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【医師監修】LDL(悪玉)コレステロールとは。高い原因は女性特有の理由も?値を下げる生活習慣改善法

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2023/12/22

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)とは、増えすぎると血管の壁にコレステロールを蓄積させ、動脈硬化を促す脂質です。値が高い原因には、脂肪・糖分の多い食事や運動不足のほか、女性ホルモンのバランスが関係しているともいわれています。
140mg/dl以上の基準値を超えると高いとみなされます。しかし、低いほどよいわけでもありません。「高値」と判定された場合に値を下げるためには、正しい生活習慣を意識してみてください。

  • 成田

    監修医師成田 亜希子

    2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
    臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。 国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。 現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。

 

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)とは?

LDLコレステロールとは、悪玉コレステロールとも呼ばれる脂質のひとつです。
コレステロールとはいわゆる"あぶら"で、水に溶けず、有機溶媒に溶ける性質を持っています。コレステロールの中でもLDLコレステロールは、血中で増えすぎると血管に沈着して動脈硬化を促進してしまう働きがあります。一方で、LDLコレステロールは私たちの細胞などを作るのに必要なコレステロールが肝臓で作られたあとに全身に運ぶ役割を担っており、実は一概に悪者とはいえません。

HDL(善玉)コレステロールとの大きな違いは“働き”

脂質であるコレステロールには、『LDLコレステロール』や『HDLコレステロール』があります。
HDLコレステロールは善玉コレステロールともいわれ、血中の余分なコレステロールや血管の壁に沈着したコレステロールを回収して肝臓に戻す働きがあり、健康維持に貢献してくれます。
LDLコレステロールとHDLコレステロールの違いは、働きにあります。増えすぎると血管の壁に沈着してしまうLDLコレステロールに対し、HDLコレステロールは溜まったコレステロールを取り除いてくれるのです。

正常な範囲とは?コレステロール値の読み解き方

LDLコレステロール値が高くなって動脈硬化が促されても、よほど進行しないと自覚症状は現れません。一般的には健康診断などで血液検査を受けて初めて異常値であることに気付きます。また、LDLコレステロールだけでなく、HDLコレステロールを含む総コレステロール値にも留意してください。

<コレステロール値が低いとみなされる基準値>

  • ・LDLコレステロール…140mg/dl以上
  • ・HDLコレステロール…40mg/dl未満
  • ・総コレステロール…220mg/dl以上 ※

上記の範囲外であるからといって、すぐに治療しなければならないわけではありません。健康を保つうえで、ひとつの目安にしましょう。

※参照:「脂質異常症」/厚生労働省
 

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値が高くなる原因

LDLコレステロール値が高い原因には、生活習慣が深く関わっているとされています。
体質や遺伝、喫煙や飲酒も原因のひとつといわれていますが、主な原因として考えられているのが「脂質の多い食事」と「運動不足による肥満」のふたつです。LDLコレステロール値が高くなる原因を、詳しく確認していきましょう。

脂質や糖質を多く摂る食事

LDLコレステロール値を上げる主な原因が、脂肪分の多い食事です。脂質は身体に必要な三大栄養素とはいえ、過剰に摂取すると不調を招くきっかけとなってしまいます。脂質の中でもコレステロールを多く含む食材は適度に組み込み、1日のうちに摂りすぎないよう注意しましょう。
コレステロールを含む食事を控えるとともに、飽和脂肪酸が多い食べ物も摂取しすぎてはいけません。ラードやバター、乳脂肪に含まれるのが飽和脂肪酸で、LDLコレステロール値を上げる働きがあります。
また、脂肪分といえば、マーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸にも要注意です。クッキーやスナック菓子など、市販の洋菓子に入っている傾向にあります。

運動不足や運動量の少なさによる肥満

LDLコレステロールが高い原因として、運動不足もあげられます。運動不足が続くと血液中や血管の壁に付着したLDLコレステロールを回収して肝臓に戻すHDLが減少することが分かっています。その結果、LDLコレステロールが増えるため運動不足には注意が必要なのです。また、1日計30分以上の運動を少なくとも週に3日実施する運動パターンが推奨されている※ため、1週間の半分以上をじっとして過ごす方は運動不足といえます。特に、運動不足による肥満が気になる方も、LDLコレステロール値の上昇には気を配ってみてください。

※参照:「脂質異常症を改善するための運動」/厚生労働省

40代以降の女性注目!ホルモンバランスによる上昇も

意外なところで、女性ホルモンであるエストロゲンの減少も、LDLコレステロール値が高くなる原因になり得ます。エストロゲンは女性の美と健康を保つホルモンとして知られており、エストロゲンの分泌が活発な間は、LDLコレステロールの生成が抑制されています。そのため、エストロゲンが減少するとLDLコレステロールが増えてしまうのです。
女性にとってエストロゲンが減少し始め、更年期にさしかかる年齢はおおよそ40代後半からです。厚生労働省の資料においても、LDLコレステロール値は40代からじわじわと増えはじめる傾向にあると確認されています※。個人差はあるものの、女性は生活習慣に問題がなくても40代になったらLDLコレステロールの値に注意しておいた方がよいでしょう。

※「平成29年 国民健康・栄養調査報告」/厚生労働省
 

高いLDLコレステロール値を下げるための生活習慣改善法

高くなってしまったLDLコレステロール値を下げるためには、原因を改善することが大切です。乱れた食生活と運動不足が上昇を招きやすいため、ふたつを中心に生活習慣を正し、LDLコレステロールの低い状態を目指しましょう。

食生活の改善

食事では、EPA・DHAが豊富な青魚や、食物繊維を多く含む食材をメインで摂ってみてください。また、コレステロールや飽和脂肪酸、トランス脂肪酸を多く含む食事を避けるのも大切です。日頃から多く摂りがちな方は、量を減らすところから始めるのでも構いません。

運動習慣の見直し提案

運動不足の解消は、HDLコレステロール値を上昇させます。その結果、LDLコレステロール値を下げられる可能性があるため、適度な運動習慣を身につけましょう。

監修医師からのアドバイス

いわゆる悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールは高値になると動脈硬化を引き起こし、脳卒中や心筋梗塞など命に関わる重篤な病気の発症リスクを高めるとされています。
LDLコレステロールは高値になっても自覚症状がなく、動脈硬化の進行による合併症を発症して初めて気付くケースも少なくありません。LDLコレステロール値が正常かどうか知るには健康診断などで定期的に血液検査を受ける必要があります。生活習慣に自信がある方もない方も定期的に健康診断を受け、ご自身のからだの状態を知ることも大切です。
また、LDLコレステロール値は遺伝やホルモンバランスの変化が原因で高くなる場合があります。健康診断などで異常値を指摘された場合は自己判断で生活改善を試みるのではなく、第一に医療機関を受診して生活指導や薬物療法など個々の状況に合った治療を受けましょう。