管理栄養士ライター広田千尋
病院、保育園、保健センターなどで13年間勤務。生活習慣病の方への栄養相談や、高齢者への栄養サポート、また赤ちゃんや子どもの食事相談など、幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在は経験を活かし、フリーランスとして活動中。わかりやすく実践しやすいコラム執筆や、身近な材料で簡単に作れるレシピ作成を得意としている。
健康への機能が注目されているMCTオイルですが、使い方や食べ方がわからずにお困りの方もいるのではないでしょうか。またMCTオイルを取り入れる際は、タイミングや適量を知り、上手に活用したいものです。MCTオイルの特徴を踏まえたポイントを管理栄養士が紹介するので、健康づくりに取り入れてみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。最後にはMCTオイルを使ったおすすめ簡単レシピも紹介します。
MCTオイルは、ココナッツやパームフルーツに含まれる植物成分から作られる油です。中鎖脂肪酸のみを主成分としており「中鎖脂肪酸トリアシルグリセリド(Medium Chain Triglycerides)」の頭文字を取ってMCTオイルと呼ばれています。
一般的な植物油との違いや、機能について詳しく見てみましょう。
MCTオイルは一般的な植物油に比べて、消化・吸収がスムーズで、素早くエネルギーとなるのが特徴です。
オリーブ油やキャノーラ油などの植物油は、脂肪酸が長くつながっている「長鎖脂肪酸」が主成分であり、消化・吸収に時間がかかります。MCTオイルは脂肪酸の長さが約半分となるため、長鎖脂肪酸に比べ素早く消化・吸収されるのです。
MCTオイルは手軽に取り入れられて健康によい点も、注目されている理由です。
MCTオイルに含まれる中鎖脂肪酸は脂肪の代謝を高めて素早くエネルギーになることが知られており、BMI高めの方の体脂肪やウエスト周囲径を減らす機能が報告されています。
MCTオイルは味やにおいが少なく、油っぽくなくサラッとしています。ココナッツやパームフルーツが原料ですが、風味がついているわけではなく、無味・無臭に近い味わいです。
MCTオイルは液状ですが、粉末状となるMCTパウダーや、カプセル状となるMCTオイルカプセルもあります。
一般的に手に入りやすく、さまざまなお料理にアレンジしやすいのは、液状のMCTオイルです。スーパーやドラッグストアで手に入り、お料理にかけるだけなので簡単に使えます。
続けて詳しく、食べ方や使い方を紹介しましょう。
MCTオイルは、加熱せずに食べるのが基本です。食べ方について、注意点もあわせて詳しく見てみましょう。
MCTオイルは加熱をしてはいけません。加熱すると、煙が出たり、泡立ちが起こったりしてしまうため危険です。温かいお料理にかけるのは問題ないため、できあがったお料理にかけるようにしましょう。
MCTオイルは、サラダやヨーグルトにかける食べ方がおすすめです。サラッとしているためかけても違和感がなく、おいしく食べられるため、初めて食べる方にもぴったりの食べ方です。
MCTオイルをできあがった味噌汁や煮物に混ぜて食べるのもおすすめできる食べ方です。お料理にコクが出て、食べごたえもアップします。
MCTオイルは飲み物に混ぜる方法もあります。コーヒーや紅茶などの温かい飲み物はもちろん、冷たい牛乳や豆乳に混ぜても、サラッとしていてクセがないため違和感なく飲めます。満足感も得られやすいため、間食としてもおすすめです。
MCTオイルを効果的に使うには、どのような使い方がよいのでしょうか。タイミングと量について解説します。
MCTオイルを摂取するタイミングは、とくに決まった時間はありません。好きなタイミングで問題ありませんが、しいていうなら、朝や間食にとるとよいでしょう。
MCTオイルはエネルギーになりやすいとはいえ、夜は脂肪をため込みやすくなる時間帯のため、なるべくエネルギーの摂りすぎは控えたいもの。朝は脂肪燃焼が高まる時間帯であるため、より効果的な時間帯だといえるでしょう。
MCTオイルの適量についても決まった目安はありませんが、小さじ1/2~1杯程度を目安にとるとよいでしょう。MCTオイルは健康づくりに役立つとはいえ、たくさんとるとエネルギーの摂りすぎにつながる恐れがあります。たくさん食べれば食べるほど効果があるわけではないため、とりすぎには注意してください。小さじ1/2~1杯ほどに収めるようにすると、エネルギーの摂りすぎの心配を減らせるでしょう。
MCTオイルを毎日おいしく食べるために、簡単に作れるレシピを紹介します。朝のあわただしい中でも、時間をかけずに作れる調理法でチョイスしました。
毎日続けやすいヨーグルトと、クセのないMCTオイルの相性はばっちりです。ヨーグルトの乳酸菌が腸内で元気に働くのを助けてくれる、バナナとはちみつを組み合わせています。ぜひ朝に取り入れてみましょう。
【材料】(1人分)
● ヨーグルト 150g
● バナナ 1本
● はちみつ 小さじ1
● MCTオイル 小さじ1/2~1
【作り方】
1.器にヨーグルト、輪切りにしたバナナを入れ、はちみつ、MCTオイルをかけたら完成です。
MCTオイルはドレッシングとして取り入れると、いつものお料理に手軽にプラスできます。普通のドレッシングにMCTオイルを混ぜると脂質の量が増えてしまうため、ノンオイルドレッシングに混ぜるようにしてみましょう。
● レタス、きゅうり、トマトなどお好きな野菜 適量
● ノンオイルドレッシング 大さじ1
● MCTオイル 小さじ1/2~1
1.お好きな野菜を食べやすい大きさに切って器に盛り、ノンオイルドレッシングとMCTオイルを混ぜたものをかけたら完成です。
コーヒーにMCTオイルを入れると、満足感がアップします。豆乳をプラスすると、さらにおいしく満足感を味わえます。朝食や間食におすすめです。また豆乳により鉄やイソフラボンも摂取できるため、健康づくりにぴったりです。
● コーヒー 150ml
● 豆乳 50ml
● MCTオイル 小さじ1/2~1
1.コーヒーと豆乳をあわせ、MCTオイルを加えて混ぜ合わせたら完成です。
MCTオイルは手軽に毎日の食生活に取り入れられ、健康づくりに役立ちます。忙しくて外食が多い人、すぐにとりたい人はカプセル状のタイプを検討してもよいでしょう。
しかし、MCTオイルを取り入れるだけで健康になれるわけではありません。健康づくりには、野菜たっぷりで脂質控えめのバランスのよい食事や、適度な運動も大切です。生活習慣の改善も試みながら、上手に活用するようにしましょう。
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