フィットネス・健康ライター渡邉 輝
米国公認パーソナルトレーナー資格保有の「理系フィットネス・健康ライター」。
「健康は人生を豊かにする」をモットーとしており、健康の大切さを世の中に発信するためにライターとして活動中。実体験・研究論文(英語含む)・書籍から得た情報を参考に、日々記事を執筆している。ベンチプレスなどの重さを競う「パワーリフティング」の選手としても活躍中。
代謝を上げると「体脂肪が落ちやすくなる」理由は、体のエネルギー源である「糖質」や「脂質」などの消費量が増えるからです。代謝の大きさは筋肉量によって変化するため、筋肉を増やす「運動」は体脂肪を落とすのに効果的な方法です。
ただ、運動方法や負荷の強さ、頻度の設定を間違えると、体を痛めてしまい運動どころではなくなってしまうでしょう。正しい運動や生活習慣を知って、代謝量を上げましょう。
代謝とは「私たち人間が生命を維持するために必要なエネルギー」です。代謝は以下3つに分類されます。
参考:厚生労働省「身体活動とエネルギー代謝」
代謝量は性別や年齢、除脂肪体重で変化しますが、運動習慣がない成人女性(30代)で約1,700カロリー、成人男性(30代)で約2,300カロリーといわれています。
代謝が上がるとエネルギー代謝の効率も良くなるため、消費するエネルギーが増えていきます。食事から摂取した栄養素はもちろん、内臓脂肪・中性脂肪もエネルギー源として利用されやすくなり、脂肪が燃焼しやすい体に変化するのです。
代謝を上げて健康的な体になるためには、定期的な運動が必要です。代謝量は運動強度や時間、筋肉量で決まります。よく運動する人は多くのエネルギーを必要としており、体内の脂肪を利用する機会が多いため、健康的な体を維持できるのです。
運動不足で筋肉量が落ちてくると、代謝も下がります。エネルギー代謝の効率が悪くなると、食事から摂取した栄養素や体内の脂肪がエネルギー源として使われづらくなります。
1日の総摂取カロリーの上限も下がり、食事から摂取した栄養素がそのまま脂肪として体につきやすくなるのです。代謝量を上げて健康的な体になるためにも、今から運動習慣を取り入れてみましょう。
代謝を上げるためには定期的に運動したいところですが、運動の順番や頻度に気を付けなければいけません。代謝を上げるためのポイントを確認してから、あなたの年齢・生活習慣に合った運動を取り入れましょう。
代謝量は運動強度や筋肉量に依存するため、筋トレ(筋力トレーニング)をメインにすると、効率的に代謝を上げられます。筋トレや短距離走が該当する「無酸素運動」は有酸素運動と比べて、時間あたりのエネルギー消費量が高く効率的です。
筋トレで筋肉量が増えると、体温が高くなり代謝量もアップするため、体内のエネルギーが消費されやすくなります。
大きな筋肉ほどエネルギー代謝量が大きくなるため、優先的に鍛えると効率的に代謝を上げられます。大きな筋肉は下半身に集中しているため、スクワットなど下半身を鍛えるメニューを中心に組むと効果的です。
参考:荒川 裕志 石井 直方「筋肉の使い方・鍛え方パーフェクト事典」
筋肉量を増やすために筋トレを頑張るのは良いですが、頑張り過ぎて体を痛めないようにしましょう。筋トレで筋肉に負荷を加えると、筋繊維が損傷します。筋肉は時間とともに徐々に回復しつつ、負荷を加える前よりも大きくなります。
しかし、筋繊維が損傷した状態で筋トレをしてしまうと、過度なダメージで関節や筋肉を痛めてしまうのです。筋トレを行ったあとは、最低でも2日空けて体を休めましょう。
ジョギングなどの「有酸素運動」は筋トレのあとに行いましょう。私たち人間の主なエネルギー源は「糖質」と「脂質」です。運動の強度にもよりますが、エネルギー源として「糖質」が優先的に消費されます。
有酸素運動を先に実施してしまうと「糖質」が消費されてしまい、体から無酸素運動を行うときのエネルギー源がなくなるのです。逆に筋トレで「糖質」を減らした状態で有酸素運動を行うと、優先的に脂肪をエネルギー源として使用するため、体脂肪率が減少しやすくなります。
