マッサージでなぜ疲労回復?血のめぐりがよくなるのがカギ
「マッサージが疲労回復に効果的」といわれる理由は、もみほぐしによって筋肉をゆるめてやわらかくし、血行の改善を図れるためです。血中には運動時に発生した疲労物質や老廃物が流れており、血流がよくなると、両者を素早く押し流せます。
マッサージによって筋肉をほぐし血流がよくなり、疲労物質を体内にとどまりにくくし、いち早い疲労回復をうながすきっかけになるのです。
血流だけじゃない!マッサージは“静の流れ”のリンパも促す
マッサージは血液だけでなく、リンパの流れを促進させ、疲労回復にも期待できます。
リンパとは、血管と同様に身体じゅうにある管(リンパ管)や、リンパ管を流れる液(リンパ液)を指します。リンパ液が溜まりやすいのが、リンパ管が集まってできたリンパ節です。リンパ節は主に首や鎖骨周辺、鼠径部などに存在します。リンパのはたらきは、細菌やウイルスをとらえて戦ったり、毛細血管からにじみ出た余分な水分や老廃物をキャッチします。
「かぜをひくと、首元のリンパが腫れる」「長時間座っていると、足がむくむ」といった現象は、リンパの流れが滞っているケースも多いのです。リンパは血液と違って、外部からの刺激がない静の状態では流れません。運動、もしくはマッサージによる筋肉の刺激によって、リンパのスムーズな流れが確保され、疲労回復につながっていくのです。
マッサージの力加減は“ほどほど”“痛気持ちいい”が目安
マッサージで疲労回復を目指すときは、強すぎない力加減を意識してください。「少し痛い気がするけれど、気持ちいいほうが勝つ」といった感覚が目安です。あまりに痛すぎるマッサージは、筋肉組織を傷つけ、炎症をまねいてしまうおそれがあります。
とくに、筋肉の張りやコリが慢性化している方ほど、マッサージが効いていないと感じやすく、より強い力加減を求めがちです。
しかし、こわばった筋肉に負荷をかけすぎると、疲労回復どころか、関節異常につながってしまう可能性も否めません。力加減に加え、時間もほどほどに、やさしいマッサージを心がけましょう。
マッサージは疲労回復の一助!一緒に取り入れたい生活習慣
マッサージは筋肉をもみほぐし、血行やリンパの流れを改善してくれます。ですが、あくまで疲労回復のための一助です。慢性化した疲労感をすべて取り去るのは、マッサージだけでは難しいでしょう。疲労をスッキリと解消し、疲れにくい身体をつくるためには、マッサージ前後の行動もカギに。根本から疲労回復を目指すために「入浴・運動・睡眠」についてもチェックしてみましょう。
マッサージ後のぬるま湯入浴で、こわばった筋肉をゆるめる
筋肉をやわらかくするには、マッサージと入浴による合わせ技が有効です。
運動後であればクールダウンも兼ねて、ぬるめのお湯にじっくり浸かってみてください。筋肉がほぐれてやわらかくなり、マッサージしやすい状態をつくってくれます。香りのよいアロマや入浴剤などを入れると、こころの緊張からくるこわばりもゆっくりと解いてくれるでしょう。
また、入浴は疲労回復をうながす睡眠にも深く関係しています。よりよい睡眠を得たいなら、少なくとも就寝前の30分までには入浴を済ませてください。正しい入浴による体温変化が、眠りやすく中途覚醒しにくいよう、導いてくれます。
姿勢の悪い人へ!運動で身体を支える筋力をつける
マッサージだけに頼らず、筋トレやストレッチなどの運動を習慣化するのも大切です。しかし、運動をし、単に筋肉量を増やせば、疲れにくい身体になるわけではありません。
たとえば、ふくらはぎを常日頃から動かす陸上の選手が、疲労に悩んでいないとはいえません。激しすぎる運動は逆に疲れてしまうイメージもありますが、適度な運動は姿勢の改善につなげられます。
「気付けば背中が丸まっている…」そんな方は、正しい姿勢をキープするだけの筋力が不足している傾向にあります。姿勢が悪く疲労を感じやすいなら、背中や腰まわりにアプローチする運動とマッサージを平行して行ってみましょう。
また、第二の心臓といわれるふくらはぎを能動的に動かすトレーニングは、むくみなどの血行不良からくる疲労回復や、入浴と同じく質のよい睡眠にもつながります。
睡眠環境を整え、朝食をきっちりとる
質のよい睡眠は、疲労回復の基本ともいえる部分です。しかし、成人に達する日本人の標準的な睡眠時間は、6~8時間未満(※)といったデータが出ています。
