犬のごはんに豚肉を与える メリットとは?
豚肉は、タンパク質やビタミンB群の補給源として優秀な食品です。それぞれのメリットを解説します。
「タンパク質」が被毛の健康維持をサポート
豚肉にはアミノ酸がバランスよく含まれており、体内で効率よく利用される「良質なタンパク質」です。皮膚や被毛の健康維持に役立ちます。
豊富な「ビタミンB1」と「ナイアシン」が正常な成育をサポート
豚肉はとくにビタミンB1とナイアシンが豊富な食品です。ビタミンB1とナイアシンは、お互いに影響し合いエネルギー代謝をサポートして、愛犬の健康維持と正常な成育に役立ちます。
どれが犬のごはんに向いてる?豚肉の部位ごとの栄養価と特徴
まずは、豚肉の部位ごとの栄養価の違いを比較してみましょう。豚バラ肉以外は、脂身を取り除いた栄養価を示しています。
【豚肉(大型種肉)の部位別の栄養価の比較(生)/可食部100gあたり】
参照:「食品成分データベース」/文部科学省
「バラ」の特徴
豚バラ肉は、ビタミンB1・ナイアシンが豊富です。しかし、脂質が多く高カロリーな部位なので、犬のごはんには適していません。万が一、与える場合は、脂身を取り除いて与えましょう。
「ロース」の特徴
豚ロースは、タンパク質・ビタミンB1・ナイアシンを多く含んでいます。やわらかい肉質で、食べやすい部位ですが、比較的脂質は多く高カロリーなので与え過ぎに注意です。
「肩肉」の特徴
豚肩肉は、タンパク質・ビタミンB1・ナイアシンを多く含んでいます。脂身を取り除いて、小さく刻んでから与えましょう。
「モモ」の特徴
豚モモ肉は、タンパク質・ビタミンB1・ナイアシンを多く含んでいます。脂身を取り除けば、比較的低カロリーな部位なので、適量を守りましょう。
「ヒレ」の特徴
豚ヒレ肉は、タンパク質・ビタミンB1・B6・ナイアシンを多く含んでいます。上記に示したほかの豚肉の部位の中では、最も脂質が少ないのでおすすめの部位です。
犬に与えてもいい豚肉の量とは?
適切な豚肉の量は、食生活により変わります。
ドッグフードを与えている場合
規定量のドッグフード(総合栄養食)を毎食与えている場合は、ドッグフードのトッピングやおやつとして豚肉を与えましょう。
おやつの目安量は、1日の最適カロリーの2割以内です。ドッグフード(総合栄養食)は、健康維持のために必要な栄養素がバランスよく含まれているので、プラスして豚肉を加えるとカロリー過多になります。豚肉を追加する分はドッグフードの量を減らしましょう。
副食(おかず)として豚肉を与える場合
ドッグフード(総合栄養食)に加えて、副食(おかず)として豚肉を与える場合は、1日のドッグフード量の1~2割以内で与えましょう。カロリー過多になるので、豚肉を追加する分はドッグフードの量を減らします。
手作りごはんを与えている場合
京都大学が発表している「イヌの維持期のAAFCO養分基準(2016)を満たす手作り食レシピの設計法」では、必要カロリーの1/4をタンパク質食品で摂るよう推奨しています。
犬の必要カロリーは、成長段階や避妊・去勢の有無、体重によって決まるのです。一例として、成犬(1~6歳)、避妊・去勢済みの場合で、豚ヒレ肉の適量の目安をみてみましょう。
参照:イヌの維持期のAAFCO養分基準(2016)を満たす手作り食レシピの設計法
超小型犬の豚肉の適量は?(体重5㎏以下)
超小型犬の1日の必要カロリーは、約160~352kcalです。1日に必要なカロリーの1/4を豚ヒレ肉から摂るとすると、34~75g前後が適量となります。
<超小型犬の犬種>
チワワ・トイプードル・マルチーズ・ヨークシャテリア など
小型犬の豚肉の適量は?(体重6~10㎏)
小型犬の1日の必要カロリーは、約400~592kcalです。1日に必要なカロリーの1/4を豚ヒレ肉から摂るとすると、85~125g前後が適量となります。
<小型犬の犬種>
柴犬・ミニチュアダックスフンド・シーズー・パグ・ペキニーズ など
中型犬の豚肉の適量は?(体重11~20㎏)
中型犬の1日の必要カロリーは、約640~1072kcalです。1日に必要なカロリーの1/4を豚ヒレ肉から摂るとすると、136~227g前後が適量となります。
<中型犬の犬種>
ブルドッグ・フレンチブルドッグ・ビーグル・ボーダーコーリー など
大型犬の豚肉の適量は?(体重21~40㎏)
大型犬の1日の必要カロリーは、約1120~2032kcalです。1日に必要なカロリーの1/4を豚ヒレ肉から摂るとすると、237~431g前後が適量となります。
<大型犬の犬種>
ダルメシアン・レトリーバー・ドーベルマン・ハスキー犬 など
超大型犬の豚肉の適量は?(体重41~65㎏程度)
超大型犬の1日の必要カロリーは、約2080~3232kcalです。1日に必要なカロリーの1/4を豚ヒレ肉から摂るとすると、441~685g前後が適量となります。
