犬のアレルギーのおもな3つの原因とは?
犬がアレルギーを引き起こすのは、体内にアレルゲン(原因物質)が入り、免疫反応が過剰に働くのが原因です。おもに、次の3つの原因疾患により引き起こされます。
「アトピー性皮膚炎」
犬のアレルギーで最も多いのが「アトピー性皮膚炎」です。皮膚のバリア機能低下により、荒れた皮膚の隙間からアレルゲンが体内に侵入して、体内で免疫の過剰反応が生じます。
「ノミアレルギー」
衛生面に要注意なのが「ノミアレルギー」です。散歩や外出を通して、犬の皮膚にノミが寄生する場合があります。ノミは成長するために犬の血を吸い、同時に犬の体内に唾液を注入します。ノミから分泌される唾液や排泄物が原因となり、犬の体内で免疫の過剰反応が生じるのです。
「食物アレルギー」
犬の食事に要注意なのが「食物アレルギー」です。アレルゲンを含む特定の食べ物の摂取が原因となり、体内で免疫の過剰反応が生じます。とくに、消化器官が未発達な1歳未満の子犬に多く見られるので、離乳期は慎重に食事を与えましょう。
犬の食物アレルギーについて
愛犬が食物アレルギーなのかどうかを判断するために、症状や、発症時間・症状が出やすい食べ物を確認してみましょう。
どんな症状が現れるの?
犬の食物アレルギーでは、目や口の周辺・耳・脇や股・指や肉球の間に赤みやかゆみが現れます。上記は、犬のアトピー性皮膚炎にも同様に現れる症状です。食物アレルギーの場合は、上記のほかに背中にもかゆみが現れます。また、半数程度の割合で下痢や嘔吐が現れる場合もあるようです。
症状が現れるまでの時間は?
犬の食物アレルギーは、以下のふたつのタイプがあります。
即時型(Ⅰ型)
即時型(Ⅰ型)では、アレルゲンとなる食べ物を食べてから数分~数10分で症状が現れます。遅延型に比べると少数派です。
遅延型(Ⅳ型)
遅延型(Ⅳ型)は、アレルゲンとなる食べ物を食べてから24~72時間で症状が現れます。犬の食物アレルギーの大半は、遅延型です。1~3日前に与えた食べ物が原因になる場合が多いので、理解しておきましょう。
犬の食物アレルギー症状が出やすいおもな食べ物は?
犬の食物アレルギーは、すべての食べ物の成分がアレルゲンになる可能性を秘めています。しかし、食物アレルギーの大半は、食べ物に含まれるタンパク質がアレルゲンになる場合がほとんどです。アレルゲンは、ひとつの食べ物だけに限らず、複数の食べ物が原因となっているケースもあります。おもな食物アレルギーが出やすい食べ物は以下のとおりです。
<犬の食物アレルギーが出やすい食べ物>
- ・牛肉
- ・鶏肉
- ・乳製品
- ・卵
- ・大豆
- ・小麦
- ・とうもろこし
一般的なドッグフードが原因になる危険性はあるの?
市販されている総合栄養食(いわゆる、カリカリ)や犬用おやつといったドッグフードが食物アレルギーの原因となるケースもあります。市販されているドッグフードには、上記に挙げたアレルゲンとなりやすい食品が主原料に使用されている場合が多いのです。
食物アレルギーで受診するタイミングと検査方法
愛犬が食物アレルギーの疑いがある場合の、受診タイミングや検査方法をお伝えします
動物病院に受診するタイミングはいつ?
犬が食物アレルギーを発症すると、かゆみや不快感で体を噛んでしまいます。症状を悪化させる恐れがあるので、アレルギーの疑いがある場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
動物病院ではどんな検査をするの?
愛犬に食物アレルギーの疑いがある場合、まずはアレルギーの有無を確認した後、アレルゲンを特定する試験を行います。検査の費用は、検査機関により異なりますが40,000~70,000円ほどが相場です。アレルギー検査は、以下の種類があります。
「アレルギーの有無を調べる」血液検査
動物病院で採血をして、専門機関でアレルギーの有無を調べる検査です。食物アレルギーには、免疫グロブリン(IgE)に反応するタイプとリンパ球に反応するタイプの2種類があります。
・アレルゲン特異的IgE検査
犬の血液に含まれる免疫グロブリン(IgE)を調べて、アレルギーの有無を確認する検査です。
・リンパ球反応試験
犬の血液に含まれるリンパ球を調べて、アレルギーの有無を確認する検査です。アレルゲン特異的(IgE)検査だけでは、見つけられないアレルギーを発見できます。
「アレルゲンを特定する」試験
血液検査で食物アレルギーがあるとわかったら、アレルゲンを特定するための試験を行います。検査の順番は「除去食試験」を試して、症状が改善してから「食物負荷試験」を行うのが一般的です。
・除去食試験
安心して食べられるフードを探し出すための試験です。アレルギー反応を起こすリスクが少ない食べ物を与えて、症状が改善するかを調べます。
・食物負荷試験
アレルゲンを特定するための試験です。アレルゲンの疑いがある食べ物を1つずつ与えて、症状の有無を確かめます。
アレルギー対策に有効なドッグフードの選び方
愛犬のアレルゲンが特定したら、アレルゲンを含まないドッグフードに変えましょう。アレルギー対策に有効なドッグフードの選び方をご紹介します。
原材料がシンプルなドッグフードを選ぶ
原材料がシンプルなドッグフードであれば、アレルゲンの有無がわかりやすいです。原材料欄がびっしりと記載されていると、見落としてしまう場合もあります。
食品添加物が少ないドッグフードを選ぶ
なるべく食品添加物が少ないドッグフードを選びましょう。食品添加物はドッグフードの品質を維持するために使用されていますが、着色料や保存料といった食品添加物がアレルゲンとなる場合もあるのです。余計な食品添加物を使用せずに品質を維持している商品であれば、安心して与えられるでしょう。
動物性タンパク質が1種類のドッグフードを選ぶ
前述のとおり、タンパク質は食物アレルギーの原因となる場合が多いです。愛犬のアレルゲンが特定している場合は、該当の食べ物が使われていないドッグフードを選びましょう。しかし、犬の体調により、ほかの食べ物にもアレルギー反応を起こす場合があります。万が一の際の原因食品を特定しやすくするためにも、原材料には動物性タンパク質が1種類だけ使用されているドッグフードを選ぶのがおすすめです。また、すぐに原因食品を除去した食事に切り替えられるように、動物性タンパク質のバリエーションを複数用意して、ローテーションで与える習慣をつけるとよいでしょう。
犬の食物アレルギー対策は、「手作り」や「信頼できる市販品」の活用もおすすめ
最近は、愛犬のために手作りで食事を用意する方も増えています。手作りであれば、アレルゲンとなる食べ物や食品添加物を自分で除去できるので、安心です。旬の食材を使用して、新鮮なごはんを与えられます。
しかし、手作りのドッグフードは、禁忌食品を理解し、栄養バランスを考えて作らないといけません。万が一誤ってしまった場合は、愛犬の体調不良を招く可能性があるため、長期間手作りで与える場合は注意が必要です。そんな場合は、禁忌食材を使わず、栄養価がしっかりと計算された市販のペットフードを活用するのもよいでしょう。ぜひ、信頼できるペットフードブランドを見つけてみてはいかがでしょうか。
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