管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
コレステロールを下げるために、食品選びから生活を見つめ直している方も多いのではないでしょうか。コレステロールを下げるには、まず数値が高くなる理由や避けたい食べ物を理解する必要があります。食事は、肉料理を控え、魚や野菜を使ったレシピ選びを意識しましょう。本記事では、上記を解説したうえで、積極的に摂りたい食べ物や食事の工夫点についてご紹介します。また、コンビニや外食が中心の方に向けて管理栄養士によるアドバイスもしているので、ぜひ参考にしてみてください。
LDL(悪玉)コレステロール値が高くなるおもな要因は、食事や生活習慣の乱れです。一方で、生活習慣以外の要因もあるので、チェックしてみましょう。
体内のLDLコレステロールは、2~3割が食べ物から摂り入れられ、7~8割は体内の糖質や脂質を原料に肝臓で合成されます。そのため、糖質や脂質の多い食事は要注意です。
ごはんやパンといった主食や甘いデザート、揚げ物やお肉の食べ過ぎは控えましょう。
運動不足は、LDLコレステロール上昇の原因になります。運動不足に伴う肥満も同様です。
運動は、1日のトータル運動時間30分以上を目安に毎日続けるのが望ましいとされています。1日の合計運動時間が30分未満だったり、頻度が週3日に満たない場合は、運動不足です。少しずつ運動量を増やしましょう。
女性の場合は、更年期を迎える40代以降にLDLコレステロールは上昇する傾向があります。普段、生活習慣や食事に気をつけて適正体重をキープしているのに、数値が高い場合は加齢による体質の変化が一因として考えられるでしょう。
健常者の場合、食事からのコレステロール摂取量は、血液中のコレステロール値に影響しないとされています。しかし、なんらかの影響でコレステロールの調整機能が崩れた場合は、食品からのコレステロール摂取量に影響を受けるので注意が必要です。
LDLコレステロールは、動物性の脂質に多く含まれています。食品を選ぶ際は、動物性の脂質が少ない食品を選ぶとよいでしょう。牛乳やヨーグルトは低脂肪や無脂肪を選ぶとコレステロールを減らせます。
コレステロールを多く含む食品は、以下のとおりです。
参照:「食品成分データベース」/文部科学省
血中のLDLコレステロール値が高くなり過ぎると、血管をつまらせたり、硬くなったりします。体にあらゆる悪影響をおよぼすので、LDLコレステロール値の上がり過ぎには注意しましょう。
脂質は、LDLコレステロールをつくる原料になるとお伝えしましたが、LDLコレステロール値を適正に保つため積極的に摂りたい脂質もあります。魚に含まれる「DHA」や「EPA」は、体によいオメガ3(n-3系)脂肪酸の一種です。
サンマやイワシといった青魚に多く含まれています。ただし、魚卵にはコレステロールが多く含まれているので控えたほうがよいでしょう。
大豆に含まれる「大豆イソフラボン」は、女性ホルモン(エストロゲン)に分子構造が似ており、働きも似ています。40~50代の更年期にあたる女性は、エストロゲンが急激に減少するにともない、LDLコレステロール値は急上昇する傾向があるのです。
大豆製品を積極的に摂取して、大豆イソフラボンを補いましょう。
野菜類やきのこ類は、LDLコレステロールをほとんど含まない食品が多いです。食事全体のLDLコレステロールを少なくするために、動物性食品よりも野菜類やきのこ類をたっぷり食べましょう。
また、野菜類やきのこ類は「食物繊維」を豊富に含む食品が多いです。食物繊維は、体内で消化・吸収されることなく体外に排出されます。栄養素の摂り過ぎを軽減させるために有用です。
海藻類も「食物繊維」を多く含む食品が多いです。また、LDLコレステロールの原料となる糖質や脂質が少ない食品も多くあります。積極的に食べましょう。
オメガ3(n-3)系脂肪酸は、体に有用な脂質ですが、わたしたちの体内で合成できません。オメガ3系脂肪酸は、エゴマ油やアマニ油に豊富です。アマニ油には、LDLコレステロール値を下げる機能を持つ「α-リノレン酸(オメガ3系脂肪酸の一種)」が豊富に含まれています。
LDLコレステロール値が高めの方は、以下に挙げる食生活改善のポイントを押さえて食生活を改善していきましょう。
食物繊維が多い野菜や海藻は食事のはじめに食べましょう(ベジファースト)。野菜や海藻に豊富に含まれる「食物繊維」は、体内で消化・吸収されずに体外へ排出されます。そのため、野菜や海藻をはじめに食べて、糖質や脂質が腸内に到達する前に、食物繊維でクッションをつくるのがおすすめです。
NHKが日本人を対象に行った「食生活に関する世論調査(2016年)」では、「肉を週に3~6日食べる」と答えたのは45%、「肉を毎日食べる」と答えたのは27%でした。一方で、「魚を毎日食べる」と答えたのはわずか16%です。
2000年には肉よりも魚のほうが多く消費されていました。しかし、食生活の欧米化にともない、2014年頃に魚の消費量は減少し、反対に肉の消費量は増加がみられているのです。
肉中心の食卓はコレステロールを上げやすいので、1日1回は魚か大豆製品をメインディッシュにするとよいでしょう。肉と魚の消費量の推移は以下のとおりです。
● 肉:約70g
● 魚:約90g
● 肉:約90g
● 魚:約70g
LDLコレステロールを増やす動物性脂質を減らす工夫をしましょう。具体的には、以下の方法があります。
● 肉類は、湯通し・下茹でをする
● 肉類は、皮なし・赤身といった脂質の少ない部位を選ぶ
● 肉類は、網焼きにして、余分な油を落として調理する
外食やコンビニのメニューには、揚げ物や甘いデザートといったおいしい誘惑がいっぱいです。自分でしっかり知識を持って選ばないと、LDLコレステロール値は上昇するリスクが高まります。外食やコンビニでメニューを選ぶ際は、以下の点に気を付け、食事を上手に選択しましょう。
● サラダやお浸しといった野菜を選んで、食事のはじめに食べる
● 肉は控えて、魚や大豆製品のメインディッシュを選ぶ
● アイスクリームやプリンといった甘いデザートは控えて、カットフルーツ・果物にする
● 菓子パンは控えて、野菜が入ったサンドイッチにする
● 納豆や豆腐・もずく酢を朝食に食べる
● 牛乳やヨーグルトは、低脂肪・無脂肪を選ぶ
LDLコレステロール値が高めの方は、まず自分の食生活を見つめ直しましょう。食生活の乱れだけでなく、運動不足もLDLコレステロール値を上げるリスク要因です。
まとまった運動時間を確保できない方は、「エレベーターを使わないで階段をのぼる」「近所の買い物は、歩いていく」といった工夫をしましょう。少しずつの積み重ねで、1日のトータル運動時間を30分以上にするのが目標です。食事と運動習慣を改善して、健康を目指してください。
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