看護師ライター北村由美
看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。
花粉シーズンは飲み物で対策するのも一つの方法です。花粉対策の基本は体の内側からの健康であり、飲み物には健康をサポートしてくれる成分を含む物もあるためです。一般的には乳酸菌がよく知られています。実は他にも、お茶に含まれるポリフェノールなどはツラさを和らげるとされています。
花粉のツラさを和らげる成分やおすすめの飲み物、メリットを得やすい飲み方について紹介します。食生活の見直しも行い、対策をしましょう。
花粉のツラさを和らげるには、内側から整える必要があります。ポイントとなるのは腸内環境。私たちの体には、外敵から身を守るための防御機能が備わっており、腸内環境が大きく関わっています。善玉菌が多く環境が整っていれば、外敵が来ても防御機能が正しく働きます。しかし、環境が乱れると、異物を追い出そうとして過剰に反応するようになり、さまざまなツラさをもたらすのです。整った環境を保つためには、善玉菌をサポートする食べ物や飲み物の摂取が大切です。
花粉の影響を和らげるとされる成分には、乳酸菌やカテキンなどがあります。健康的な生活を送るためにも日常的な摂取がおすすめです。5つの成分について解説します。
乳酸菌は腸内で悪玉菌の繁殖を抑え、腸内環境を整える役割があります。ヨーグルトやチーズ、漬物、日本酒など発酵食品の製造に使用されています。
参照:eヘルスネット「乳酸菌」/厚生労働省食物繊維は人の消化酵素では消化できない物質で、スッキリした毎日に導いてくれる栄養素です。善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きがあるため、積極的にとるとよいでしょう。
オリゴ糖も善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えてくれます。大豆や玉ねぎ、ごぼう、バナナなどに含まれています。市販のオリゴ糖製品を活用するのも一つの方法です。ただし、急にたくさん摂取すると、腸内環境が急に変化する可能性があります。少しの量から始めて、徐々に量を増やしていきましょう。
参照:e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」/厚生労働省カテキンはポリフェノールの一種で、お茶の苦味・渋みの成分です。健康に影響をもたらすとされる物質の働きをおさえ、毎日の元気をサポートしてくれます。
カテキンはさまざまな種類があり、茶葉の種類により含まれるカテキンの種類や割合は異なります。また、同じ茶葉でも発酵の状態により量や割合が変わるのです。
カカオポリフェノールには、花粉のツラさを和らげる働きがあり、チョコレートやココアなどに含まれています。ただし、糖分をたくさん含むチョコレートやココアは注意しなければなりません。
参照:eヘルスネット「抗酸化物質」/厚生労働省花粉対策には、乳酸菌やカテキン・ポリフェノールを含む飲み物を選ぶといいでしょう。日常的に飲みやすい飲み物を8種類紹介します。
ヨーグルトや乳酸菌飲料には、乳酸菌が含まれているため、善玉菌をサポートしてくれます。継続的な摂取は、花粉シーズン中のツラさを和らげてくれるでしょう。
緑茶はポリフェノールの一種であるカテキンが含まれており、花粉対策ができます。「べにふうき」「べにほまれ」「べにふじ」などの品種には「メチル化カテキン」が含まれています。メチル化カテキンは、通常のカテキンよりも花粉のツラさをより和らげるとされているのです。
参照:aff2017年4月号 特集1緑茶(2)/農林水産省甜茶は「甘いお茶」の総称で、甜茶ポリフェノールが含まれています。花粉対策には、バラ科の植物「甜葉懸鈎子(てんようけんこうし)」で作られるお茶が注目を浴びています。花粉のツラさの原因となる物質をおさえるとされているためです。甘みのあるお茶ですが、低カロリーでノンカフェインです。
ルイボスティーは、ポリフェノールの一種であるフラボノイドを含んでおり、花粉対策ができます。ノンカフェインであるため子どもから大人までおすすめです。
ウーロン茶はダイエットを気にする人の飲み物と思われがちですが、花粉対策にも役立ちます。ウーロン茶にもカテキンが含まれているためです。
ハーブティーにもポリフェノールが含まれており、花粉対策に向いています。なかでもエルダーフラワーティーやローズヒップティー、カモミールティーが適しています。つらくなりがちな気分もリフレッシュしてくれるでしょう。
コーヒーには、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が含まれており、花粉対策ができます。カフェインも花粉のツラさを和らげるとされています。ただし、カフェインの摂りすぎは体に悪影響を及ぼす可能性もあるので、注意が必要です。カフェインレスのコーヒーを選ぶのもいいでしょう。
ココアはカカオポリフェノールと食物繊維が含まれているため、花粉対策が可能です。ただし糖分の摂りすぎに注意する必要があります。ココアを選ぶ場合は甘みを自分で調整できる純ココア(ピュアココア)がいいでしょう。
花粉対策でお茶を飲むなら、メリットが得られる飲み方をしたいですね。おすすめの飲み方と注意点をみていきましょう。
お茶は花粉シーズンに入ってからではなく、シーズンの1~2か月前から飲み始めましょう。花粉のツラさを感じる前に飲むのが大切です。
お茶類は日常的に飲むのが大切です。つらいときだけ飲んでもお茶のメリットは得られないかもしれません。習慣化できるよう、毎日食後や休憩時に飲んでみてはいかがでしょうか。
お茶は、淹れるお湯の温度や時間により、成分の出方が変わってきます。カテキンは高い温度で抽出されやすいため、花粉対策で飲む場合は80℃以上のお湯を用いるといいでしょう。高温でお茶を入れる場合は渋みが強くなるので注意してください。一方、お茶のうま味や甘みを楽しみたいときは70℃程度で淹れるといいでしょう。
参照:aff2017年4月号 特集1緑茶(4)日本茶インストラクターに聞いた緑茶のおいしい淹れ方/農林水産省お茶は花粉対策に適していますが、飲み過ぎには注意しましょう。緑茶や紅茶、コーヒーにはカフェインが含まれているためです。
カフェインについては世界で注意喚起がされており、健康な成人は1日400mgを上限とされています。コーヒーは1日3~4杯、緑茶や紅茶は10杯程度までが望ましいでしょう。
花粉対策は食生活の見直しも合わせて行いましょう。脂っこい食べ物やファストフードばかり食べていませんか?食事やアルコールなどについて注意点をみていきましょう。
健康な生活は毎日の食事が基本です。土台がしっかりしていないと、いくら対策をとっても、メリットを得られません。
脂身の多い肉類やファストフード、洋菓子やスナック菓子は控えた方がいいでしょう。野菜類は毎日の健康に大切なビタミンやミネラル、食物線維などが含まれているため、積極的に食べるようにしてください。
アルコールは、花粉のツラさを増強させてしまう可能性があるといわれています。アルコールが分解されるときに生成される成分は、花粉の影響を受けやすくすると考えられているためです。シーズン中はアルコールを控えましょう。
辛い香辛料などを使用した食べ物は、花粉のツラさを悪化させる可能性があります。刺激物はできるだけ控えるか、香辛料を減らすなどして注意しましょう。
花粉の飛散は毎年2~4月がピークとなり、多くの人を悩ませます。対策はさまざまありますが、メリットを得るには健康的な生活が基本となります。まずは、毎日の食事や生活を整えるところから行いましょう。
飲み物での対策はシーズンに入る前から行うのが大事です。お茶はコンビニやスーパーなどでも購入できるので、生活に取り入れやすいといえます。まだ始めていない方は、ぜひ今日からでも行なってみてくださいね。
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