「粉吹き」とはどんな状態?肌が乾燥する理由とは
皮膚のもっとも外側にある角層では、角質細胞がレンガ状に積み重なっています。細胞間脂質(セラミド)が角質細胞の隙間を埋めて肌のバリア機能をつくり、外部からの乾燥・紫外線・細菌などの侵入を防いでいるのです。ところが、細胞間脂質や水分が減って肌が乾燥状態になると、表皮の角層細胞がはがれやすい状態に。こすれやひっかきなどの摩擦や空気の乾燥の影響などを受けて角質細胞がめくれあがると、白く粉を吹いているように見えてしまうのです。
肌のターンオーバーの乱れや角層肥厚が原因
肌の細胞が新しく入れ替わるターンオーバーの周期は、20代で約28日、30代で約40日、40代で約55日、50代で約75日、60代で約90~100日といわれています。しかし、年齢や不規則な生活習慣によるホルモンバランスの乱れ、外的刺激などが原因でターンオーバーが乱れると、古くなった角質細胞が自然にはがれ落ちずに表皮に残って蓄積されます。すると、細胞間脂質などの保湿成分がつくられにくくなってしまうのです。
摩擦や紫外線によってより「粉吹き肌」が加速
肌は摩擦や紫外線といった外的刺激を受けると、肌が厚くなってゴワゴワとした「角質肥厚」を引き起こしやすくなります。角質肥厚になると角層が乾燥しやすくなるので、粉吹き肌になってしまう場合があります。
肌が乾燥しやすい箇所はどこ?粉吹きを放置すると肌はどうなる?
粉吹き肌をそのまま放置すると、肌の乾燥が進んで、かゆみを生じる場合があります。とくに、顔では頬や口元、体ではスネや太もも、背中、脇腹はかゆくなりやすい部分です。無意識のうちに肌を引っかいてしまい、肌が傷ついて湿疹や水ぶくれといった状態を引き起こさないように、早めのケアが大事です。
また、肌のターンオーバーが乱れてバリア機能が低下すると、外的刺激に対する抵抗力が弱くなります。保湿をしても、紫外線やハウスダストなどの刺激で、かゆみや赤み、肌荒れといった症状を引き起こしてしまう可能性があります。
粉吹きやすい顔はどうやって予防する?改善方法とは
顔が白い粉吹き状態にならないようにするには、「角質層に潤いを与える」「ターンオーバーを整える」の2つが重要です。
肌にやさしい方法で洗顔する
洗顔料をしっかり泡立てない、熱いお湯を使っている、ゴシゴシ強めにこすっている、といった方法で洗顔していると、角質が傷ついてしまいます。洗顔料は、泡立てネットを用いるか、手でしっかり泡立て、泡で顔を包み込むようにやさしく洗いましょう。38~40度のぬるま湯で、すすぎ残しがないように丁寧に洗い流してください。シャワーで顔を洗うとしっかり汚れを落とせる気がするかもしれませんが、強い水流を直接顔にあてると角質層にダメージを与える可能性があるので控えましょう。
スキンケアで角質層を潤す
角質層の水分や細胞間脂質が不足すると、角質がめくれやすくなり、粉吹き顔になってしまいます。そのため、スキンケアで肌の角質層をしっかり潤す必要があります。
肌から水分が奪われやすい洗顔後や入浴後は、なるべく早めに保湿ケアをしましょう。化粧水で角質層までしっかり潤し、乳液やクリームで油分を補います。化粧水は、手のひらでやさしく押さえるようにすると、浸透しやすくなります。
また、気温が低い冬や、暖房・冷房を多く使う時期は肌が乾燥しやすいので、念入りに保湿ケアをしてください。部屋が乾燥しているときは、加湿も忘れずに。
ターンオーバーを整える
生活習慣や外部からの刺激で、ターンオーバーは乱れやすくなります。
以下の項目に思い当たる点はありませんか?思い当たる点があったら、肌を健やかに保つために生活を改善しましょう。
<ターンオーバーが乱れやすくなる生活要因>
- ・ 睡眠不足
- ・ 栄養バランスが偏っている
- ・ ストレスが多い
- ・ 疲労がたまっている
- ・ 冷え性
- ・ 部屋の乾燥や紫外線など、外からの刺激が多い
ターンオーバーを整える食材を摂る
肌のターンオーバーが整うように、必要な栄養素が含まれている食材をしっかり摂って、よい状態を保ちましょう。
タンパク質
肌細胞の主成分となる栄養素です。鶏ささみ・イワシ・きな粉・パルメザンチーズ・大豆に多く含まれています。
ビタミンA
肌の粘膜を健康に保つ働きをします。鶏・豚レバーやうなぎ、焼きのりに多く含まれています。
ビタミンB2
皮膚の粘膜を保護して健康な状態を保ち、ターンオーバーをサポートします。うなぎ・豚レバー・納豆・アーモンド・焼きのりなどに含まれています。
ビタミンB6
皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。赤身肉・牛レバー・マグロ・カツオ・にんにく・いりごまなどに多く含まれています。
ビタミンC
コラーゲン生成を助ける栄養素です。ブロッコリー・アセロラ・キウイフルーツ・レモン・いちごなどに含まれています。
ビタミンE
肌の再生をサポートします。アーモンド・落花生・かぼちゃ・オリーブオイル・アボカド・うなぎなどに含まれています。
カルシウム
ターンオーバーが正常に働くようにサポートします。乳製品・骨ごと食べられる小魚・小松菜・モロヘイヤ・干しエビ・焼き豆腐などに含まれています。
体のあちこちが粉吹き状態に…どうすればいい?
粉を吹くのは顔だけではありません。腕や脚、背中など全身に生じる場合があります。顔をケアするのと同様に、体を洗う際はタオルでゴシゴシ洗ったり熱いお湯で流したりするのはNGです。お風呂上がりには体の水分をやさしく拭き取り、全身をしっかり化粧水で保湿して、乳液やクリームで水分の蒸発を防ぎましょう。とくに乾燥が気になる部分には、お手入れの最後に保湿力の高いワセリンを塗りましょう。
医薬品・医薬部外品もうまく活用しよう
洗顔や入浴方法を改善してしっかり保湿をしても、肌のバリア機能が低下して保湿力が弱まっている状態では、乾燥がすぐに治らない場合があります。乾燥が進みすぎると、かゆみが出てくるので、市販の医薬品・医薬部外品を使ってみましょう。次の成分が配合されているかを確認して選んでみてください。
<市販薬で確認したい成分>
- ・ ジフェンヒドラミン塩酸塩:かゆみを鎮める
- ・ グリチルレチン酸:炎症を鎮める
- ・ 尿素:皮膚をしっとりなめらかにする
クリームタイプは肌にしっとりなじみやすく、乳液タイプはすーっと伸びるので背中などの広範囲に最適です。15歳以上の方は尿素20%タイプを、お子様に塗布するときは尿素10%タイプを選びましょう。それでも症状が辛いときや症状が悪化したときは、速やかに皮膚科を受診してください。
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