管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
ダイエットを成功させるには、朝ごはんをしっかり食べる習慣が大切です。「食べないほうが痩せそう」とか「時間がないから」といった理由で食べていない方は、ぜひ食生活を見直しましょう。
痩せやすい体づくりに朝ごはんが重要な理由や効果的な食べ方とカロリー目安を知って、摂るべき栄養素をしっかり摂れば、ストレスも少なくダイエットへの近道に。簡単かつ時短なコンビニのおすすめ食品や避けるべき食品もマスターして、スマートボディを目指しましょう。
ダイエットを成功させたいのであれば「朝ごはんを食べる」のがおすすめです。しかし、令和元年国民健康・栄養調査では、欠食率の高さが示されています。とくに30代は欠食率が24.6%と高く、約4人に1人が朝ごはんを食べていません。
朝ごはんがダイエットの味方となる理由を知り、重要性を再確認しましょう。
朝ごはんの摂取は、血糖値の乱高下を防いで、太りにくい体をつくります。朝ごはんを抜くと肥満のリスクが約5倍も高まるとの研究結果も存在するほどです。
朝ごはんを抜くと、下がった血糖値を補う作用と空腹感が増し、昼食や夕食時に必要以上に食事を摂取しやすくなります。ドカ食いをすると血糖値が急上昇して、糖や脂肪を体に蓄えるため、太りやすくなります。
朝ごはんをしっかり食べると、カロリー消費のスイッチが入ります。私たちは食事を摂ると、体内で食べ物を消化・吸収するためにカロリーを消費するのです(食事誘発性熱産生)。朝ごはんは夕飯に比べて2.5倍も食事誘発性熱産生が高いとの研究結果もあります。
効率よくダイエットするには、朝ごはんをしっかり食べて代謝を上げるのがポイントです。
朝ごはんにタンパク質を摂ると、筋肉量の維持につながり代謝アップが期待できます。タンパク質は一度に多くを吸収できないので、1日3食まんべんなく摂りましょう。
朝ごはんが胃の中に入ると、大腸が活発に動き出し、便を体外へ送り出します。体内の老廃物を排出するので、ダイエットを後押しします。
ダイエットの基本は「摂取エネルギー<消費エネルギー」です。食事量を減らすだけのダイエットは、ストレス・食物繊維不足からの便秘・栄養不足の原因となるため、おすすめできません。
規則正しく食事を摂り、ウォーキングや筋肉トレーニングといった運動を組み合わせて行うのがダイエット成功の秘訣です。朝ごはんの目安量や摂りたい栄養素をみていきましょう。
ダイエット中の朝ごはんは、「500~600kcal」を目安に摂りましょう。一日の食事量の割合は、「朝:昼:夕=3:3:4」が望ましいとされています。
一日の基礎代謝量(生命維持に最低限必要なエネルギー)は、成人女性で約1150kcal、成人男性で約1500kcalです。エネルギー不足は代謝スピードを低下させるので、エネルギーが不足しないように最低でも成人女性約350kcal、成人男性450kcalは朝食で摂取したほうがよいでしょう。
ダイエットを成功させたい方は、朝ごはんに「炭水化物」と「タンパク質」を摂りましょう。朝ごはんに炭水化物とタンパク質を同時に摂取すると体内時計がリセットされ、体が活動モードになり、ダイエットの追い風になります。
各栄養素の働きは以下のとおりです。
忙しい朝は、手軽に食べられる定番食品が並びますが、ダイエットに有効なのか気になる食品もありますよね。朝食の定番メニューは、ダイエットに適しているかどうかを解説します。
ダイエット中は「ごはん」が適しています。
下記の表に示すとおり、ごはんと食パンを比較すると1食分ではごはんのほうが高カロリーです。しかし、パンは脂質が多く、バターやジャムを塗る場合が多いため、その分カロリーはプラスされます。
さらに、ごはんのおかずは納豆や焼き魚といったさっぱりしたメニューにできることが多いです。パンのおかずは、ウインナーやベーコンといった油の多いメニューになりやすい点にも注意が必要です。
「オートミール」は、ダイエット中の朝食にぴったりです。タンパク質やミネラル・食物繊維が含まれており、牛乳と合わせて摂ると「和食の一汁三菜」と同程度の栄養補給ができます。
電子レンジ調理で手軽に食べられ、前日から牛乳やヨーグルトに漬けておけば、加熱しなくても柔らかく食べやすくなります。オートミールはグラノーラやシリアルにも含まれています。