<超大型犬の犬種>
バーニーズマウンテンドッグ・グレートデーン など
犬に豚肉を与える際の5つの注意点
愛犬が健康的においしく豚肉を食べるために押さえておくべき注意点を5つお伝えします。
- 1.必ず加熱して与える
- 2.骨を取り除いてから与える
- 3.与えすぎに注意
- 4.アレルギーに注意
- 5.味付けした料理や加工食品は与えない
では、詳細を見ていきましょう。
1.必ず加熱して与える
犬に豚肉を生のまま与えてはいけません。昔の犬は、野生で生活していたので生肉を食べていました。しかし現在の犬は雑食に近い食生活になり、生肉を消化しにくい体の構造をしているのです。
また、生の豚肉にはサルモネラ菌やE型肝炎ウイルス・トキソプラズマといった食中毒の原因物質が付着している可能性があります。食中毒の原因物質を死滅させるには、加熱が有効です。愛犬の健康を守るために、必ず加熱してから与えましょう。
2.骨を取り除いてから与える
スペアリブなどの骨付き肉の場合は、必ず骨を取り除いてから与えましょう。骨をまる飲みしてしまうと胃腸障害になる恐れがあります。噛み砕いたとしても、とがった先端で口の中や喉に傷をつける可能性があるので、要注意です。
3.与えすぎに注意
豚肉を与えすぎると、以下のリスクがあるので、適量を守りましょう。
脂身を与えすぎると急性膵炎の原因になる
犬が豚の脂身を食べ過ぎると急性膵炎の原因になるので、脂身は取り除いて与えましょう。脂身の多いバラ肉は、犬のごはんには適しません。脂質の少ない豚ヒレ肉や豚モモ肉が適しています。
消化吸収器官に負担をかける
犬が肉を食べすぎると、消化吸収器官に負担がかかり老化を早めます。昔の犬は肉食でしたが、現在は雑食に進化したため、タンパク質に片寄った食事は好ましくありません。
豚肉を与える際は、適量を守り、食べやすいサイズにカットして与えましょう。
4.アレルギーに注意
豚肉はアレルギー症状が出にくいとされていますが、まれに症状が出る場合もあります。食べた後に「皮膚や口の周りを痒がる」「赤みが出ている」「嘔吐」「下痢」といった症状がある場合は、すぐに動物病院に連れていきましょう。
また、アレルギーは特定のタンパク質を過剰に摂り過ぎると、発症リスクが上がると報告されています。愛犬が喜ぶからといって特定の食品だけ与えるのではなく、数種のタンパク質食品をローテーションして与えるのが理想的です。
5.味付けした料理や加工食品は与えない
ベーコンやハム・豚の炒めものといった人間が食べる豚肉料理を犬に与えてはいけません。塩分が多いうえに、高脂肪なので肥満や病気を招くリスクがあります。
また、豚肉料理には犬に有害なネギやニンニクといった禁忌食品が使われている場合もあるので、要注意です。
豚肉を使った犬の手作りごはんの簡単レシピ2つ
高タンパクで脂質が少ないj豚ヒレ肉を使ったレシピを2つご紹介します。
水分補給もできる!豚肉のトマトスープごはん
オリーブオイルとトマトの風味がよい一品です。
【材料】
- ・豚ヒレ肉 100g
- ・キャベツ 40g
- ・トマト 30g
- ・小松菜 30g
- ・ごはん 100g
- ・オリーブオイル 小さじ1
【作り方】
- 1.食品すべてを食べやすい大きさにカットします。
- 2.鍋に野菜と豚ヒレ肉、ひたひたの水を入れて野菜が柔らかくなるまで煮ましょう。
- 3.ごはんを加えてひと煮立ちしたら、最後にオリーブオイルをたらします。
- 4.器に盛ったら完成です。必ず冷ましてから与えましょう。
かつお節が香る!肉じゃが
かつお節の風味が愛犬の食欲を刺激する肉じゃがです。
【材料】
- ・豚ヒレ肉 100g
- ・じゃがいも 50g
- ・にんじん 50g
- ・しらたき 30g
- ・かつお節 ひとつまみ
【作り方】
- 1.しらたきは湯がいて食べやすい大きさに切ります。
- 2.ほかの食品も食べやすい大きさに切りましょう。
- 3.鍋に材料をすべて入れ、ひたひたの水を入れて柔らかくなるまで煮ます。
- 4.器に盛り、かつお節を散らしたら完成です。必ず冷ましてから与えましょう。
豚肉の健康パワーを発揮するには「脂オフ」と「適量」がカギ
豚肉は、愛犬の健康維持に必要な栄養がたっぷり含まれた頼もしい食品です。しかし、いくら健康によくてもたくさん与えてしまうと、反対に健康を害してしまいます。愛犬のごはんを手作りする際は、適量を守りましょう。
また、脂身は内臓に負担をかけたり、カロリー過多を招いて病気のリスクを上げてしまいます。脂身を取り除いたり、脂の少ない豚ヒレ肉を用いたりして、健康的に豚肉を活用しましょう。
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