日本人の睡眠時間は諸外国と比較しても短いと言われていますが、厚生労働省が打ち出しているのは「時間にこだわらず、日中の眠気に困らない程度の睡眠の確保」です。自分に合った睡眠スタイルを探し当て、中途覚醒しない環境づくりは疲労回復への近道といえるでしょう。
睡眠の質を高めるためには、朝食をきちんととるのも大切です。朝食をとると朝パッチリと目覚めやすくなります。朝食を抜く頻度と、睡眠と覚醒のリズムの不安定さは比例しているともいわれているのです。睡眠の質を下げないためには、毎日の朝食をきちんととるところから始めてみませんか。
※参照:「健康づくりのための睡眠指標2014/厚生労働省健康局」
疲労回復におすすめのマッサージのやり方
ほどよい力加減が肝の疲労回復マッサージは、いずれも指の腹や手のひらを中心に使って行うのがコツです。刺激が強くなりやすい指先はなるべく封印しましょう。
また、マッサージは心臓から遠いところからスタートするのも基本です。末端からはじめると、疲労物質や老廃物を含む血液が心臓にもどるのを効率的にサポートできます。
上記を意識しながら、疲労回復にぴったりのマッサージを2パターンみていきましょう。
太もも&ふくらはぎのむくみ解消セルフマッサージ
長時間のデスクワークや立ち仕事でむくんだ足には、太ももとふくらはぎのマッサージが効果を発揮します。内ももには疲労物質をとらえる太いリンパがとおっており、ふくらはぎは下半身の血液を心臓に押し戻すポンプの役割を果たす“第二の心臓”です。
また、太ももとふくらはぎは下半身の血流をつかさどっています。しっかりマッサージすると、足元の疲労回復につなげられるでしょう。
太もも&ふくらはぎのセルフマッサージの手順とやり方を解説します。
1.膝を軽く立てて座り、ふくらはぎの内側にある骨のキワを、指の腹で足首側から膝側に向けて数か所押す(5秒ずつ)
2.骨のキワから指1本分外のヒラメ筋からアキレス腱の指3本分上にかけてを(1)同様に押す
3.親指でくるぶしの周りをほぐす
4.内ももに肘下の面(小指側)を軽くあてる
5.あてがった腕を膝上から鼠径部に向けて押し流す×3回程度
6.内ももを両手でつかみ、上下にひねるように手を交互に動かす×4回程度
太ももやふくらはぎのリンパを流すときには、マッサージオイルを使うとよりスムーズ。
衣服による摩擦を避けられて、肌をいたわりながらアプローチできます。
エッセンシャルオイル入りのマッサージオイルを使えば、香りにもいやされ、リラックスタイムにぴったりです。
大切な人にやってあげたい首&肩ほぐしマッサージ
自分ではアプローチしにくい首や肩のマッサージは、パートナーや友達、家族など、大切な人にやってあげたい方も多いのでは。
やってあげると相手の手を疲れさせず、こころをおだやかにする“手当て”によるリラックス効果も感じてもらえるでしょう。
また、首や鎖骨には疲労物質を運ぶリンパが通っているため、こわばりのない、やわらかな状態を常に維持するのがベターです。
「大切な誰かにやってあげる」首&肩マッサージの手順とやり方を解説します。
1.横向きに寝てもらい、首の付け根と肩甲骨がはじまる接点をとらえる
2.とらえたポイントに親指の腹をあて、つまむようにほぐす
3.位置を少しずつずらしながら、筋肉が張っている部分を(2)と同様にする
4.肩甲骨の上の角から首にかけてのラインにじんわり圧をかけていく
5.両手を組んだ状態で相手の肩に引っかけるように構え、そのまま自分の身体を後ろに反らして首肩ラインをストレッチ
横向きにしてマッサージすると自分の手も疲れにくく、たとえばテレビを見ながらリラックスムードでマッサージできます。
やってもらう側としても、うつぶせによる息苦しさやメイク崩れの心配も軽減します。お世話になっている人や大切な人に、ぜひやってあげてみてください。
マッサージと生活習慣のタッグで疲労回復を効率化!
疲労回復にマッサージを十分に役立てたいなら、疲労物質や老廃物を運ぶ血液や処理する内臓の状態を整えるための生活習慣も大切です。
いくら血行がよくなっても「血液そのものがドロドロ」「疲労物質を処理する内臓が疲れている」ようであれば台無しといえます。
疲労回復をスムーズに進めるためには、水を多く飲むようにしたり、内臓に負担がかかりやすいジュースなどの清涼飲料水を控えたり…。
マッサージとともに、生活習慣もこの機会にぜひ見直してみましょう。
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