有酸素運動は軽い負荷から始めましょう。ジョギングやランニングは気軽に始めやすく、最初はつい張り切って距離や運動時間を長くしがちですが、負荷に耐え切れずやめてしまうパターンが多いです。
もちろん高負荷だとエネルギー消費量も上がりますが、「数十分歩く」だけでも十分な効果が期待できます。あなたが継続しやすい負荷から有酸素運動を行いましょう。
代謝を上げるために筋肉量を増やす運動も取り入れましょう。今回はお腹とお尻の筋肉を集中的に鍛えるエクササイズを紹介します。
運動習慣のない方でも、1セット完走できるような構成なので、代謝を上げたい方は実施してみましょう。
1回の動画運動量の目安(※体重60kgのひとの場合)
活動強度:3.8METs / 運動時間:4分 / 消費カロリー:16.0kcal
今回紹介するエクササイズは、お腹とお尻の筋肉を1分間交互に鍛える構成です。トレーニングの習慣がない方でも、完走できる運動ボリュームとなっています。
左右の筋肉を集中して鍛えるトレーニングが続くので、お腹とお尻の筋肉に意識を向けられるのも特徴です。
お腹を鍛えるトレーニングはつらくなると、体のバランスが崩れて、負荷が逃げてしまいます。肩と肘で床を押す意識をもち、体勢をキープしましょう。
お尻を鍛えるトレーニングは、足を上げすぎると、お尻以外の筋肉も使ってしまいます。斜め45度付近まで上げる意識で、動作を繰り返しましょう。
トレーニング強度に慣れると、筋肉の成長も緩やかになります。筋肉を絶えず成長させるためにも、セット数や時間を増やして強度を上げましょう。
肘と足だけで体を支えたり、足を上げる回数を増やしたりすると、筋肉への負荷が上がり効果的です。
代謝を上げるためには運動だけでなく、生活習慣にも気を使う必要があります。運動と並行して行い、効率的に代謝を上げていきましょう。
代謝量を上げるために運動だけ意識して、栄養補給をおろそかにしていると体が不調になってしまいます。運動と並行して以下の栄養素を意識して摂取すると、疲労回復やエネルギー代謝アップにつながり、体の不調がよくなるでしょう。
参考:文部科学省「食品データベース」
お風呂に入るのも「代謝を上げる」方法として有効です。入浴で体を温めると血行が良くなり、運動で固まった筋肉をほぐしてくれます。また、血液の循環が良くなると、成長ホルモンや筋肉の元となる「アミノ酸」を送りやすくなり、筋肉が成長しやすくなるのです。
ただし、お湯の温度が熱すぎると、筋肉を分解するホルモン「コルチゾール」の分泌量が増えてしまいます。全身浴の場合「38度で25~30分」、半身浴の場合「40度で30分」を基準にして、入浴しましょう。
筋トレで鍛えた筋肉を効率的に大きくするためにも、質の良い睡眠をとりましょう。睡眠不足の状態が続くと、「コルチゾール」の分泌量が増えてしまい、筋肉を分解しやすくなります。また、睡眠時間をしっかり確保したとしても、浅い眠り(レム睡眠)の時間が長いと、筋肉を大きくする「成長ホルモン」の分泌量はなかなか増えません。 就寝前にスマホやPCの画面を見たり、カフェイン飲料を摂取すると眠りが浅くなります。質の良い睡眠を確保するためにも、就寝前は体をリラックスさせましょう。
ストレッチは、運動前の準備運動や運動後のクールダウンのために行います。ストレッチをすると、筋肉や関節の可動域が広がるので、怪我の予防、疲労回復につながるのです。
さらに血流がよくなると、体温が高くなり代謝も上がります。特に、運動後は筋肉が凝り固まっている状態なので、積極的にストレッチを行いましょう。
運動習慣を身につけるとエネルギー代謝量が上がり、脂肪がつきづらい健康な体になります。また、日常的に運動をしている人は生活習慣病のリスクが低く、メンタルヘルスや生活の質(QOL:Quality Of Life)にも影響を与えるといわれています。
心身ともに健康的な体になるためにも、運動を始めてみましょう。
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