薬を飲むタイミング「食前」「食間」「食後」とは?
薬を飲むタイミングとしてよく聞く「食前」「食間」「食後」。食事の何分前が「食前」で、食事を終えてから何分までが「食後」に当たるのでしょう?また、「食間」は食事の最中ではないとご存知でしたか?各タイミングについて詳しく紹介します。
食前
食事の前の1時間~30分の間を指します。食べる直前ではないので注意しましょう。胃が空のときに飲むべき薬や、食事の前に作用させたい薬は食前に飲みます。
食間
食事と食事の間で、食事をしてから2~3時間を指します。次の食事までの時間が長いのが、食前とは異なる点です。胃が空のときに飲むべき薬や、食べ物の影響を受けやすい薬は食間に飲みます。
食後
食事をしたあと20~30分以内を指します。胃に食べ物が入っていないと吸収が悪い薬や、空腹時に飲むと胃を荒らす薬は食後に飲みます。 食事をしていない状態で薬を飲まなければならないときは、クッキーなど少量でよいので口にするようにしましょう。
漢方薬を飲む適切なタイミング
漢方薬は、胃が空の状態の食前または食間に飲むと効果的とされています。生薬成分の吸収をよくするためです。
漢方薬は食後に飲んではダメ?
漢方薬は基本的に食前または食間に飲みますが、食後に飲むのが決していけないわけではありません。飲み忘れを防ぐのが一番大事なので、食前や食間に飲み忘れたときは食後に服用するのがおすすめです。また、胃に負担がかかる漢方薬を飲むときは、あえて食後に服用する場合もあります。
漢方薬は夜寝る前に飲んでもいい?
漢方薬は夜寝る前に飲んでも大丈夫です。寝る前なら胃が空の場合が多いので、漢方薬を効果的に服用できるでしょう。とくに睡眠に関わる漢方薬は、寝る前の服用をすすめられる場合があります。
漢方薬を飲み続けたほうがいい期間はどれぐらい?
漢方薬は飲むタイミングを守るのが大事ですが、果たしてどれくらいの期間飲み続ければよいのでしょうか?漢方薬の種類や飲む人の体質・症状によって、効き目が出始めるまでの期間は異なります。
一般的に、気・血・水を巡らせる漢方薬は効き目が早く出やすく、気・血・水を補う漢方薬は効き目が出るまでにある程度期間が必要です。目安は半月から3カ月ほど。ただ、効くまでの期間が長い漢方薬であっても、飲んでいて不調が出たら、すぐに服用をやめるか別の漢方薬に切り替えるべきです。
※気血水:気は体を温め動かすエネルギー、血は血液と血液に含まれる栄養分やホルモン、水は汗・リンパ液・涙・唾液など血液以外のすべての体液を指します。
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なじみのある漢方薬、飲み続ける期間はどれぐらい?
ドラックストアにも置かれているケースが多い、比較的なじみのある漢方薬の一般的な飲む期間の目安について紹介します。
葛根湯(かっこんとう)
体を温めて巡りをよくし、汗をかかせて風邪を追い払う漢方薬です。飲んで1時間もすれば効き始めます。ただ、体を温め巡りをよくするのに体力を使うので、長期にわたって使用する漢方薬ではありません。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
体を温めて巡りをよくし、水を巡らせて鼻水を抑えます。飲んだ日に効き始めます。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血を巡らせる漢方薬で、生理痛・肩こり・血行不良由来の冷えによく使われます。数日で効果が現れる場合もありますが、血行不良が長く続いている場合には血を巡らせるのにある程度の時間がかかります。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
水を巡らせてむくみを取る作用は比較的早めに出ますが、しっかり気血を補ったり、体力をつけたり、貧血にはある程度の期間かかる薬です。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
水を巡らせてむくみを取る作用は比較的早めに出ますが、しっかり気を補い体力をつけるのには、ある程度の期間がかかる薬です。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
水を巡らせてむくみを取ったり、便秘を改善したりする作用は比較的早めに出ますが、余計な要素をためやすい体質の改善には、ある程度の期間がかかる薬です。
きゅう帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
気血を補い巡らせる漢方薬なので、気血を巡らせる作用は比較的早めに出ますが、気血を補う作用にはある程度の期間がかかります。女性の冷えや血の道症によく使われる薬で、血行不良が原因の冷えへの作用は早めに出ますが、気の不足による冷えにはある程度の期間がかかります。
折衝飲(せっしょういん)
血を補い巡らせる作用があり、血行不良が由来の生理痛や肩こりによい漢方薬です。桂枝茯苓丸と当帰芍薬散を合わせ、さらに血の巡りによい生薬を足した薬なので、血を巡らせる作用は比較的早く出ます。ただし、血を補う作用が出るまでにはある程度の時間がかかります。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
水を補い、気管支の粘膜を潤わせて、咳をやわらげる漢方薬です。咳を抑える生薬と気管支を潤わせる生薬を組み合わせており、咳を抑える生薬は効き目が早く出ますが、気管支が潤うまでには、気管支の状態によりますが、多少時間がかかります。
四君子湯(しくんしとう)
胃腸に力をつけて気を補う漢方薬です。ある程度の期間飲み続けないと、しっかり気を補えません。四君子湯に胃腸の動きをよくする生薬を加えた六君子湯(りっくんしとう)は、胃腸の働きをよくするだけなら比較的早く効果が出る場合があります。
十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)
胃腸に力をつけて気血を補う漢方薬です。気血をしっかり補うには、ある程度の期間飲み続ける必要があります。
帰脾湯(きひとう)
胃腸に力をつけつつ気力を補い、眠りやすくする漢方薬です。気をしっかり補うには、ある程度の期間飲み続ける必要があります。
漢方薬はできるだけ飲むタイミングを守り継続して飲もう
漢方薬は基本的に胃が空のときに飲む薬なので、胃に食べ物が入っていない食間または食前に飲むのが適切なタイミングです。もし、指定のタイミングで飲み忘れても、胃が空の状態であれば寝る前に飲んでも大丈夫です。また、あえて食後に飲む場合もあります。
漢方薬は種類と飲む人の症状・体質によって効くまでの期間に違いがあり、半月から3ヶ月程度かかる場合があります。効き始めるまで根気よく飲み続けるのが大事です。
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