看護師ライター北村由美
看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。
花粉対策には、腸内環境を整えるのが大切です。「ヨーグルトがいい」との噂を耳にした人も多いでしょう。ヨーグルトの乳酸菌は、腸内環境によいとされているためです。整った状態は花粉対策によいだけでなく、体全体の健康のカギとなります。ただし、食べ物だけで整うわけではなく、生活習慣の見直しも重要です。腸内環境を整えるための食事や生活習慣、悪化させる習慣についてみていきましょう。
花粉対策は腸内環境を整えるのが大切といわれる理由は、おもに2つあります。「外敵から体を守る防御システムと関わっているため」と「体全体の健康と関わっているため」です。それぞれくわしく解説します。
腸内環境は、外敵から体を守る防御システムと関わっています。花粉のツラさは、防御システムが正常に機能しないために起こります。腸内環境が整っていれば花粉による影響は受けにくいでしょう。しかし、バランスが崩れると防御システムは過剰に反応し、つらいと感じる場面が増えてしまうのです。
腸内には、防御システムの約70%が集まっているとされています。正しく機能させるためには、善玉菌の多い状態が望ましいのです。また、整った腸内環境は体全体の健康にも大事。
花粉対策でヨーグルトが注目されるのは、乳酸菌が善玉菌を増やし、防御システムを正常に保つと考えられているからです。
腸内環境は、体全体の健康に関わります。私たちの腸には1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息し、食事からの栄養素などを養分にして増えていくのです。腸内には、体によい影響を与える善玉菌と、悪い影響を与える悪玉菌、どちらでもない日和見菌が存在しています。食事や生活習慣などで悪玉菌が優位になると、腸内環境は悪化し、体全体に悪影響を及ぼす可能性もあるのです。
ベストなバランスは善玉菌が2割、悪玉菌が1割、日和見菌が7割とされ、状態の維持が健康に重要です。
腸内環境に大きな影響を与えるのは食事です。食事内容により善玉菌と悪玉菌のバランスは変化するため、善玉菌を優位にする必要があります。「善玉菌を含む食べ物」と「善玉菌の栄養源となる食べ物」をバランス良く摂るのが大事です。それぞれみていきましょう。
腸内の善玉菌の割合を増やす方法のひとつ目は、乳酸菌やビフィズス菌を含む食品の摂取です。生きて腸に届くとされる善玉菌は「プロバイオティクス」ともいわれます。代表的な食品は以下の通りです。
乳酸菌やビフィズス菌は、腸内に定着しないとされているため、毎日補う必要があります。ただし、ヨーグルトや乳酸菌飲料はすべての人によいわけではありません。腸内細菌との相性があるため、自分に合う菌を見つけるのが大切です。2~3週間継続し、様子をみてみるといいでしょう。サプリメントを試してみるのもひとつの手です。
ふたつ目は、腸内の善玉菌を増やす働きのあるオリゴ糖や食物繊維を摂取する方法です。腸内に存在する善玉菌のエサとなり「プレバイオティクス」ともいわれます。以下がおすすめの食品です。
オリゴ糖を含む食品、食物繊維を含む食品も毎日の食事に取り入れるとよいでしょう。
腸内環境は食事内容だけでなく、食事や生活習慣を整えるのが重要です。自分に当てはまる習慣がないかチェックしてみてください。
食事のメニューが偏っていると、腸内環境が崩れる可能性があります。コンビニ食や洋食に偏っている方はとくに注意しましょう。和食は、野菜類やきのこ類、豆類といった食材が多く使われており、食物繊維を摂取しやすいのでおすすめです。
食事をする時間が不規則だと、腸内環境を乱す恐れがあります。腸の動きにも影響を与えます。食事は内容だけでなく、時間にも注意が必要です。できるだけ一定の時間に食べるようにしましょう。
食事量や水分の摂取量が極端に少ないと、腸の動きは低下します。食事制限によるダイエットをしている方は注意が必要です。私たちの体に必要な水分は1日2.5Lであり、飲み水として1.2L必要です。適切に食事をとり、水分もこまめにとるようにしましょう。
通勤以外に体を動かす習慣のない方や、デスクワークの方は、腸の動きを低下させる可能性があります。腸内環境をよい状態にするためには、適度な運動が必要です。
夜更かしは睡眠不足につながり、腸内環境を乱す恐れがあります。さらに夜遅くまでパソコンやスマホをみる習慣がある場合、睡眠の質も低下してしまいます。
花粉対策はシーズン中のつらいときだけでなく、毎日気を配るようにしましょう。食事の質やアルコールの摂取などポイントを3つ紹介します。
高脂質・高たんぱくの食事や、食物繊維の少ない食事は悪玉菌を増やすと考えられるため、控えるのがいいでしょう。脂身の多い肉や揚げ物など脂肪分の多い食べ物は、食べ過ぎると消化しきれず、悪玉菌を増やす原因となります。悪玉菌が増えると、腸内環境のバランスが崩れてしまいます。
先にお伝えした通り、腸内環境を整えるには善玉菌を増やす食事が大切です。納豆やヨーグルト、野菜類や豆類などを日常的に食べるようにしましょう。とはいえ、食事は全体のバランスも重要です。主食・主菜・副菜をバランス良くとるようにしましょう。
なお、ヨーグルトを食べるタイミングは食後がおすすめです。乳酸菌が生きて腸まで届きやすいとされているためです。
アルコールは、適量を飲むと健康によい働きを与えるとされています。しかし、摂りすぎると腸内環境は悪化し、アルコールが分解されにくくなるのです。長年にわたり多量の飲酒を続けると、善玉菌は減少し、悪玉菌が増えるとされています。将来の健康リスクが高まるため、飲酒の習慣のある方は注意が必要です。
参考:自家発酵ヨーグルトの冷蔵,繰り返し発酵ならびに他の食品類との共存下における生菌数の変動花粉対策には食べ物の工夫だけでなく、生活習慣を整えるのも重要です。定期的な運動や十分な睡眠、ストレス対策が欠かせません。一つずつ解説します。
腸の働きを活発にするには、適度な運動が効果的です。腹筋運動は規則正しい便通のためにおすすめです。また、運動不足は体力の低下につながり、外敵から体を守る防御システムに影響を及ぼす恐れがあります。ウォーキングやランニング、水泳などの有酸素運動も行うようにしましょう。花粉のシーズンは飛散の少ない朝のうちに行ったり、屋内で行ったりするといいでしょう。
睡眠不足は免疫のバランスを崩す原因となります。夜更かしをせず、十分な睡眠時間の確保に努めましょう。
過度なストレスは自律神経に影響を及ぼし、腸の動きを乱れさせます。免疫のバランスも崩れやすくなるためストレスはため込まず、発散させましょう。運動は腸の動きを活発にさせるため一石二鳥といえます。ストレッチやヨガは自律神経を整えるのにおすすめです。時間がない場合は、深呼吸するだけでもいいでしょう。
花粉に悩む人は年々増え、今では社会問題となっています。花粉によるツラさでさまざまな方法を試している方も多いでしょう。しかし、対策には合う・合わないもあり、他の人がよかったからといって自分に向いているとは限りません。自分に合った方法を見つけるのが大事です。
花粉のツラさを和らげるには、健康な腸内環境がポイントです。食事と生活習慣の見直しをセットで行い対策をしましょう。
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