看護師ライター北村由美
看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。
葉酸はビタミンB群のひとつ。赤血球の生成を助ける役割や、赤ちゃんの成長を助ける役割があり、体にとって大切な栄養素です。妊活でとりたい栄養成分として注目されており、サプリメントはドラッグストアや通信販売などで目にした時もあるのではないでしょうか。葉酸を妊活や妊娠中にとりたい理由、摂取するとよい時期や量、サプリメントがおすすめの時期について解説します。葉酸が含まれる食材や調理のポイントもあわせて紹介します。
葉酸は妊活中や妊娠中にとりたい成分として注目されています。栄養成分や、体での役割はどのようであるかみていきましょう。
葉酸はビタミンB群の一つで、ブロッコリーやほうれん草、納豆、レバーなどに多く含まれています。ほうれん草の葉から発見され、ラテン語で「葉」を意味する「folium」をもとに葉酸「folic acid」と呼ばれるようになりました。
葉酸は、ビタミンB12とともに赤血球の形成を助け「造血のビタミン」といわれています。お腹の赤ちゃんの成長を助ける役割ももつ栄養素です。水溶性ビタミンであり、たくさんの量をとっても体に貯めておけず、尿に溶けて体の外に排出される特徴があります。
葉酸は女性だけでなく、すべての人にとって必要な栄養素であり、バランスのよい食事が大切です。
妊活中にとりたい成分として注目される理由は、葉酸がお腹の赤ちゃんの生育に重要な役割を果たすためです。
とくに妊娠初期は、赤ちゃんの脳や脊髄の発達に関わる「神経管」を形成する大事な時期。妊娠初期に葉酸が不足すると、赤ちゃんの先天異常のリスクが高まるとされています。ところが若い女性は、葉酸を含む野菜の摂取量不足が一因で、葉酸が不足しやすいのです。
令和元年の「国民健康・栄養調査結果の概要」によると、1日の野菜摂取量の平均値は20代女性で212.1g、30代女性で232.2gでした。健康日本21(第二次)では、摂取量目標を350gとしているため、目標には届かない状況であり、妊活中から食事やサプリメントでの十分な葉酸摂取が大切なのです。
厚生労働省では、通常の食事に加えて、サプリメントなどからの摂取を推奨しており、「日本人の食事摂取基準」でも示されています。
「妊活中にとるといいのはわかったけど、どのくらい前から?」と疑問に感じた方もいるでしょう。いつから、どの程度の量を摂取するとよいか確認していきます。
葉酸は妊活中から授乳中の摂取がおすすめです。ステージごとの目的をそれぞれお伝えします。
妊娠初期は赤ちゃんの脳や脊髄を形成する時期で、ママの体に十分な葉酸が備わっている状態が望ましいとされています。厚生労働省では、妊娠の1か月以上前からの摂取をすすめています。しかし、一般的にママが妊娠に気づくのは、妊娠5週目頃からです。気づいた時には、赤ちゃんにとってもっとも大事な時期を過ぎている場合が多いのです。そのため妊活中からの摂取が推奨されています。
お腹では赤ちゃんがどんどん成長していきます。赤ちゃんの成長に合わせ、ママは十分な栄養をとる必要があります。葉酸は赤血球をつくる役割があるため、妊娠中期・後期も継続して摂取するようにしましょう。
出産後は母乳を通じて赤ちゃんに栄養が届きます。赤ちゃんにも葉酸を届けるために、十分な摂取が大切です。ママの産後の回復と、育児のための健康を維持するためにたくさんの栄養が必要とされます。とはいえ、出産後は赤ちゃんのお世話でいっぱいになり、自分のケアはおろそかになりがちです。不足しがちな栄養を補うためにも、葉酸の摂取が大切です。
参照:妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針/厚生労働省葉酸は健康維持のために大切な栄養素で、性別や年齢は問いません。妊活中から授乳期にある方は通常よりも多くの量が必要とされます。厚生労働省では推奨量を示しています。
18歳以上の男女では240μgが目安で、一般的な食事をしていれば、葉酸不足の心配はさほどありません。しかし、妊娠初期はお腹の赤ちゃんにたくさんの葉酸が必要となります。妊活中から妊娠初期の期間、普段の食事にプラスして1日400μgをサプリメントで摂取するように推奨しています。
葉酸は食事からの摂取が基本です。葉酸を含む食品や食材をメニューに入れた、バランスのよい食事が大切です。葉酸が含まれる食品や食材、調理法のポイントをみていきましょう。
葉酸は豆類や野菜、レバーなどさまざまな食品に含まれています。いつでも手軽に購入でき、調理した際の含有量が多い食品、そのまま食べられる食品を抜粋しまとめました。
野菜では「緑色」の野菜に多く含まれています。ドライマンゴーやいちごは調理なしで手軽に摂取できるでしょう。納豆は毎日の食卓には欠かせない食品ですね。
動物性ではレバーや卵黄にも葉酸は多く含まれています。ただし、妊活中の人や妊娠初期の人は食べ過ぎに注意しなければなりません。レバーにはビタミンAが含まれていますが、過剰摂取により赤ちゃんの健康リスクが高まる可能性があるためです。
葉酸は水溶性であり、熱に弱い性質があります。生で食べられる食材はそのまま食べましょう。加熱する場合は、油いためや電子レンジ加熱がおすすめです。汁ごと食べられるスープや味噌汁もいいですね。光に弱いため、涼しい日陰に保存し、食材は早く使い切りましょう。
葉酸サプリメントは、妊娠を計画している時から摂取するようにしましょう。食事からとる葉酸と、サプリメントなどの合成型の葉酸では、体での利用率が異なります。食事でとる葉酸の利用率は約50%、一方合成型の葉酸は85%程度です。そのため、十分な葉酸が必要な時期はバランスのよい食事に加え、サプリメントでの摂取がすすめられています。
また妊娠中は、妊娠期の変化により食欲がわかなかったり、食事を受けつけられなくなったりする時があります。不足しがちな栄養を補うためにもサプリメントを活用しましょう。
葉酸はすべての人に必要な栄養素です。妊活中から妊娠初期の方はとくに重要で、厚生労働省ではサプリメントからの摂取を推奨しています。ただし、葉酸はサプリメントを飲めば安心なわけではありません。バランスのよい毎日の食事が基本です。サプリメントにサポートしてもらい、ママになる準備をしていきましょう。出産後も赤ちゃん、ママの健康維持に役立ててくださいね。
各ブランドの商品一覧をご確認いただけます。