管理栄養士ライター広田千尋
病院、保育園、保健センターなどで13年間勤務。生活習慣病の方への栄養相談や、高齢者への栄養サポート、また赤ちゃんや子どもの食事相談など、幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在は経験を活かし、フリーランスとして活動中。わかりやすく実践しやすいコラム執筆や、身近な材料で簡単に作れるレシピ作成を得意としている。
野菜不足を解消するには、どうすればよいのでしょうか?一人暮らしや忙しさ、野菜嫌い、外食やコンビニ食が多いなど、野菜不足になる理由はさまざま。野菜不足は健康を損ねる恐れがあり、しっかり対策したいものです。
今回はスープやサラダといった定番のアイデアのほかに、手軽なアイデアをお伝えするので、何を食べればよいか困っている方は必読です。また野菜ジュースや青汁などの飲み物、サプリについての見解もお伝えします。
一人暮らしの方、忙しい方、食事の準備を面倒に感じる方でも、とにかく簡単にできる、野菜不足解消の7つのアイデアを紹介します。
コンビニやスーパーで手に入るカットサラダは、パックや袋を開ければ簡単に食べられるため、手軽に野菜を増やしたいときに活躍してくれます。とにかく手間をかけたくない方や、忙しい方にぴったりの方法です。
なお「カットサラダは栄養がないのでは」とイメージする方もいるかもしれませんが、それは誤りです。確かに洗浄や加工の際に、ビタミンCやカリウムなどの栄養素は減ってしまいますが、ゼロになるわけではありません。野菜から摂りたいビタミン・ミネラル・食物繊維の補給になるため、ぜひ上手に活用しましょう。
トマト・ミニトマト・きゅうり・レタスといった野菜は「洗う」「切る」「ちぎる」だけで食べられるため、野菜を増やしたい方はぜひ取り入れてみましょう。
生で食べるので、栄養素の損失が少ない点もうれしいポイントです。
冷凍野菜を「ちょい足し」すると、栄養価の高い野菜を手軽に取り入れられます。ほうれん草、ブロッコリー、いんげん、かぼちゃ、オクラなどの冷凍野菜は緑黄色野菜であり、β-カロテンの補給になります。もやしやキャベツなどの色の淡い野菜ばかりでなく、ぜひ取り入れたい野菜です。
たとえば、下記の方法でちょい足しできます。ぜひ取り入れやすい方法を見つけてみてください。
野菜を丸ごと調理する方法は、野菜料理のハードルを下げてくれ、手軽に野菜を取り入れられます。丸ごと調理した後は、塩、ポン酢、ドレッシング、ごま、かつお節をお好みでトッピングすればおいしく食べられます。
野菜を増やしたいときの定番の「作り置き」は、休日に時間がある方におすすめの方法です。まとめて調理して保存しておけば、毎日の調理や買い物の時間を短縮でき、食材のロスも少なくなるため、よいことづくしです。
具だくさんのスープ、炒め物、煮物、和え物など、1回の作り置きの中でいろいろな調理法のメニューを作るようにすると、飽きずに食べられます。
野菜を食べやすい大きさに切ってポリ袋に入れて冷凍しておけば、3週間から1カ月ほど保存できます。切っているので調理するときはそのまま使えるのもうれしいメリットです。
白菜・キャベツ・にんじん・小松菜・ブロッコリー・ピーマン・パプリカ・きのこなど、冷凍できる食材は意外にも多くあります。新鮮なうちに冷凍したほうがおいしさや鮮度をキープできるため、買ってきたらなるべく早く冷凍保存するようにしましょう。
何もやる気が起きないときのために、お惣菜を買いだめしておくのもおすすめの方法です。最近では、パウチタイプの賞味期限の長いお惣菜の種類が増えてきており、買いだめしやすくなりました。
きんぴらごぼうやひじきの煮物など、たくさんのお惣菜があるので、ぜひチェックしてみてください。
野菜の摂取目標量は1日350gとなっています。これは厚生労働省による「健康日本21(第三次)」で示されている目標量です。350gがどのくらいかというと、副菜5皿分(1皿70g程度)が目安となります。
日本人の一般的な食生活では、目標量を満たしていません。平均的な摂取量を見てみましょう。
男性であと60gほど、女性で80gほどが不足している状況で「あと副菜1皿分(70g)」をプラスすると、野菜不足解消に役立つといわれています。
【成人の野菜類摂取量の現状】
