犬の健康を守るために必要な栄養素は私たちと変わらない
「犬は肉食」とイメージする方も多いでしょう。ですが実際は「犬は雑食」です。犬に必要な栄養素は、じつは人間との共通点が多くあります。
動物性と植物性の食べ物から、バランスよく両方からの栄養摂取が、愛犬の健康を保つ献立選びの重要ポイントになります。では犬が健康に生きていくうえで、どんな栄養素が必要か、さっそく確認しましょう。
タンパク質
タンパク質は健やかな毛や皮膚、内臓を作る材料として欠かせません。犬のタンパク質の必要量は、人間よりやや多め。不足すると、成長を妨げたり、食欲を低下させてしまったりと、さまざまな影響を与えかねないのです。
脂質
脂質はホルモンの材料となったり、細胞膜を作ったりする働きがあります。脂質は摂りすぎると太る原因になりかねませんが、まったく摂らないのもいけません。とくに植物油や魚に含まれるリノール酸やα-リノレン酸といった必須脂肪酸は体内で合成されないため、食べ物から取り入れる必要があります。
炭水化物
炭水化物はエネルギー源となる栄養素です。愛犬が毎日を元気に過ごすために、欠かせない働きがあります。不足すると、血糖値が上がらずに活気がなくなってしまう恐れも。また炭水化物の一種である食物繊維は、便の材料としても欠かせません。
ビタミン
ビタミンは体の調子を整える役割があります。犬と人間の大きな違いは、犬はビタミンCを体内で合成できる点。しかし、他のビタミンは人間と同じように食べ物から摂る必要があります。
ミネラル
鉄分やカルシウムなどのミネラルは体を構成したり、体の調子を整えたりしてくれる働きがあります。不足すると食欲低下につながるなど、さまざまな影響を与えてしまいます。
いつまでも元気でいてほしい。愛犬に食べさせたい食べ物とは?
犬にとって必要な栄養素は私たち人間と変わらないとはいえ、食べ物選びも人間と同じように…はいきません。犬の食べ物は、栄養価が高く消化がよいもの、かつカロリーや塩分が控えめのものを選ぶのがコツ。
犬に積極的に与えたい食べ物をあげてみましたので、しっかり押さえてくださいね。犬にとってよい栄養素が摂れる食べ物ばかりです。
犬に積極的に食べさせたい食べ物
肉
肉類をあげるなら、豚肉や鶏肉を選んでみましょう。牛肉も食べられますが、脂質が多いのが心配な点。カロリーの摂りすぎや消化の負担になるため、食べすぎは控えたほうがベター。他にも、馬肉や羊肉も食べられます。ただし、生のお肉は控えて。有害な寄生虫や細菌がいる恐れがあるため、必ず加熱してあげましょう。
魚
魚の中でもおすすめできるのが、ぶりやあじといった青魚や、まぐろやかつおといった赤身魚です。青魚はオメガ3系脂肪酸であるDHAやEPAを含みます。また赤身魚は白身魚に比べ、鉄分が豊富です。ただし、魚も生は厳禁。必ず加熱してあげましょう。
野菜
野菜の中でも注目すべきは色の濃い野菜。色の淡い野菜に比べ、β-カロテンやカルシウムなどの栄養素がたっぷり詰まっている傾向があります。
ただし、香りの強い小松菜やほうれん草といった葉物は、苦手な犬も多い野菜。じっくり加熱すると甘みを引き出せるので、ぜひお試しを。またほうれん草にはシュウ酸が多く含まれ、摂りすぎると尿石症の原因になることも。茹でることでシュウ酸を減らせるため、しっかり茹でるようにしましょう。
果物
果物なら栄養も摂れるりんご・梨・バナナはいかがでしょうか。ビタミンやミネラルを含むため、よい栄養補給になります。
ただし、果物は野菜に比べるとカロリーが高め。犬は甘いものをよろこぶ傾向があるため、欲しがるだけあげていると、太る原因を作ってしまうかもしれません。あくまでおやつのような役割であげるようにしてみましょう。
必ず知っておきたい犬に食べさせてはいけない食べ物とは?
