犬はどんな肉が好き?
犬が食べてもいい肉の種類は、牛肉・豚肉・鶏肉をはじめ、羊肉・馬肉・鹿肉など多岐にわたります。人間が食べる肉であれば、基本的に犬が食べても大丈夫。ただし、安全性を考慮して新鮮なお肉を選び、十分に加熱してから与えるようにしましょう。
犬が肉を食べるメリット
犬は、健康維持に大切なタンパク質が、体重1kgあたり人間の約4倍も必要なので、消化吸収に優れた動物性タンパク質が豊富に含まれている肉が欠かせません。また、肉には犬が食べ物から摂取しなければならない必須アミノ酸もバランスよく含まれています。そのため、多くのドッグフードに、肉が主な食材として使われています。
嗅覚が鋭い犬は、においに敏感。おいしそうなお肉のにおいに惹かれます。栄養があって、いいにおいがするお肉をあげれば、「食べたい!」と喜んでくれて、体に必要な栄養もしっかりとれるでしょう。
ドッグフードに使われる定番の肉の種類
犬が好きなお肉は、鶏肉や馬肉よりも、牛肉や豚肉、羊肉です。好きなお肉の種類には傾向がみられますが、アレルギーがなければ、とくに食べてはいけないお肉はありません。お肉の種類や特徴、栄養素、どんな犬におすすめなのかを知って、毎日のレシピに活かしてくださいね。
牛肉(ビーフ)
多くの犬が大好きなお肉といえば、牛肉。良質なタンパク質を豊富に含んでいます。豚肉や鶏肉と比較すると、健康な体の維持やサポートに欠かせない亜鉛は約2倍、鉄分は約3倍、ビタミンB12は約4倍以上含まれています。ただし、脂質が多く、他の肉よりもカロリーは高め。成長期の子犬や、活動量の多い成犬に最適なお肉です。
食べてもいい部位
肩ロースには亜鉛、レバーには鉄分が豊富に含まれています。ヒレやももは脂身が少なく、タンパク質が豊富なので、とくにおすすめです。バラは脂身が多く、カロリーが高めなので、食べすぎると肥満につながります。できるだけ脂身をとってから与えましょう。
豚肉(ポーク)
豚肉には、犬にとって必要な9種類の必須アミノ酸が消化しやすい形で含まれています。糖質をエネルギーに変換するために不可欠なビタミンB1が他のお肉よりも多く、含有量は牛肉の約10倍です。また、カリウムや、リンなどのミネラルも豊富に含まれています。活動的な成犬や、体重管理が必要な成犬に適しているお肉です。
食べてもいい部位
肩ロース・ロース・ヒレ・もも・バラなどが食べてもいい部位です。ただし、バラ肉のように脂身の多い部位ばかりを与えるとカロリーのとりすぎになるので、できるだけ脂身をとって与えましょう。
鶏肉(チキン)
鶏肉(皮なし)は、低カロリーで高タンパク。消化吸収に優れ、皮膚や粘膜の健康をサポートするビタミンAは牛肉の約10倍、豚肉の約3倍以上も含まれています。健康な体づくりのサポートが必要な犬や、シニア犬に最適です。
食べてもいい部位
基本的に鶏肉は低カロリーですが、部位によって異なります。ささみやむね肉は、やわらかくて食べやすいのでおすすめ。鶏皮のカロリーは、ささみの約5倍に相当するため、注意しましょう。他に、レバー・砂肝・手羽先・手羽元・ももといった部位も食べてOKです。
羊肉(マトン・ラム)
羊肉は、必須アミノ酸を多く含み、高タンパク質で、ミネラル・ビタミン・脂質もバランスよく含まれています。他の肉と比較すると脂質は高めですが、不飽和脂肪酸が豊富に含まれているため、血液の健康維持が期待できます。成長期の子犬や、体重が少なめの成犬に最適です。
馬肉
馬肉は、高タンパク・低脂肪・低カロリー。牛肉や豚肉と比較すると、タンパク質は約2倍以上、脂肪分は牛肉の約1/5、カロリーは半分ほどしかありません。脂の成分が魚に近い特徴があり、他の動物脂にはほとんど含まれないオメガ3(αリノレイン酸)が豊富に含まれているのも特徴です。馬肉はアレルギーを起こしにくいといわれているので、他のお肉ではアレルギーが出る犬、体重管理が必要な成犬、消化吸収に優れているのでシニア犬にも適しています。
