子どもの風邪の特徴
「風邪」と一口に言っても、症状は多様です。子どもは頻繁に風邪をひく印象がありますが、大人の風邪との違いはあるのでしょうか。
そもそも、風邪とはどのような病気なのか
一般的に、風邪は「のどの痛み・発熱・鼻水・鼻づまり・くしゃみ・咳・痰などの症状があらわれる感染症」であり、上気道(鼻からのどまでの部位)の炎症を指します。
「風邪」は正式な病名ではなく、正式な医学用語では「かぜ症候群」と呼ばれ、80~90%はウイルス感染が原因とされています。
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子どもの風邪と大人の風邪は違う?
風邪はウイルスや細菌による感染症であり、子どもと大人の風邪に大きな違いはないとされています。ただ症状のあらわれ方や期間には違いがあり、子どもは大人よりも風邪にかかる回数が多く、症状も長引きやすい傾向です。鼻づまりや鼻水といった、鼻の症状の多さを指摘する専門家もいます。
何度も風邪をひいてしまうのはなぜ?
学校や保育園、幼稚園で集団生活を送っているため、子どもは感染症のウイルスに触れる機会が多くなります。友達と体を近づけて遊ぶ機会が多く、年齢によってはマスクの装着や咳エチケットといった感染防止対策も十分にはできません。感染のきっかけが多いために、何度も風邪をひく結果につながっていると考えられます。
また、大人と比べると、成長の過程でさらされてきたウイルスの種類が少ないのも原因の一つです。大人は今までに触れたウイルスや感染したウイルスを体が記憶しており、似たウイルスや同じウイルスに対する抵抗力が上がっています。一方、子どもは初めて出会うウイルスが多いため、免疫ができておらず、感染しやすいのです。
子どもが風邪で受診する場合は
子どもが発熱したり咳で苦しそうにしていたりすると、焦ってしまうでしょう。通常、ウイルス性の風邪の場合は、数日から1週間ほどで自然によくなっていくと言われています。とはいえ、中には早めに受診したほうがよい症状も。受診の目安やタイミング、受診する科を知っておきましょう。
病院に行く目安やタイミング
子どもは体力がなく、症状が急変する場合もあるため、大人より早めの判断が必要です。
緊急要請も検討すべき症状
最初は風邪と似た症状でも、異なる病気にかかっている可能性があります。次の症状があれば救急要請などできるだけ早い対応をしてください。
- ・ 痙攣を起こしている
- ・ 呼びかけをしても反応がにぶく、意識がはっきりしない
できるだけ早い受診が望ましい症状
下記のケースでは、できるだけ早く病院を受診しましょう。
・水分がとれず、おしっこが半日以上でない
体調が悪くて食欲が一時的に落ちるのは自然です。しかし、水分もとれずおしっこが出ない場合は脱水につながりかねません。
・呼吸が苦しそうに見える
咳以外でも呼吸が苦しそうに見える場合、風邪をこじらせて、細気管支炎や肺炎になっているケースがあります。
・生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38度以上の発熱をしている
生後3ヶ月未満での発熱は、治療が必要な細菌感染症の可能性が高いと言われています。とくに1か月未満で発熱した場合は、できるだけ早く受診しましょう。
受診が望ましい症状
生後3ヶ月以上のお子さんで、以下の症状が出ている場合は受診をおすすめします。
- ・1~2歳までの乳幼児で39度以上の高熱がある
- ・機嫌が悪い、周りに興味を示さず顔色が悪い
- ・嘔吐が続いている
- ・5日以上発熱が続いている
- ・昼夜問わず咳が出る。ゼイゼイ、ケンケンと聞こえる咳や苦しそうな咳をしている
上記の症状の他にも、保護者から見て「いつもと様子が違う」「明らかに元気がない」と異変を感じたら、ためらわずに受診するのが大切です。
休日・夜間に子どもの体調が変化すると、どうしていいか分からず、判断を迷うかもしれません。困ったときには、厚生労働省の「小児救急電話相談」に連絡しましょう。小児科医師・看護師に電話で相談できます。
厚生労働省「小児救急電話相談」 ♯8000
子どもの風邪で受診するのは小児科?内科?耳鼻科?
中学生までの子どもに風邪の症状があれば、一般的には小児科を受診します。かかりつけの医師がいたり、子ども自身が大人と同じように症状を説明できる場合は、内科の受診も可能です。
耳鼻科では耳や鼻、のどを専門に診察します。風邪のひきはじめで症状が鼻水のみ、アレルギーが疑われる、子どもがまだ自分で鼻をかめず鼻水の吸引が必要な場合には、耳鼻科での治療も選択肢に入れましょう。
咳やお腹の症状といった、耳・鼻以外に症状が出ているなら、小児科の受診を勧める専門家が多いです。
子どものための風邪薬について
子どもに軽い風邪症状が見られ、病院に行くほどではないケースや、とりあえず様子を見たいときは、市販薬を飲ませてもよいのでしょうか。子どもが飲める風邪薬は、大人のアイテムよりも少ないため注意が必要です。
子どもの風邪薬、市販薬でも大丈夫?
市販薬の中にも、子どもが飲める「子ども用」の薬があります。子ども用と記載があっても対象年齢が異なるため、子どもの年齢に合わせて服用可能かを確認しましょう。
また、苦いからと薬を嫌う際は、いちご味やブドウ味といった薬を選ぶと、飲みやすくなるでしょう。
ゼリー?アイス?薬が苦手な子に飲んでもらうには?
