「無添加ドッグフード」と「オーガニックドッグフード」は別物!?
「無添加ドッグフード」と「オーガニックドッグフード」は、どちらも、愛犬の健康を考えると惹かれる言葉ですが、違った意味を持ちます。2つの定義を見ていきましょう。
無添加ドッグフードとは?
無添加ドッグフードとは、「食品添加物を使わずに製造されたドッグフード」です。2022年3月には消費者庁により「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」が策定され、商品パッケージに「無添加」と表記する基準が厳格化されています。2022年3月以前は「何が無添加なのか」があいまいな表記でもOKでした。しかし、2022年3月以降は「何が無添加なのか」を明確に表記するよう求められており、食品メーカーは2024年3月末までに対応する必要があります。
オーガニックドッグフードとは?
オーガニックドッグフードは、「農薬や化学肥料を使用せずに栽培された原材料(有機農産物)を用いて製造されたドッグフード」を指します。日本で商品に「オーガニック」と表記するには厳しい基準を満たす必要があるのです。ドッグフードのように加工食品である場合は、製品中の水分や塩・必要最低限の食品添加物を除いた重量に対する95%以上が有機農産物および有機農産物加工食品である必要があります。
「無添加ドッグフードは安心」はホント?
一般的に、「無添加ドッグフード=安心」というイメージがあるのではないでしょうか。しかし、安心かどうかは多角的に考える必要があります。まずは、どのようなメリットがあるかを確認しましょう。
無添加ドッグフードのメリットとは?
添加物は、食品の栄養を強化したり保存性を高めたりといった役割があり、すべてが健康面の不安要素を持つわけではありません。また、食品安全委員会は添加物の使用量について、研究結果をもとに健康に害を与えない範囲内で規定量を設定しているので、添加物による健康被害の心配は必要ないとしています。
しかし、摂り過ぎにより悪影響が懸念されている添加物もあるのは事実です。身体にとって、不要な添加物を減らす心がけにより、以下のようなメリットがあります。
- ・添加物による健康不安を解消できる
- ・添加物によるアレルギー反応を防げる
- ・化学物質に頼らず、自然な形で本来の身体づくりができる
覚えておきたいパッケージの表記ルール
愛犬のためによりよい商品を選ぶには、ペットフードのパッケージの表記ルールを理解する必要があります。次の2つのルールを覚えておきましょう。
原材料欄には「原材料に含まれる添加物まで記載する必要がない」
ペットフード安全法により、原材料欄の記載について「使用した添加物の名前」と「用途」を記載するよう義務付けられています。しかし、「原材料自体に含まれる添加物は表示しなくてもよい」とされているのです。原材料欄をみて、添加物名が見当たらなかったとしても、原材料自体に添加物が含まれていれば、完全に無添加であるとはいえない点は覚えておきましょう。
「無添加」と記載するには「原材料も含めて完全に無添加の必要がある」
ペットフードに「○○(添加物名)無添加」と記載する際には、原材料自体も無添加である必要があります。例えば、ドッグフードの原材料に着色料(添加物)を使用しているカニカマを用いる場合は、製造の工程で着色料を使用していなくても「着色料無添加」とは記載できません。
反対に、着色料を使用していないカニカマを用いて、製造工程でも着色料を使用しなければ「着色料無添加」と記載できます。ただし、「無添加」と記載されていても、ある特定の添加物が使われていないだけで、ほかの添加物が一切使われていないとは断言できない点は覚えておきましょう。
総合栄養食のペットフードで「完全無添加」は難しい
「総合栄養食」として販売されているペットフードは、"毎日の主要な栄養補給"として与える目的があり、栄養素の規定量を満たす必要があります。ペットフード公正取引協議会が定めた栄養素量をもとに、ペットの成長段階に応じた栄養素がバランスよく配合されているのです。水と一緒に与えるだけで健康維持できるように調整されています。ペットフードに含まれる栄養素が、規定量をキープし続けるために添加物が必要になるケースが多いため、総合栄養食を完全無添加で製造するのは、簡単ではありません。
例えば、製造時はビタミンの規定量を満たしていたとしても、流通や保存期間中に酸化する可能性があります。酸化した場合は、ビタミンの有用性を発揮できないため、健康維持を保証できなくなってしまうのです。そのため、多くの総合栄養食は時間が経過しても製造時の品質をキープするために、酸化防止剤(添加物)が使用されます。総合栄養食の基準を満たすには、完全無添加での製造が難しいのです。
添加物のすべてが「不安なもの」ではない
"添加物"というと身体に有害なイメージを持つ方もいますが、一概に有害であるとはいえません。ペットフードの栄養バランスを整えたり、栄養強化のためにビタミンやミネラルを添加したり、腐敗により犬の健康を害さないように保存料が使われる場合もあります。ペットフードの品質や安全性を保つために、必要な添加物もあるのです。
「無添加」にこだわりたいなら手作りがおすすめ!犬の手作り食のメリットとは?
「愛犬に無添加フードを食べさせたい」とお考えの場合は、犬の手作り食がおすすめです。オーガニックの食品のみを用いて調理すれば、完全無添加で与えられます。犬のごはんを手作りする大きなメリットは、愛犬の食事の内容を材料から飼い主が把握でき、愛犬それぞれの体質や体調にあわせて調整しやすい点です。
- ・完全無添加が可能
- ・新鮮な食材に含まれる栄養素や酵素を効率よく摂取できる
- ・食いつきが良くなる
- ・完食品からの水分摂取ができる
- ・体調に合わせて食材をチョイスできる
- ・添加物によるアレルギーや健康不安を払拭できる
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「犬の手作り食は大変…」そんな方はヒューマングレードの既成品がおすすめ
最近は「ヒューマングレード」と記載された既製品のドッグフードが登場しています。ヒューマングレードとは、動物飼料に関する規制や法律において明確な定義はありませんが、一般的には"人間でも安心して食べられる品質"といった意味で使われています。人間でも食べられる品質の原材料を用いて製造されていて、食事形態も人間の食事に近いので、犬の手作り食に近いメリットを享受できるでしょう。
愛犬の健康を守るために、飼い主の目利き力を鍛えよう
「“人間でも安心して食べられる品質=ヒューマングレード”であるならば、人間用の食品を犬に与えればよいのでは?」と思う方もいるでしょう。しかし、人間には健康によい食品が犬には有害な場合もあります。例えば、玉ねぎやチョコレートは犬が食べると体調を崩す可能性があるのです。
ヒューマングレードが、ペットに対して安心安全とは一概にはいえません。飼い主の方が健康的な犬の食事の基礎知識を身に付けて、ごはんを手作りしたり、商品を選んだりする必要があります。既製品の場合は、ペットフードの原材料欄やWEBサイトをみて、信頼できる商品を選びましょう。
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