管理栄養士ライター広田千尋
病院、保育園、保健センターなどで13年間勤務。生活習慣病の方への栄養相談や、高齢者への栄養サポート、また赤ちゃんや子どもの食事相談など、幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在は経験を活かし、フリーランスとして活動中。わかりやすく実践しやすいコラム執筆や、身近な材料で簡単に作れるレシピ作成を得意としている。
一日分の食物繊維を摂るには、どのようなメニューにするとよいのでしょうか?野菜不足が気になる方に向けて、食物繊維を摂れる献立例をもとに、詳しく解説します。また食物繊維を何グラム摂ればよいのか摂取量の目安についてや、水溶性・不溶性の違いについても知っておきましょう。外食やコンビニ食が多い方に向けたポイントも紹介するので、食物繊維不足の解消にぜひ役立ててみてください。
食物繊維は人の消化酵素で消化できないものを指し、体によい働きをするため「第6の栄養素」といわれることもあります。不足により健康に悪影響を与えたり、肥満を招いたりする恐れがあるため、不足せずに摂りたい成分です。
また食物繊維は水に溶けやすい「水溶性」と、水に溶けにくい「不溶性」があり、それぞれに健康によい働きがあります。
・水溶性食物繊維:糖の吸収を穏やかにする、脂質の吸収を妨げる
・不溶性食物繊維:水分を吸収して便の材料になる
しかし、一日の目標量は区別せずに「食物繊維総量」として、水溶性と不溶性をあわせたものが目標とされています。
18歳以上の男性は20~21g以上、女性は17~18g以上が目安です。
一日にとりたい野菜の目標量は350gとされています。これは食物繊維はもちろん、カリウムやビタミンなどを十分に摂取するために必要な量と考えられています。野菜350g分とは、小鉢で5皿分ほどの量です。
ただし、食物繊維の補給源は野菜だけではありません。米や小麦といった主食や、果物、大豆製品にも含まれています。
野菜を積極的に取り入れ、ほかの食べ物もまんべんなくとるようにすると、食物繊維不足を解消できるでしょう。
効率よく食物繊維を摂るために、知っておきたいコツを紹介します。
野菜は加熱して食べるようにしましょう。野菜は加熱するとカサが減るため、生で食べるよりたっぷり食べられます。炒め物、スープ、煮物といった加熱したお料理を選ぶようにしてみましょう。また作り置きしておくと、食べたいときにすぐに食べられて便利です。
野菜やきのこ、海藻、大豆製品の中でも、とくに食物繊維が含まれるものを選ぶようにすると、効率的に摂取できます。どのような食べ物に含まれるのか、下記を参考にして選ぶようにしてみましょう
オクラ・ごぼう・ブロッコリー・しいたけ・えのきたけ・まいたけ・ひじき・めかぶ・大豆水煮・納豆・きな粉など
主食の食物繊維を強化できるように工夫してみましょう。毎食のように食物繊維をたっぷり摂れるので、食物繊維不足の解消に役立ちます。
たとえば、下記の方法で手軽に食物繊維を増やせます。
先ほど紹介したポイントを実際の食生活に活かすには、どのようにするとよいのでしょうか。具体的なメニューをあげて、食物繊維を強化できる改善ポイントを紹介します。
朝食は簡単に済ませる方もいらっしゃるかもしれませんが、一日の3分の1の栄養補給をするチャンスです。食物繊維をしっかり補給できるよう工夫してみましょう。
主食を変える、副菜や果物を追加するようにすると、食物繊維を強化できます。
昼食は麺や丼といった、手軽にとれるメニューを選ぶ方も多いのではないでしょうか。主食系のメニューは野菜の量が少なくなり、食物繊維も少なくなる傾向があるため注意が必要です。
食物繊維を補給できるメニューにするか、1品プラスするようにしてみましょう。
夕食は一日の中で、もっともボリュームのある食事となる傾向があります。肉や魚などのおかずばかりに偏らないようにし、食物繊維を補給できる食べ物を積極的に取り入れるようにしてみましょう。
主食を変える、野菜をとれるおかずにするようにすると、食物繊維をしっかり補給できます。
3食の食事だけでなく、間食でも食物繊維をプラスできます。ナッツ、果物、ドライフルーツ、干し芋、オートミールを取り入れるようにするとよいでしょう。また豆乳は牛乳に比べて食物繊維の量が多いため、牛乳の代わりに取り入れるのもおすすめです。
外食やコンビニ食が多くても、工夫次第で食物繊維はしっかり補給できます。どのような点を工夫できるのか、例を紹介します。
野菜を使ったメニューを選んだり、野菜メニューを追加したりするようにしてみましょう。
たとえば、ラーメンよりちゃんぽん、唐揚げ定食より肉野菜炒め定食、といった選び方です。または、サラダやきんぴらなどをプラスする方法でも野菜の量を増やせます。
主食を選べる場合は、玄米や雑穀米といった主食に変えてみるようにしましょう。またサンドイッチも、普通の食パンではなく、全粒粉パンを使ったものにすることでも食物繊維の量を増やせます。
食事の工夫をしてみても、どうしても野菜をとりづらいときは、野菜ジュースを活用してみるのもよいでしょう。野菜ジュースは加工する際に食物繊維の量が減ってしまいやすいのですが、ゼロになるわけではないので、上手に活用したいものです。
果物が入っているものではなく、野菜汁100%のものを選ぶようにすると、糖質の摂りすぎにつながりにくいため、取り入れやすいでしょう。
食物繊維の不足した状態が続くと、体の調子に影響を与えてしまう恐れがあります。今回お伝えした方法を実践して、ぜひ改善を試みましょう。また野菜や果物をしっかり食べるようにすると、食物繊維以外のビタミンやミネラルの補給にもなり、よりイキイキとした毎日を送るのを助けてくれます。ぜひ食物繊維不足解消の取り組みをはじめてみてください。
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