管理栄養士ライター広田千尋
病院、保育園、保健センターなどで13年間勤務。生活習慣病の方への栄養相談や、高齢者への栄養サポート、また赤ちゃんや子どもの食事相談など、幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在は経験を活かし、フリーランスとして活動中。わかりやすく実践しやすいコラム執筆や、身近な材料で簡単に作れるレシピ作成を得意としている。
風邪をひいたときの食べ物は、うどんやビタミンCを含む食べ物をイメージする方もいるかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか?ひきはじめやのどが痛いとき、こどもが風邪をひいたときなど、症状・シーン別のおすすめの食べ物や、予防に役立つ栄養素について、管理栄養士が紹介します。
またコンビニやスーパーで手軽に手に入る食べ物や、風邪のときにダメな食べ物も知っておきましょう。
風邪をひいたときはどのような食べ物を選んだらよいのでしょうか。症状・シーン別におすすめの食べ物を紹介します。
風邪のひきはじめは、消化能力が低下しがちです。消化にやさしい食べ物を選んで体の負担を減らし、風邪が悪化しないようしっかり栄養補給をしましょう。
調理法は「煮る」「蒸す」といった消化の負担にならない方法がおすすめです。具だくさんの雑炊やうどん、温野菜のサラダやスープを取り入れるとよいでしょう。
消化にやさしい食べ物の例は下記のとおりです。
風邪でのどが痛いときは、のどの痛みによいといわれるものや、飲み込むときにのどを刺激しないものを選びましょう。
また水分不足にならないよう、水分のとれる食べ物を選ぶのもポイントです。
おかゆや雑炊は水分が多く、とろっとして飲み込みやすいため、のどが痛いときにとくによいでしょう。
熱があってつらいときは、無理せず食べられるもの、または熱でエネルギーが消耗されるため、エネルギー補給ができるものを中心に選びましょう。
先ほど紹介した消化にやさしい食べ物の中でも、おかゆやうどんなどの主食と、鶏肉や豆腐などの主菜は、エネルギー源となる栄養素の摂取に役立ちます。具体的には、卵雑炊や卵とじうどんといったメニューがよいでしょう。
またどうしても食べられないときは水分補給をしっかり行い、塩分不足や脱水が心配されるときはスポーツドリンクや経口補水液も上手に活用しましょう。
風邪のときは消化機能が落ちるので、お腹の調子が悪くなる方もいるでしょう。先ほど紹介した消化にやさしい食べ物を中心に選び、消化の負担を減らしましょう。
また熱のうえに、さらに下痢があると脱水が心配なため、しっかりと水分補給をするようにしてください。
鼻水や鼻づまりがひどいときは、おかゆ・うどん・スープといった、飲み込みやすいものや温かい食べ物を選びましょう。温かい食べ物は、鼻や口に湯気があたって温まるため、飲み込みやすくなると感じる方が多いといわれています。
こどもが風邪をひいたときも、基本的に食べ物の選び方は大人と同じです。食欲が低下してしまう場合もあるため、消化にやさしい食べ物の中からこどもが好きな食べ物を選んであげるとよいでしょう。
また脱水にならないように注意して、水分をしっかりと補給し、水分が多く含まれる食べ物を選ぶようにしてください。
風邪をひいたときに栄養バランスを考えるのも大切ですが、風邪のときに慌てて栄養素を摂るのではなく、普段から意識して予防に役立つ栄養素を取り入れることが大切です。
風邪をひかないために、どのような栄養素・食べ物を取り入れるとよいか紹介します。
ビタミンAは免疫力の維持や、粘膜の健康維持に欠かせない栄養素です。不足すると粘膜が乾燥し、感染症にかかりやすくなることが知られています。
レバー・うなぎ・卵黄・バター・にんじん・ほうれん草・かぼちゃ
ビタミンCは免疫細胞の正常な働きを助ける栄養素です。
「風邪にはビタミンC」といわれることがありますが、実はビタミンCが直接風邪予防につながるわけではありません。しかしビタミンCを日常的に取り入れると、風邪をひいたときに症状軽減に役立つ可能性があることが知られています。
ピーマン・ブロッコリー・カリフラワー・キウイフルーツ・柿・オレンジ・レモン
タンパク質が極端に不足した生活が続くと、免疫機能を低下させる恐れがあります。
一般的な食生活では不足の心配が少ない栄養素ですが、食事が偏ったり食事量が少なかったりすると不足する可能性があるため、毎食意識して取り入れましょう。
肉・魚・卵・納豆・チーズ
風邪のときは、自分で食事を準備するのは大変です。コンビニやスーパーで買うなら、どのような食べ物を選ぶとよいのでしょうか。
レトルトのおかゆは、開封してそのまま食べられるため、準備の手間が不要で手軽に栄養補給ができます。中でもタンパク質も一緒に摂れる、卵がゆ・鮭がゆ・雑炊を選ぶとよいでしょう。
消化にやさしくホッとする味わいのうどんは、風邪のときでも食べやすいメニューです。温められるだけで食べられるものを選ぶと、手軽に食べられるでしょう。
注意したいのは、うどんのトッピングです。かき揚げや牛肉、豚肉がのったものは脂質の量が多くなり、消化に負担がかかる恐れも。消化にやさしい卵や鶏肉が使われたうどんや、シンプルなうどんを選ぶようにしましょう。
カップスープや温めるだけで食べられるスープも風邪のときにおすすめです。のどのとおりもよく体がポカポカと温まるため、体にとってもやさしいメニューです。
ポタージュスープ、味噌汁などを選ぶようにし、辛いものやこってりしたものは消化の負担になるため避けるようにしましょう。
豆腐・卵豆腐・茶碗蒸しは、消化にやさしく、タンパク質補給にもぴったりです。のどのとおりもよいため、のどの痛みや鼻づまりが気になるときでも食べやすいでしょう。
ゼリーやヨーグルトはのどのとおりがよく、さっぱりと食べられるため、食欲がないときでも食べやすい食べ物です。水分やビタミンも摂れるため、栄養補給も兼ねられます。
風邪をひいたときは、消化の負担になるものや、刺激になるものは避けるようにしましょう。体に負担をかけて、治りを遅くしてしまったり、お腹を壊したりするといった不調を招くことも。下記の食べ物・飲み物は注意して避けましょう。
風邪をひいたときには、治すためにエネルギーが必要となるため、栄養補給が大切です。他にも、しっかりと睡眠と休養をとり、必要に応じて医療機関を受診するなどの対処を行いましょう。
自炊が難しい、外食や総菜が多い環境の方も、食材に目を向けて工夫してチョイスすれば、より回復を高める献立に。ぜひ記事を参考にしてくださいね。
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