愛犬の健康を守るうえで必ず知っておきたいのが、犬に食べさせてはいけない食べ物。人間にとっては問題のない食べ物の中には、犬にとって有害となる種類もあるのです。
たとえば「玉ねぎ・ねぎ・ニラ・にんにく・チョコレート・キシリトール入りの食べ物」は、少量でも犬にあげてはいけません。おう吐・下痢・発熱といった中毒症状を起こす恐れがあります。犬に食べ物を与える前に、食べてはいけないもの、注意が必要なものについて必ず確認しておきましょう。
犬が食べてはいけない食べ物・注意が必要なもの
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愛犬の健康を守るには、食べ物だけでなく食事のポイントも知って!
愛犬の健康を守るポイントは、ただ「体によい食べ物」を与えるだけではありません。ぜひ次に紹介するポイントを把握しておきましょう。
まずは総合栄養食を基本にする
手作りのご飯や食べ物をあげてみたいと思い立ったとき。まずは「総合栄養食」を基本にして、食べ物は補助的な役割にしておくと安心です。総合栄養食とは、犬に必要な栄養素がバランスよく配合されたペットフードの種類です。栄養のある食べ物をあげていても、犬に必要な栄養素を満たすには、細かな計算が必要とされます。思わぬ体調不良を招かないためにも、まずは補助的に取り入れるほうがよいでしょう。
消化によいものをあげる
人間と犬は消化吸収のシステムが違うため、消化のよい食べ物を選び、消化によい形にするようにしましょう。脂質の多い肉や魚ばかりをあげたり、食物繊維が豊富な野菜・芋類ばかりあげたりすると、消化吸収しきれずに軟便や下痢になる場合があります。いろいろな食べ物をまんべんなく与え、また消化がよくなるよう十分に加熱したり、刻んだりして与えるようにしましょう。
年齢によって食事内容を変える
犬の食事内容は人間と同じように、年齢によって内容を工夫してあげましょう。たとえば1歳ごろまでは、成長に必要なビタミン・ミネラルを摂れるようにしたり、タンパク質や脂質が不足しないようにしたりといった配慮が必要です。
反対に6~8歳以降と高齢になってきたら、運動量や代謝が低下してきます。脂質を控えめにし、カロリーを少なめにして、体の負担を減らしてあげましょう。
注目が集まる愛犬への手作りフード・・・犬の健康に「よいもの」?
手作りフードはよいところばかりに見えるかもしれません。ですが、しっかりと注意点も把握しておきたいもの。愛犬の健康を考えたときに「手作りフードのほうがよさそう」とイメージする方もいらっしゃるでしょう。
手作りフードを始める前に魅力と注意点を整理
手作りフードを試してみたものの、やっぱり大変だから元に戻す・・・ということを繰り返してしまうと、愛犬にとってストレスになりかねません。手作りフードだけをあげるときは、飼い主がしっかりと栄養の知識をつけて、毎日食事を準備する「意気込み」が必要です。
手作りフードの魅力と注意点
手作りフードは毎日続けやすい方法で
気軽に取り組んでみたい方は、先ほどもお伝えしたように総合栄養食のペットフードを基本にし、手作りフードは補助的に取り入れてみましょう。まずは手間なく簡単なほうが長く続けやすく、飼い主にとっても愛犬にとってもストレスなく健康に過ごせる大きな秘訣です。
食べたものが体を作る。愛犬の健康づくりは日々の食事から
「長く元気でいられるように健康を守ってあげたい」と、多くの飼い主が思っているはず。栄養バランスが整ったごはんと愛犬に「おいしい!」と感じてもらうのは、愛犬の幸福度を高め健康を守る大切な手段でもあります。
愛犬の健康のために、手作りフードをはじめてみる際は、愛犬の体調やストレスになっていないかを見ながら、少量ずつスタートしてください。いきなり本格的な手作りは、飼い主にとっても大きな負担に。愛する家族の一員のために、できる部分から少しずつ整えていきましょう。
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