一級建築士・ライフスタイルライター神谷三理砂
住宅やインテリアの意匠設計に従事した経験を活かし、家の間取りやデザイン、インテリアなど住まいに関するコラムを多数手掛ける。ジュエリーデザイナーとしての経歴も長く、ファッション系コラムも執筆。最近は、より生活に役立つ記事を書きたいという思いから健康コラムに力を注ぐ日々。
刺繍や洋裁、家庭菜園といった手仕事を楽しむ暮らしを大切にしている。
愛犬が急にご飯を食べなくなってしまい、とても心配している飼い主さんへ。「元気なのにご飯を食べない」「ご飯は食べないけれどおやつは食べる」「手であげると食べる」といった様子が見られませんか?それって、もしかしたら、いつものご飯に飽きていたり、あまえていたり、何かストレスを抱えていたりするのかもしれません。
どのような原因でご飯を食べなくなったのか、まずは犬の気持ちに寄り添って考えてみましょう。解決の第一歩は、ここからです。
愛犬がご飯を食べなくなると「病気かも」「老犬だから?」と思うかもしれません。ところが、体調に問題はないのに、急に食べなくなってしまうケースも…。まずは愛犬の心に寄り添って、原因を探ってみましょう。
「ご飯は食べないのにおやつを食べる」「普段通り元気なのに、なぜかご飯を食べない」といった様子が見られたら、わがままになっているのかも。じつは「手であげてご飯を食べる」場合の多くは、愛犬が甘えている状態。食べなければ飼い主さんが直接ご飯をくれるとわかっているのです。
犬は味覚機能が低いと言われているので、毎日同じご飯でも飽きずに食べてくれる犬もいます。しかし、「待っていれば、もっと美味しいご飯やおやつが出てくる」と学習していると、積極的に食べなくなってしまうのです。また、かまって欲しくて、ご飯より遊びに気持ちが向いてしまうときもあります。
犬も人間と同様に、ストレスが原因で食欲が低下しているのかも。犬の嗅覚や聴覚は優れているので、匂いや音、環境の変化や飼い主の家族間トラブルに、とっても敏感です。「ストレスを感じているのかも?」と思い当たる節があったら、まずは思い当たる状況を改善してみましょう。
年齢を重ねてくると、運動量が減り、基礎代謝が低下するので、食べる量が少なくなりがちなのかも。加齢が原因で消化機能が衰えているようなら、シニア用のドッグフードに切り替えて様子をみてみましょう。
愛犬がご飯を食べないからと、食いつきのよいおやつばかりをあげていませんか?おやつをあげ過ぎると栄養が偏ってしまい、ご飯を食べない状態や、根本的な原因は改善できません。
犬の味覚は人間のおよそ5分の1程度しかありません。が、嗅覚は人間の3,000倍から1万倍と言われるほど優れているので、ご飯をあげるときは味よりも匂いや食感が大切なんです。そこで、いつものご飯に手を加え、嗅覚を刺激してあげましょう。
犬は嗅覚が鋭いので、まず匂いで食べるものを選びます。次に食感を楽しみ、味を感じるので、「食べたい」気持ちを高めるには、匂いがとても重要。そこで、ドッグフードをあたためて香りを立たせてみましょう。嗅覚が刺激されて、食いつきがよくなるかもしれません。
顎の力が弱い小型犬や老犬は、ドッグフードをうまく食べられない場合も…。犬は食感の変化を感じるのが大好き。ずっとカリカリとした歯応えのあるドッグフードを与えていたなら、やわらかなタイプに変えてみましょう。
「ぬるま湯でソフトにする」「フードプロセッサーで細かく砕く」「ウェットタイプのドッグフードを与えてみる」といった方法を試してみてください。ただ、水を使ってふやかすとドッグフードが冷えてしまい、熱湯では栄養素が壊れてしまうので、温度に気をつけてくださいね。
「おやつは食べるのにご飯は食べない」など、わがままが原因でご飯を食べないとき、「おやつを食べすぎてご飯を食べない」なら、まずはおやつを控えてみましょう。
それでもご飯を食べないなら、10~15分ほどで器を下げてみて。ご飯をあげないのは心苦しいかもしれません。ですが、何度か試して「決められた時間内に食べないと片付けられてしまう」と理解すれば、食べてくれる場合があります。
犬は嗅覚で食べ物を判断します。ならば、いつものご飯の上に、いつもとは違う「強いにおい」をトッピングしてみましょう。嗅覚から犬の食欲を刺激して「食べたい」と思ってくれるはず。ひと口食べて美味しいと感じたら、食いつきがよくなって完食してくれるかもしれません。ただ、香りの強い香辛料やハーブ、お酢や柑橘系の匂いは苦手なので注意を。またいつものご飯は、トッピングを加える分減らしてくださいね。
ご飯を食べなくなる理由として「不安を感じている」「甘えたい」気持ちを愛犬から察したら、手でドッグフードをあげてみましょう。すると愛犬は安心して、食べてくれる場合があります。ところが、手であげるのが習慣化してしまうと、今度は器でご飯を食べなくなってしまうケースも…。愛犬の様子を見ながら調整してください。
「ドッグフードを温めたり、やわらかくしたり、細かくしたり。どれも試したけれど、食べてくれない」もしかしたら、今のご飯が好きではないのかもしれません。思い切って、違う種類のドッグフードをあげてみませんか?今までとは違うドッグフードで、食いつきがよくなる可能性もあるのです。
引越しや、新しい家族やペットが増える、部屋の模様替えといった生活環境の変化は、犬にとって大きなストレスや不安の原因に。お留守番を長くさせている状況も要注意。まずは直近の愛犬をとりまく環境を洗いなおしてみてください。環境の変化がなかったか、お散歩やコミュニケーションは足りているか…など、愛犬との生活を見直して、ストレスの原因を解消してあげましょう。
「おやつなら食べる」「水が飲めている」といった状態なら、わがままでご飯をたべないだけかもしれません。少し様子を見ていれば、お腹がぺこぺこになれば食べてくれる場合もよくあるのです。年齢や犬種によりますが、絶食期間は健康な成犬であれば2日間、子犬や老犬で1日間は様子見で大丈夫です。
ただ、ドッグフードやおやつだけでなく、「水を一切口にしない」「下痢や嘔吐がある」といった様子が見られるなら、病気の可能性も。不安になったら早めに動物病院を受診して、治療を受けましょう。
愛犬がご飯を食べなくなると、好みのご飯ばかりあげたくなる気持ちに傾いてしまうときも。味が強い高カロリー・高脂質・高糖質の食べ物は、味覚が弱い犬にとって「おいしい」と感じやすく、とても喜んでくれるはず。でも食べ続ければ、将来的に肥満や重大な病気を引き起こしかねません。
わたしたちが栄養のバランスを考えながら食事をするように、犬にとっても食事はたんぱく質や鉄分、ビタミンといった栄養バランスが大切です。食べたい気持ちを高める匂いや食感も工夫して、食事の時間が待ち遠しくなる美味しいご飯を選んであげてくださいね。
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