薬が苦手な子どもに服用させるのは一苦労です。粉薬の場合は、少量の水を加え、団子状にして子どもの上あごへすりつけると、自然に飲み込めます。同じく、少量の水で溶いてスプーンやスポイトで流し込むのもおすすめです。
好きな飲み物や食べ物、アイスやゼリーに混ぜる方法もあります。ただし、フルーツジュースなど酸性の飲み物は苦味を感じやすくなるので避けましょう。また、薬の効果に影響が出る成分もあります。飲ませ方や混ぜる材料については、服用前に必ず薬剤師に相談してください。
食事や感染予防……家庭でできる、子どもの風邪のケアは?
風邪のケアは、病院での治療だけとは限りません。むしろ家庭での過ごし方でも、回復に大きく影響するでしょう。家庭でできる風邪のケアを紹介します。
風邪のときの食事は栄養と消化の良さを重視して
子どもが風邪をひいたときには、できるだけ栄養をとってほしいですね。食欲がなかったり、下痢の症状があるケースも多いので、消化の良さも重視しましょう。
りんごをすりおろして与えたり、うどんに卵を入れたりするのがおすすめです。回復に必要なビタミンやたんぱく質といった栄養素も、無理のない範囲で加えていきましょう。
また、心がけたいのは脱水防止です。食欲がないときでもこまめな水分補給を忘れずに。
子どもから家族内で感染しないための対策
「子どもの風邪がよくなってきたと思ったら、今度は看病していたママやパパが感染して寝込んでしまった」といったケースをよく聞きます。兄弟姉妹の間でうつしあってしまうのも避けたいですね。
風邪の多くは鼻水や唾液を介してうつります。家庭内で感染を防ぐには、家族全員のこまめな手洗いと手指消毒が大切です。マスクの着用も効果が高いので、家の中でも常にマスクをつけるようにしましょう。
また、適切な室温と湿度も感染予防に効果的です。とくに冬は乾燥しやすいので、加湿を心がけ、50~60%の湿度を保ちましょう。
何より大切なのが、免疫力を低下させない心がけ。大人も子どももできるだけ睡眠と栄養をとり、体を冷やさないようにしましょう。
風邪で学校や保育園を休ませる際の目安
風邪のときに学校や園を休ませるかどうかは、症状や子どもの様子を元に判断します。明確な判断基準がないと迷ってしまうでしょう。休ませる目安と、風邪や感染症の流行時期に備えてできる対策をお伝えします。
病欠後に学校に登校できる目安
インフルエンザや水痘(水ぼうそう)などの感染症は、法律によって学校や園の出席停止期間が決まっています。
風邪の場合は欠席期間の決まりはありませんが、「 24時間以内に38℃以上の熱が出た場合や、または解熱剤を使用している場合には登園を控えるのが望ましい」とされています。
家庭内で安静に過ごしているときには体調が落ち着いているように見えても、園や学校で体を動かすと咳が出たり、戸外と室内の寒暖差で鼻水が止まらなくなったりするケースも多く見られるのです。
解熱後も苦しそうな咳や鼻水、食欲低下の症状があると、子ども本人もつらいですし、周りにうつしてしまうリスクも否定できません。また、体力が落ちていると別の感染症をもらってしまう可能性もあります。
家庭でしっかり療養し、元気になってから登校・登園させましょう。
参照:保育所における感染症対策ガイドライン
風邪や感染症が流行する季節、事前にできる準備とは
子どもの体調不良は突然やってきます。また、我が子の体調には問題がなくても、学級閉鎖になる場合もあるでしょう。感染症が流行しやすい時期に慌てないために、どのような準備ができるのでしょうか。
感染対策の徹底
うがい手洗いの徹底や体格に合ったマスクの装着を促し、感染対策を心がけましょう。また、普段から栄養と睡眠を十分にとって、免疫力を高める工夫が大切。
風邪や感染症対策に限らず、家族がいつも健康でいられるのがベストです。
仕事の調整
子どもの体調がすっかりよくなるまでずっと仕事を休んで付き添えたらよいのですが、そうもいかないでしょう。配偶者と交代で仕事を休めるよう、スケジュールを調整しておいたり、仕事上の連絡事項を同僚と共有しておいたりすると、急な休みにも対応しやすくなります。
預け先の確保
どうしても保護者が仕事を休めない場合に備え、病児保育やベビーシッター、チャイルドシッターといった預け先を調べて確保しておきましょう。「子どもが発熱してから」「学級閉鎖のお知らせが来てから」慌てて預け先を探しても、すでにどこもいっぱい……そのような状況では途方にくれてしまいます。
安静第一だけれど、テレビや動画など家遊びのバリエーションも増やしておこう
たかが風邪、されど風邪。咳や熱で苦しそうな我が子を見るのはつらいでしょう。子どもは症状が急変しやすいので、注意深く観察するのが大切です。
一方、回復に向かうと一気によくなるのも、子どもならでは。家の中で元気をもてあましてしまうケースもあります。
症状が明らかにおさまってきたら、テレビ・動画・読書・お絵描きといった、静かに楽しめる余暇を少しずつ解禁してあげてもよいでしょう。時間や家庭としてのルールを決め、長時間の利用が習慣化しない工夫を忘れずに。
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