筋力が低下すると犬はどうなる?
犬も人間と同様に、年をとると筋肉量が低下します。かといって、若い頃のようにいっぱい運動をして鍛えるのも難しくなってきます。筋力を保ち続けるのは犬の健康にとってとても重要。愛犬が元気でいられるよう、犬と筋力の関係について理解を深めておきましょう。
筋力を維持するメリット
筋力を維持していくと、愛犬の血液の循環や体温、骨にとってプラスになります。
ふくらはぎの筋肉で血液を循環させる
ふくらはぎの筋肉は、第2の心臓といわれるほど重要な部分。ポンプのように働いて、筋肉を縮ませて血管を圧迫し、血液を押し上げて心臓に血液を送ります。
筋肉を使って体温を調節する
犬は寒さを感じると、体温調節機能が働くように脳から指令が出ます。すると、筋肉をブルブルとふるわせて血管の収縮を行い、熱エネルギーをつくって体温を上げるのです。
骨が強くなる
運動によって骨に負荷がかかると、弱いマイナスの電気が発生してカルシウムを引き寄せるので、結果として骨密度が高まります。また、骨も筋肉や皮膚と同様に新陳代謝をするので、筋肉がつけば骨の代謝が活性化するのです。
筋力不足になりやすい犬の特徴や年齢は?
筋力不足になりやすい犬には、次の特徴があります。
散歩を嫌がる
散歩が嫌いな犬は、ほかにトレーニングなどをしていない限り筋肉が減少します。散歩を嫌がるのは、「散歩中に怖い経験をした」「首輪やハーネスが合っていない」といった原因があるかもしれません。散歩が楽しいと感じてもらえるように、おやつを用意したり、首輪やハーネスの装着具合を確認してみましょう。
運動器に異常がある
体が動くのは、筋肉・骨・関節・神経といった運動器が連携して働いているから。
ところが、遺伝や後天的な要因で運動器に異常があると、犬が散歩に行きたがらない場合があります。もしも、運動器に問題があるようなら、無理して運動させるのは控えて、まずは動物病院で診てもらいましょう。動いて問題がなさそうであれば、リバビリトレーニングをしてみてください。
高齢
一般的に、筋力が不足しやすいシニア期を迎えるのは7歳前後。以前と比べてみて「目の輝きが減った」「ハアハアする回数が多い」「睡眠時間が増えた」「耳が遠くなった気がする」といった様子の変化を感じるようになります。
年齢を重ねると筋力はどんどん落ちていきますが、ある程度は仕方ありません。ただ、高齢だからといって、運動をやめてしまうと、さらに筋力が落ちてしまいます。シニア犬は、無理のない範囲で適度に体を動かす必要があるのです。
運動面・食事面をケアして犬の筋力を維持するには
犬は人間よりもずっと早いスピードで成長し、老いていくので、幼い頃から運動面・食事面でのケアが大事です。
普段の散歩で筋肉は鍛えられる
筋肉は、毎日の散歩の時間を使って効率的に鍛えられます。
坂道を散歩する
散歩の時間をトレーニングの時間に変えるには、散歩コースの選び方が重要です。犬は年齢が上がるにつれて後ろ足から弱ってくるので、後ろ足にしっかり力が入るように、坂道や芝生の上を歩きましょう。少しの工夫で、普段より運動量が上がります。
砂の上を歩かせる
砂は歩くたびに足が沈むので、きちんと足を上げないと歩けません。トレーニングにはもってこいの場所です。砂利道やウッドチップは、舗装された道よりも筋肉を使いますが、尖っている砂利やウッドチップがあると肉球を傷つけてしまう場合があるので、注意する必要があります。
近くに散歩トレーニングをするのに適した場所がなかったら、室内で座布団やクッションなどを床に置き、上から毛布をかけて凸凹の道をつくって歩かせてみましょう。また、バランスディスクを使うと、手軽に後ろ足が鍛えられます。
筋力をつけるのにどんな栄養素や食材が必要?
犬の筋肉維持には、良質なタンパク質が欠かせません。肉や魚などの動物性タンパク質をしっかり摂りましょう。
魚介類
魚介には良質なタンパク質・カルシウム・DHAやEPA(不飽和脂肪酸)が含まれ、栄養素が豊富です。与える際は、小骨を抜き取り、愛犬の喉や気管を傷つけないようにしましょう。シニア犬の場合は、塩分量にも配慮してください。
鹿肉
高タンパクで低脂肪、低カロリーでありながら栄養素が豊富な鹿肉は、スーパーフードと称されるほど。鹿肉には、タンパク質・鉄分・亜鉛・カリウム・ビタミンB2・ビタミンB3・ビタミンB6が含まれています。また、肉でありながら青魚に含まれるDHAも含まれています。中性脂肪や善玉コレステロール、血液に働きかけるので、とくにシニア犬に取り入れたい食材の一つです。
はちみつ
栄養価が高く、健康の維持やパワーの源として太古の昔から重宝されてきたはちみつ。食欲が落ちてきたときにも最適な食材です。はちみつは、天然に近く、人工甘味料を加えていないマヌカハニーやオーガニックなはちみつを選びましょう。
筋力アップにはドライフードと手作りごはんならどっちがいい?
ペットフードの栄養基準などを定めている全米飼料検査官協会(AAFCO)では、犬に必要なペットフード中のタンパク質は成犬で18%以上、子犬で22%以上と定めています。成長期の子犬の場合は、22.5%以上とより多くのタンパク質が必要です。ただし犬の日頃の生活習慣や運動量、健康状態によっても、必要な量は変わってくるので、注意が必要です。
ドライフードは、ドライ加工する過程で栄養分が減ってしまうといわれています。筋肉を育てサポートする食事を考えると、タンパク質の量に配慮して新鮮な食材でつくった手づくりごはんをあげるのがベストです。でも手間もかかるので、毎食は難しい方も多いでしょう。
いきなりドライフードをすべて手づくりごはんにするのは大変。まずは「ドライフードを1食ずつ交互にあげる」「ドライフードのトッピングに手づくりごはんを加える」、といった方法を試してみましょう。
食事の際に気をつけたいポイント
タンパク質は筋肉をつくるために大事な栄養素ですが、過剰に摂取するとカロリー過剰になり、肥満や体調不良の原因に。逆に不足しても成長不良や免疫力の低下、体調不良につながるので、愛犬の状態に合った適切な量を摂るように心がけましょう。シニア犬の場合は、胃腸に負担をかけないように、おやつのあげすぎに注意して。ジャーキーやクッキーといった乾物も、胃腸が疲れやすくなるので控えてください。
関節の健康をサポートするサプリメントも活用してみて
愛犬の健康を維持するには、筋力アップだけでなく骨の強化も重要。グルコサミンやコンドロイチンといった関節の健康維持に必要な栄養素が含まれているサプリメントなら、ごはんにパラパラと振りかけるだけなので、手軽に食事に取り入れられます。
犬が生活している環境は、フローリングや固いアスファルトなど、関節に負担がかかる場所が多いので、幼いうちからしっかりケアをしてあげてくださいね。
各ブランドの商品一覧をご確認いただけます。