最近注目されている鹿肉(ベニソン)
脂肪が少なく、味わいも豊かなジビエ(野生鳥獣の肉)。犬の食材としても、最近注目を集めています。とくに鹿肉は、低カロリーで高タンパク、鉄分(吸収率が高いヘム鉄)が豊富です。
カロリー少なめで鉄分多め
牛肉と比較するとカロリーは約半分。脂質はたったの1/10程度でありながら牛肉よりもタンパク質が多く、鉄分は牛肉の約3倍も含まれています。豚肉と比較した場合、鉄分は約4倍、ビタミンB12は約3倍です。
必須脂肪酸にも注目
また鹿肉には、体内でつくるのが難しい、健康維持をサポートする必須脂肪酸のオメガ6(リノール酸)も含まれています。鹿肉は、体重管理が必要な成犬や、シニア犬に、とくにおすすめです。
犬に肉をあげるときの注意点
犬が好きなお肉だからといって、何をどれだけあげてもよいわけではありません。お肉をあげる際は、いくつか注意点があります。
最適な肉の量は犬の大きさによって異なる
犬の健康維持にとってタンパク質が豊富なお肉は欠かせませんが、子犬か成犬かによって必要な摂取量は違います。
タンパク質の総合摂取量や体重の増減に合わせて、目安の範囲内で肉の量を調節してください。肉の量が多すぎると肥満になる恐れがあり、少なすぎると栄養不足になる恐れがあります。また、子犬は生後4カ月を過ぎるまでお肉を控えましょう。
最適な肉の量の目安は次のとおりです。
【脂肪分の少ない鶏むね肉の場合】
- ・子犬:体重1kgあたり40~100g(タンパク質9~22g相当)
- ・成犬:体重1kgあたり30~130g(タンパク質6.5~30g相当)
生肉は基本NG
生肉には、寄生虫やサルモネラ菌・大腸菌といった食中毒を引き起こす菌が付着しているリスクがあります。生食用の牛肉でも、加工や運搬中に細菌が付着する可能性があるため、愛犬に与える際は芯までしっかり火を通しましょう。また、新鮮な馬肉は生肉であげてもよいとされていますが、寄生虫に感染するリスクはゼロではありません。冷凍庫(マイナス20度以下)で48時間以上冷凍すると死滅するとされていますが、十分注意してください。とくにシニア犬には生で与えるのは避けましょう。
加工肉はNG
ベーコンやハム、ソーセージといった加工肉は塩分が高く、調味料も使用されています。脂肪が多いので、食べる量が少なくてもカロリーのとりすぎに。愛犬に食べさせるのはやめましょう。
アレルギーに気をつけて
犬によってアレルゲンになりやすい食べ物は異なりますが、お肉の中で最も原因となりやすい順番は、牛肉>鶏肉>羊肉>豚肉>馬肉の順です。もしも、次の症状がみられたら、早めに病院を受診して、アレルゲンを特定しましょう。
【注意が必要な犬の様子】
- ・体をかいている・赤みがある
- ・抜け毛が多い
- ・下痢や嘔吐
- ・足先をたくさんなめる
犬の食物アレルギーは、原因や症状が多岐にわたるため、特定しにくい場合があります。長期にわたって食物アレルギーに向き合わなければならないケースも珍しくありません。毎日の食事に気を配り、必ず原材料を確認して、安心・安全なごはんをあげるように心がけしましょう。
においの強い肉のトッピングで食いつきをよく
犬は嗅覚が優れているので、何よりも「におい」でおいしさを判断します。いいにおいがしないと、思うようにごはんを食べてくれないことも。
最近、「愛犬の食欲がない」「食いつきが悪い」と感じたら、においの強いトッピングを、いつものごはんにプラスしてみてください。栄養価が高く、できるだけ体によいトッピングを選ぶのが大事なポイント。
いつものフードを7~8割ほどに調節してあげると、カロリーオーバーにならず、健康的でおいしいごはんになりますよ。
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