌から身体を守っています。ところが、線毛は乾燥に弱いため、就寝中に喉が乾燥すると線毛のバリア機能が低下して喉を守れなくなります。喉が乾燥して少し痛みを感じても、あまり気にせずに過ごしがちですが、そのまま放っておくと風邪やインフルエンザにかかりやすくなるため早めにケアしましょう。
寝ている間に喉を乾燥から守るには、大きく分けて「部屋の湿度を上げる」方法と「セルフケアで喉を潤す」方法の2通りあります。
部屋の乾燥で夜中に咳が出て目を覚ましてしまった経験はありませんか?快適に眠れる室内環境をつくるために、部屋を効果的に加湿する方法を3つご紹介します。
加湿器は部屋の乾燥対策に役立つ代表的なアイテムです。加湿器の大きさや種類によって性能は異なりますが、効率的に部屋の湿度を上げられます。湿度は40~60%が快適とされています。加湿し過ぎると寝具に湿気がこもりカビの原因にもなるため、湿度計でチェックして部屋の湿度を調整しましょう。
洗濯物を部屋干しすると、濡れた洗濯物から蒸発する水分で部屋を加湿できます。ただし、時間の経過とともに雑菌が繁殖して、臭いの発生する場合があるため、気になる際は濡れたタオルを顔の近くに1枚だけ干して加湿しましょう。
加湿器の使用や洗濯物の室内干しよりも、より手軽に部屋の乾燥対策をしたい場合には、お風呂の湯気を利用しましょう。お湯を沸かした後に浴室の蓋とドアを開けておけば、湯気が他の部屋まで流れて湿度が一気に上がります。
お風呂の湯気を利用する方法は、加湿器をすべての部屋に置く必要がないうえに短時間で加湿できますが、湿度の高い空気が1カ所に溜まるとカビを発生しやすくなります。扇風機やサーキュレーターを併用して空気が循環するようにしましょう。
喉を乾燥から守るために、自分で手軽にできる対策方法を4つご紹介します。
寝るときに喉を乾燥させないためにマスクを着用するのは効果的です。自分の息でマスクの中の湿度が上がり、喉が潤った状態になります。就寝時に適したマスクは、以下の2種類です。
● 綿やシルク素材のマスク
天然素材のマスクは保湿性や吸水性に優れています。肌触りがやわらかいため、肌の弱い人でも安心して就寝時に使用できます。
● 保湿マスク
保湿性能を高めたマスクです。水分をたっぷり含んだフィルターをマスクに挟むタイプや、温かい蒸気で喉を潤すタイプ、繰り返し使える保湿素材タイプがあります。
マスクにはいくつか種類があるため、喉の潤い具合や呼吸のしやすさ、肌触りに注目して、自分に合うマスクを選ぶとよいでしょう。
うがいには喉に付着した菌やウイルスを洗い流すだけでなく、粘液の分泌や血行を高める効果があり、口の中が湿るため乾燥を予防できます。うがいをしても喉がイガイガするときには、のどの保湿効果が期待できるうがい薬を活用してみるのもおすすめです。
就寝中は大量の汗が出て、水分が失われるため、寝る前にコップ1杯の水分をとりましょう。あらかじめ水分補給をしておけば、寝ている間の乾燥を防げます。ただし、水分をとり過ぎるとトイレが近くなるので気をつけましょう。水分をとる際は、体を冷やさないように常温の水や白湯を飲むのも大事なポイントです。
喉が乾燥したら真っ先にのど飴をなめる方は多いでしょう。喉の潤いを持続させるのど飴は、配合されているハーブや生薬によってはスッキリとした清涼感も味わえます。一方、トローチは口の中で噛まずにゆっくり溶かして使用すると喉の不快感や痛みを鎮める効果があります。喉が乾燥し、上記の症状があらわれたときに備えて、常備しておくと便利です。
喉の乾燥を防ぐには、部屋の湿度を40~60%に保つ必要があります。部屋の湿度が低下している場合には「加湿器を使う」「濡れた洗濯物を干す」「お風呂の湯気を利用する」といった方法が有効です。より予防効果を高めるために、セルフケアとして「マスクをつける」「寝る前にコップ1杯の水を飲む」「のど飴をなめる」といった方法も取り入れましょう。乾燥対策をしても喉に不快感や痛みを感じる場合には、「うがい薬やトローチ」を試してみてください。喉の不調は健康のバロメーターです。寝るときの潤い不足に気をつけて、本格的に風邪を引かないように日頃からしっかり乾燥対策をして過ごしましょう。
乾燥は、のどの痛みや咳などの症状を引き起こします。また、のどや鼻の粘膜が乾燥すると私たちを病原体から守ってくれる線毛という組織の働きが悪くなるため、風邪をひきやすくなります。これからの季節、特にのどの乾燥は体調管理の大敵です。のどの乾燥が気になる方は今回ご紹介した対策法をぜひ試してみてください。
また、上記以外にものどの乾燥は唾液の分泌不足によって引き起こされることがあります。唾液の量が減る原因はさまざまありますが、よく見られるのはストレスによるものです。ストレスが高まると交感神経が刺激されることで唾液の分泌量が減ります。ゆっくり休む、十分な睡眠時間を確保する、といったストレスへの対策も行いましょう。
唾液が少ない方は、唾液腺マッサージもおすすめです。唾液腺は、耳の下、顎の下などにあります。指でゆっくり円を描くように押しながら刺激すると唾液分泌が促されますので、ぜひ試してみてください。
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