朝ごはんは「おにぎりだけ」でもOKです。もちろん、毎食「一汁三菜」を基本とした栄養バランスのよい食事を摂るのが理想的ではあります。
しかし、朝食を食べる習慣がない方は、まずは食べる習慣を身に付けていきましょう。具材に鮭やおかかといったタンパク質食材をチョイスしてみてください。
「バナナ+ヨーグルト」の朝食は、ダイエットに適切です。バナナには「炭水化物」や「ビタミンC」が、ヨーグルトには「カルシウム」や「乳酸菌」が含まれています。
炭水化物は、寝ぼけた頭を活動モードにしてくれる脳のエネルギー源です。日本人が不足しがちなカルシウムは、ビタミンCと一緒に摂ることで効率よく吸収されます。
また、腸内細菌の善玉菌の一種である乳酸菌も補給できるので、朝の定番メニューにすることで健康習慣につながるでしょう。
ダイエットへの朝ごはんの重要性は理解していても、普段朝ごはんを食べない方が習慣を変えるのは、ハードルが高いのでは。手軽に食べられてコンビニでも買える朝ごはん食品と、避けたい食品をご紹介します。
コンビニでも手に入るダイエットの味方食品をご紹介します。「朝食をつくる暇がない」ほど忙しい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
シリアルは、牛乳やヨーグルトをかけるだけで食べられるので、朝ごはんの習慣化におすすめです。実際に、「シリアルが朝ごはんの習慣化につながる」との研究結果も報告されています。
習慣化するうえでは、「朝ごはんが楽しい」「おいしい」といった満足感も重要です。シリアルの一種であるグラノーラを朝ごはんに食べると、欠食時やおにぎりだけの朝ごはんに比べて幸せホルモン(オキシトシン)の分泌が多くなるとの報告もあります。
朝から野菜を調理したり、食べるのはハードルが高いと感じる方も多いでしょう。実際に、朝ごはんのメニューは、昼食・夕食に比べ野菜が不足しやすい傾向にあります。
そこで、野菜不足が気になる方は、野菜ジュースで補うのもよい方法です。
ただし、果汁や糖分が添加されている商品は、カロリーが高くなりやすいので、できるだけ添加されていない商品を選びましょう。
また、野菜ジュースは加工の過程で食物繊維やビタミン・ミネラルが減少している場合がほとんどです。つまり、野菜ジュース200gは、野菜を200g食べたのと同じではありません。あくまで補助的な役割として利用しましょう。
コンビニには、ダイエットの妨げになる食品もあります。忙しい現代人が手に取りやすい便利な食品には、注意が必要です。具体的にみていきましょう。
「カロリーゼロ」や「低カロリー」の人工甘味料入り飲料やダイエット炭酸飲料を習慣的に飲むと、肥満のリスクやメタボリックシンドロームのリスクが高まるとの研究結果が報告されています。
甘い味を求めて、人工甘味料の入った飲み物やダイエット炭酸飲料を朝食代わりに飲んでいると、太りやすくなるので避けましょう。
サルを対象にした調査では、トランス脂肪酸の摂取が肥満につながるとの結果がでています。また、トランス脂肪酸は、ほかの食用油と比較して動脈硬化や糖尿病といった疾病リスクを上げるとの報告がされているのです。
トランス脂肪酸を含む菓子パンやカップ麺・スナック菓子・ケーキ類は、糖分や脂質も多くカロリー過多になりやすいので、朝ごはんの代わりにするのは避けましょう。
ダイエット中は「よく噛んで食べる」を意識しましょう。食べる量は同じでも、よく噛むだけで、より満腹感を得られるため、食べ過ぎを防げます。
また、ごはんやパン・麺といったでんぷん質な食べ物は甘みを感じるまでゆっくりと噛む食べ方がダイエットのコツです。よく噛むと、唾液中に含まれるアミラーゼ(でんぷんの消化酵素)の働きで、でんぷんが分解され甘みが出てきます。
甘さを察知した脳の司令でインスリンがいち早く分泌され、血糖値の急上昇を防ぐため、太りにくくなるのです。
ダイエットを成功に導くには、朝ごはんをしっかり食べる習慣づくりが大切です。朝、食欲よりも睡眠欲が勝る…かもしれませんが、目標のためにがんばって起きて、朝ごはんを食べる習慣づくりを目指してみませんか?
朝ごはんを食べる習慣が身につけば、健康的に痩せやすくなるだけでなく、便通改善や一日を活動的にスタートできるといったメリットが期待できます。
朝ごはんを味方につけてスマートボディを目指しましょう。
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