監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
トローチはドーナツ状の飴のような形状ですが、口の中でなめて徐々に溶かし、口やのどの細菌を殺したり増殖を防いだりする目的で使用します。細菌やウイルスの侵入を防ぐには、体の入口であるのどや口をケアして正常な状態をキープするのが効果的です。
トローチに含まれる代表的な有効成分について紹介し、正しい使い方を解説します。自分の症状に合った製品を選び、用法・用量を守って効果的に使用し、健康に役立てましょう。
のどの痛みや不快感には、細菌やウイルスの侵入を防ぎながらケアして正常な状態をキープしていく必要があります。
トローチを「喉の調子が悪いときに使う錠剤」として、薬局やコンビニエンスストアで購入し、使用した経験のある方も多いのでは?
トローチは薬品を一定の形状に固め、口内で徐々に溶解または崩壊させて、のど・口の中の諸症状の改善が期待できる製剤です。トローチはのど・口の中のさまざまなトラブルに用いられます。
トローチの主な効果を挙げてみましょう。
1960年代半ばに日本初のトローチが登場しました。すでに80年近い歴史をもち、昔から馴染みのある薬剤です。
はじめは丸型や円盤の形だった製剤でした。ですが、誤って飲みこんだ場合、のどに引っかかってしまっても窒息しないように、真ん中に穴が空いた形にしたのだそう。トローチの名前は、その形からギリシア語の「trochos(車輪)」が語源とも言われています。
トローチは、病気の治療または予防に使用され、医薬品もしくは指定医薬部外品に分類されています。
トローチは、時間をかけて口の中で溶けながら効果を発揮するよう設計されています。すぐなくならないよう普通の錠剤より大き目に作られ、ゆっくり溶けるよう硬く作られているのです。
また、使用感はやさしく、子どもから高齢者まで使いやすい薬剤なのも特徴と言えるでしょう。
のど飴の定義は、医学的には定まっていません。
食品に該当するのど飴をはじめ非常に幅広く分類され、広く考えると「トローチはのど飴の一種」とも考えられます。
トローチの使い方には、飲み込んではいけないなど、いくつかの注意点があります。
トローチは内服ではなく、炎症部分に「成分を行き渡らせる」イメージで使います。だからかみ砕いたり飲み込んだりせず、口の中で舐めてゆっくり溶かして使用するのです。
また、トローチを舐めた後は、口内やのどに成分が長くとどまるよう、すぐに水を飲んだり食事をしない方が効果が持続します。使用後は30分程度、飲食を控えましょう。
トローチの対象年齢は幅広く指定されているケースが多いのですが、例外もあるため、薬品のパッケージはしっかり確認を。用法・用量を守って使いましょう。
現在は、幅広く多様なトローチが販売されています。病院からの処方だけでなく、ドラッグストアやコンビニエンスストアでも手に入る商品もあるでしょう。
簡単に入手可能で種類が多いため、どの製品を選ぶか悩む方は多いかもしれません。
入手方法や、代表的な成分について紹介します。
指定医薬部外品のトローチは、コンビニで売っており、簡単に入手できます。
ドラッグストアでは、医薬品に分類されるトローチも購入可能で、多様な製品が売られています。細かな症状に合わせて入手できるのは嬉しい点でしょう。
できるだけ自分のいまの状態にあわせてほしい場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
トローチによく使われている成分がどのような役割があるか紹介します。パッケージをよく読んで確認しましょう。
消毒殺菌作用のある成分で、トローチによく使用されており、「CPC」と表示される場合もあります。殺菌により細菌の増殖をおさえて炎症を悪化させない効果、口臭を除く効果が期待されます。
のどなどの炎症を抑える効果が期待される生薬のひとつ。
多くの漢方薬に使われているため、漢方薬を別途飲んでいる方は摂りすぎに注意が必要な成分です。
カナダやアメリカ原産の生薬のひとつで、のどを潤し、不快感をやわらげる効果が期待されます。
トローチは幅広い年齢で使用でき、喉に違和感や不快感をおぼえたとき、体の入口であるのどや口を気軽にケアするのに、うってつけの薬です。
病院での診察・処方なしでも現在ではコンビニやドラッグストアで手に入る商品が増えているため、「のどのイガイガ」を感じたら、すぐにケアできるのも魅力的。
手に入りやすいぶん、消費期限に気を付けながら家に常備しておくのもおすすめです。
トローチはドラッグストアやコンビニなどで気軽に手に入る薬剤です。抗炎症作用や殺菌作用のある成分が含まれているものも多く、口やのどの状態を正常にキープする効果が期待できます。
口内炎があるときやのどの違和感があるときは、トローチを使用すると症状が改善する可能性があるでしょう。また、感染症が流行している時期に予防目的で使用するのもおすすめです。口の中がさっぱりする効果もあるため、リフレッシュしたいときにもよいでしょう。
トローチの効果を十分に発揮するには、今回ご紹介した使用上の注意点をよく守ることが大切です。
また、トローチを使用しても症状が続くときはセルフケアだけでは改善しない場合があります。3~5日程度使用しても症状が改善しない場合は医療機関を受診してください。
トローチには殺菌成分が含まれているものもありますが、口やのどに侵入した細菌、ウイルスを完全に除去できるわけではありません。感染症が流行している時期は、トローチだけで予防するのは不可能です。トローチを使用するのも感染対策にはなりますが、手洗いや消毒などの基本的な感染対策も忘れずにしてください。
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