コンビニ食や外食が多くても、工夫次第で野菜不足は解消できます。3つのアイデアを紹介するため、できそうなものを探してみてください。
丼・麺・ファストフードの頻度を減らし、定食メニューを選ぶ頻度を増やすようにしてみましょう。定食メニューを選ぶようにすると、付け合わせにキャベツやレタスがついていたり、はじめから煮物やきんぴらといった小鉢がついていたりする場合が多く、意識せずに野菜の量を増やせます。
外食やコンビニでメニューを選ぶときは、野菜が入っているかどうかチェックしてみるようにしましょう。野菜が使われたメニューでも、ちゃんぽん、野菜炒め、幕の内弁当といったものは、野菜をたっぷりとれるメニューです。
丼・麺を食べるときは、野菜トッピングができればぜひするようにしてみましょう。丼であればねぎや大根おろしを追加、麺であればもやしを追加するといった工夫ができます。
サラダや小鉢を1品プラスするのもよいですが、トッピングのほうが気軽にできるため、ぜひ試してみてください。
野菜嫌いな人は、どうしてもほかの人より野菜が不足しがちです。そんな方でも実践しやすい、野菜不足解消のアイデアを紹介します。
「すべての野菜がNG」というわけでなければ、食べられる野菜を積極的に食べるようにしましょう。たくさんの種類を食べられなくても、栄養補給ができていれば問題ありません。食べられる野菜をローテーションして、野菜の量を増やせるようにしてみましょう。
野菜以外でも、きのこや海藻、芋類からも栄養補給ができます。野菜から摂りたい食物繊維は、しいたけや舞茸などのきのこ、わかめやひじきなどの海藻から、ビタミンCやカリウムはさつま芋(皮なし・蒸し)から補給できます。
主食を玄米・雑穀米・オートミールに変えてみると、野菜から摂りたい食物繊維を主食から補給できます。
玄米・雑穀米はまとめて炊いて冷凍保存すると便利ですが、最近ではパックご飯も販売されているため、手軽に取り入れられるようになりました。オートミールは牛乳やヨーグルトをかける、または電子レンジで簡単に調理して食べられるため、朝食にもおすすめです。
野菜と果物で作るスムージーなら、野菜が苦手でも飲める場合があります。バナナやりんごなどの甘みのある果物を使うと飲みやすくなるため、ぜひ試してみてください。
野菜不足を解消したいと思ったときに「野菜ジュース」「青汁」「サプリ」はどうなのか悩む方もいらっしゃるでしょう。どのように付き合うとよいのかを解説します。
野菜ジュースだけで野菜の代わりになるわけではありませんが、補助的な役割で取り入れるのもよいでしょう。野菜ジュースは加工される際にビタミンCやカリウムといった水溶性の栄養素や食物繊維が少なくなる傾向があるため、基本は野菜を食べることが大切です。
しかし、栄養素がゼロになるわけではないため、忙しいときやどうしても野菜をとるのが難しいとき、旅行中などに上手に活用してみてください。
果物が入っているタイプは野菜の生臭さが気になる方にとっては飲みやすいでしょう。ただ、糖質が多くなる傾向があるため、糖質の摂取量が気になる方は、野菜ジュースを選ぶ際は「野菜汁100%タイプ」のものがよいでしょう。
青汁はケールや大麦若葉といった緑の葉物野菜が原料となっており、一般的には粉末状になっています。青汁も野菜ジュースと同様に、水溶性の栄養素や食物繊維が少なくなってしまうため、取り入れる場合は補助的に活用することが大切です。
バランスのよい食事を心がけながら、20~50代にとくに不足しがちな食物繊維やビタミンCの補給に役立てるとよいでしょう。
不足しがちなビタミンやミネラルを手軽に補給できるサプリメントですが、健康を維持するには、食事・運動・休養が大切です。野菜が不足しがちだからといって安易に利用するのではなく、まずは食事で工夫できるところがないか、先ほどのアイデアを参考に探してみるようにしましょう。
サプリメントなどの健康食品を取り入れたい場合は、さらに生活の質を高めるための補助的な役割として、上手に利用しましょう。
野菜不足を解消するには、自分に合った方法を見つけるのが大切です。一時的な方法でなく、長く続けられる習慣を見つけると、より健康づくりに役立ってくれます。野菜不足を解消して、元気な毎日を過ごしましょう。
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